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電波的な彼女~幸福ゲーム~、雑感



人の本質を最も顕著に表すのは、その死に様だよ。
悲しい死か、哀れむべき死か、報いとしての死か。傷一つない体で死んでも醜悪な死があり、指一本しか残らなくとも胸を打つ死はある。
それからすると、あれは、かなりのものだな
。(雪姫)


『電波的な彼女』シリーズ、現在刊行されているものでは最後の一冊となる、『電波的な彼女~幸福ゲーム~』についての雑感を書いていきます。


Espliaのあらすじ

「えぐり魔」事件の後。嫌な気分を引きずったまま電車で通学中の主人公、「柔沢ジュウ」は、突然痴漢の濡れ衣を着せられ上、暴行されるという不可解な事象に巻き込まれてしまう。
「前世からの絆」の名の元に騎士を名乗る「堕花雨」の妹、「堕花光」の機転によりなんとかその場からは脱することの出来たジュウだったが、学校に着くやいなや、今度は正体不明の何者らかに嫌がらせの嵐を受けることに。
光、雨、そして雪姫、円にも広がりはじめた魔の手を、ついぞ本格的に追うことにしたジュウは、そこで彼らの目的が、幸せな人間を不幸にする、という「幸福潰し」にあるという事実を目の当たりにする。



前回の事件を経て、ハードボイルドに若干の素直さが加わり、テンプレートなまでに格好良すぎる主人公ジュウ。最近になって乙女チックな一面を楽しませてくれる電波女、雨。ますますライバルキャラの臭いをかもし出しながらも、「名言メーカー」としての存在をほしいままにする雪姫。ついにヒロイン候補に一歩前進した、光。
と、相変わらずキャラクターの生かし方を心得ている人間ドラマの展開は、ベタながらも何度も読み返したくなる魅力を放っています。


また前回、前々回同様、片山憲太郎らしい「負の世界観」も相変わらずいい具合に発展していて、特にジュウが最初に痴漢容疑を掛けられているシーンなどは読んでいて背筋が寒くなるような思いを味わえました。
実際に男がどれほど「やっていない」と言いつくろっても、性欲という前提で話を進められてはどうにも弁解のし様が無いですからね。正直、電車に乗るときにこの話を思い出して背筋を寒くする日々を送ることになりました・・・。

片山の描写力の上手さと、恐らくは日々現実で感じているであろう「恐怖」というものに対しての嗅覚の敏感さに、プロの感性とはこういうものか、と感じ入らずにはいられません。加えて、最後の最後で豹変する「あの方」の台詞の恐ろしさといったら・・・・・・。


ただ一方で、前回、前々回で誉めた「話の構成」、そして「驚きの結末」という点では、今回は及第点をやや下回る、突拍子の無さが目立ったように思いました。

特に、幸福な人間を不幸にすることで不幸な自分がより幸福なれる、という考えから起こった今回の主幹たる「幸福潰し」。その組織の目的と元凶の思想があまりにも一般的な見解から掛け離れた理屈に終始していて、「え、これだけの理由で?」という感想しか浮かばない、どこかピントの外れた印象を受けました。他者への卑屈な憎しみが、強大な狂気に変わると、いう理屈は納得できますし、共感できる部分もあるにはあるのですが、「ああなる」必要性というものは全くないような気もしますしね。

前作の「えぐり魔」も、その思想はたいがい狂っていましたが、まだ狂人なりの論理は理解できる範疇でしたし、糞の役にも立ちませんが納得できる部分も少なからずありました。それだけに今作の、狂人が、狂った理論を一般人に押し付けただけという一方通行の真相は、石の裏を見て見てみたら虫がびっしり、みたいな驚きこそありましたが、読了後にじっくりと余韻に浸れるだけの「深み」が全く無いものだと言えるでしょう。

時期的には、後作にあたる原作『紅』の三巻(上・下)、『醜悪祭』シリーズの悪夢再来というほど酷いものでは当然ありませんが、三話目になるとどうしても発想にハリがなくなってしまうというジンクスがこの『電波的な彼女』シリーズから見えていた、ともいえなくはないのかもしれません。


