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”文学少女”と死にたがりの道化、雑感


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『ええ、あなたは、人間失格よ』







ファミ通文庫刊行、野村美月著『”文学少女”と死にたがりの道化』についての雑感を今回は綴っていきます。

espliaのあらすじ

天野遠子(あまの とうこ)。文芸部部長、兼“文学少女”。
彼女は本のページを引きちぎって食べる悪癖を持つ変わった人物である。いちばんの好物は、肉筆で書かれた物語。

井上心葉(いのうえ このは)は、そんな彼女に振り回され、肉筆での三段話、通称「おやつ」を書かされる毎日を送っていたのだが。ある日、文芸部に持ち込まれた恋愛相談をきっかけに大々的な事件へとかかわっていくことになる。




読み終わった感想は「2段階に練られたプロットが映え、また人物描写も線引きがしっかりされている丁寧な作品」といったところでしょうか。



巻末にもあるように、本作は通販サイトなどで括られる「ビター&ミステリアス・学園コメディ」(これはamazon)という単語とは、雰囲気が少し違います


もちろん一部コメディ風なやり取りはありますし、事件に関わってから、その雰囲気がまったくなくなったりするわけではありませんが。相対的に見れば、「ほのぼのとした雰囲気」はあくまで上張りで、その裏にある覗いてはいけない真実の存在をちらつかせるような陰鬱な一面こそが本質であるように感じられました。


本編のシナリオも、日常の「陽」と内面の「陰」をめぐっての駆け引きが中心となりますが。さまざまな伏線を用意しつつも、それを回収して”犯人”を断定するだけのただの推理モノとして完結させないあたりが、さすが著名な作品というだけあって驚嘆させられます。


大きな事件に向いた意識が、一気に別の”真相”へ引き込まれる感覚はなかなか新鮮でした。


ミステリー風味のコメディ、というよくわからないカテゴリはともかく、尋常ではない内面描写を絡めた、一般的ミステリーと一線画すものであることは認識しておくべきでしょうか。



キャラクターに関しては、さすが曲がりなりにも「コメディ」と銘を打たれるだけあって、本編の中心となります。


本をむしゃむしゃ食べる”文学少女”しかり、女性作家(?)で元ひきこもりの「心葉」しかり。一癖ありながらも、部室で交わされるやり取りは和みます。

自分のことを「チャーミング」と称して殴りたくならないのは遠子先輩の人徳。(か?)


ただメインキャラの二人にしても、表側のひょうきんな一面がすべてではなく、その裏側にはいろいろと懊悩を抱えていて、本編ではわずか一行足らずの文章ながらも、その本質ずっしりと心を重くすることもしばしば。

「陰」あってこその三次元的な厚み、とはさんざ綴ってまいりましたが、ここまで効果的に一文で厚みを体感させるというのは凄まじいです。


本編の主題にはあまり関わらないものの、「姫倉(ひめくら)」や「吹寄(ふきよせ)」のようにシリーズのなかで徐々に頭角を現していく面々も存在し、特に後者は主人公「心葉」にどう関わっていくかが、下世話ながらも気になります。



ミステリーとして完成されているわけではありませんし、コメディーとして見るにはやや暗澹。

本作はそんな感じの作風ではありますが、エンターテイメントとしては最上部類に入る作品ではないでしょうか。だいたいどの小説も、少なかれ「気になる点」というものがありますが、今回は無理やり捻出して一個、という感じで、非常に完成されています

いつもは言及しませんが、イラストと文章のシンクロ率も高い


今回の”犯人”のように、一般人にはとうてい共感できない理屈で展開を押してしまう構想への批判はあるかもしれませんが、それを理解させるための「手紙」であることを思えば説明不足ともいえませんし、終盤に至る道程に抱く感想は個々人バラバラになるのかもしれませんね。



余談ですが、”文学少女”が推すタイトルは無性に読みたくなります。






気になった方は、上記に留意しつつ購入を検討していただければ幸いです。













読了お疲れ様でした。
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○2012/05/19○
ふむ、このシリーズ読んでないからよく分からん。

横のツイッター読んで浮かんだ一言。
「休日とは言ったが休日出勤が無いとは言ってないでゲス」
[ 編集 ]
○2012/05/20○
友人がはまり勧められた記憶があるようなないような
こんな話だったんですね
本を食べるって…なかなか斬新な設定ですね
さらに自分のことをチャーミングですか
文学少女というタイトルと表紙の絵からは想像できないですね…
[ 編集 ]
○2012/05/25○
返信遅れました。

> ふむ、このシリーズ読んでないからよく分からん。

結構有名なシリーズだけに、手に取る気が薄れていく典型的なアレですね。個人的には「ゼロの使い魔」とかでしょうか。まぁ、文学の難しい話が延々続くわけもない、コメディ調ミステリーなんでとりあえず立ち読みでもいかが?

> 横のツイッター読んで浮かんだ一言。
> 「休日とは言ったが休日出勤が無いとは言ってないでゲス」

それを詭弁というのだよワトソン君。
この日本にしっかりと働いてくれる労働組合はおらぬか!おらんか。最近朝立ち上がると足裏に激痛が走ります。
[ 編集 ]
○2012/05/25○
返信が遅れました。申し訳ありません。

> 友人がはまり勧められた記憶があるようなないような
> こんな話だったんですね

有名なタイトル、かつ世間的な(ネット面でも)評価も悪くない作品ですから、ライトノベル界において屈指のオススメ率を誇るのではないでしょうか。ことさら濃厚な恋愛描写があるわけでもなく、男女隔てなく楽しめるミステリー要素含めてこざっぱりとした印象ですね。

> 本を食べるって…なかなか斬新な設定ですね
> さらに自分のことをチャーミングですか

いけすかない感じではなく、半ばの「天然ちゃん」なので、そのあたりの言動にいらだつことはめったにないと思いますので判断基準から抜いてもらっても大丈夫です。

本を食べる、というと一冊丸々といったイメージですが、実際はページを破いて一枚一枚食すことになります。ただの設定ではなく、裏事情をあわせた「食事」なので奇抜さだけが先行していないのもいいですね。

> 文学少女というタイトルと表紙の絵からは想像できないですね…

文学を愛しすぎて、文字通り「食べてしまうくらい好き」なわけですね。最初のイメージはそういうことなんだと思います。作中での実在の作品を上げての彼女の感想には耳を傾けさせられます。

ちなみに今作の主題テーマは太宰の「人間失格」。
[ 編集 ]
○2014/03/24○
このコメントは管理者の承認待ちです
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