少しわき道に話が逸れますが、『紅』という作品は、『電波的な彼女』にて、精神力は強くても、凶悪な犯罪に立ち向かえるだけの力がないジュウに対比して、力がありながらも、どこか精神的な脆さを見せる「紅真九郎」というキャラクターを描きたいがために作られた作品であるように個人的には思っています。
特にこの『電波的な彼女』シリーズの三巻を全て見るに、熱血漢で、度胸があって、精神的に成熟していても、やはり力がないとどうしても「最良の結果」を残せない。そんな業に支配されているジュウ、引いては片山自身の歯痒さが滲み出ていて、それを一気に吹き飛ばすほどの爽快さを求めて『紅』の執筆に掛かったように思えてなりません。

つまり、もうこの『電波的な彼女』シリーズは片山にとっては「過去」でしかなく、続編きっと出ないんだろうなぁ、ということが言いたいわけです。


実質的な最終話である(私的思っている)今作で、こういった作風のムラや、発想を捻出する筆者の苦しみが感じられる、苦い思いの詰まった作品であることに、若干の寂しさを覚えてしまいました。


【総評】


ジュウ、雨、雪姫、光などの魅力的なキャラクターが目まぐるしく動き回る躍動感は抜群で、何度も読み返したくなる魅力に溢れた作風であることは前回以降、変わらずにいい味を出しています。今回は特に、男女関係というものを意識した作りになっている点も個人的には評価に値しました。

一方で、話の展開が妙にこざっぱりとしていて、「ああ、そういうことか!」と声に出して感心するシーンや伏線がほとんどなく、ミステリー調で綴られる犯人探しも、間違いなく論理的に推理することは不可能な前提があるので、個々人が結末に至るまでの考察の楽しみの大半がそがれてしまっている印象が強く残りました。
後半の展開が、狂った人間を主人公達が蚊帳の外から恐る恐る傍観しているだけの地味な展開に加え、どこか押し付けがましい「狂」の描写に、読んでいて久々に気だるささえ感じることに・・・。

一巻、二巻が楽しめた方は、間違いなく買うことをオススメする一作ではありますが、それはあくまで「続きもの」の価値としての話が前提で、内容的には若干がっかりさせられる部分が多く、前二巻がそれほど楽しめなかった人には(特にキャラクター性で)購入はよく考えてからされることをお薦めいたします。

う~ん、もう一息インパクトが欲しかった・・・。というのが本音です。



読了お疲れ様でした。



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○2010/11/22○
個人的に色々言ってんぢゃねぇ
[ 編集 ]
○2010/11/23○
理由無き批判を中傷と呼ぶならば、私の雑感は駄文ではあっても意見としての体裁は最低限保っていると自負しております。

感想や雑感とは個人が有する唯一無二のモノ。
それを主観で書かず、客観的な感想を書けとおっしゃるならば、どうぞお好きな方のブログに行っていただき、そこで熱く語らってください。

客観的な感想というものがどういうものかを理解できるならば、の話ですが。

それと、「馬鹿」というハンドルネームはいろいろと誤解を生むものですので、次回書き込むことがもしあるならば変更をお願い申し上げます。

今回は記事にコメントいただきまことにありがとうございました。
[ 編集 ]
○2011/02/06○
blog読ませていただきました。
僕はOVAだけを見たので貴方の感想でより深くこの作品を味わうことができました。ありがとうございます。
なんて感謝したところでって話なんですけどね(笑)

後、前者の馬鹿さんのコメントは気にしない方が良いですね。だって、blog自体が個人的に色々言うものなのですから。
そして、馬鹿が言ってる事ですしね(笑)

突然コメントして申し訳ありませんでした。

またblog楽しみにしてます。
[ 編集 ]
○2011/02/06○
はじめまして、espliaと申します。返信が送れてしまい、申し訳ありませんでした。

このたびは当方ブログにコメントを頂き、誠に感謝しております。

> 突然コメントして申し訳ありませんでした。

とのことですが、とんでもありません。
何日前、何年前の記事であっても、こうしてコメントを賜れることが、一物書きとして何よりのご褒美です。本当にありがとうございます。鼻血が出るほどうれしいです。

電波的な彼女シリーズは、「紅」ほどくっきりとした終焉が見えていないこともあり、今後も万が一、単行本がでるかもしれません。その折には、無論こと記事を書かせていただきますので、その際は是非、読んでいってくださいね。

独り善がりにもほどのある雑感記事ばかりで申し訳ありませんが、今後ともよろしければおつきあいください。

[ 編集 ]
○2014/03/24○
このコメントは管理者の承認待ちです
[ 編集 ]
○2017/05/18○
このコメントは管理者の承認待ちです
[ 編集 ]
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