espliaのちょっとだけ時代遅れ。

生むは雑感、生きるは過去、ちょっと遅れた感想中心ブログ。

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Kaguya~月のウサギの銀の箱舟~、雑感









世界がこれ以上狂ってしまう前に、私が目を覚まさせてやる。






espliaのあらすじ

14年前、彗星が月に衝突して以降、世界は変わった。

6つの月の欠片が地表に落ち、いくつかの街が瓦礫と化し、復興を遂げた「月之宮市」では「アルテミスコード」を持つ特殊な子供たち「ムーンチャイルド」が生まれた。


能力を使った犯罪を減らすべく組織された公安特課に協力する「真田宗太(さなだそうた)」は、ある日道端に蹲る銀髪の少女と遭遇する。



読み終わった感想は、「世界観の練りこみが浅い分、キャラクターのあざとさがやけに鼻についた作品」といったところでしょうか。



まず世界観についてですが、

そもそも「ムーンチャイルド」や「アルテミスコード」という独自の単語を使ってはいても、結局中身は便利な超能力以上でも未満でもなく、他作品の設定と大きく価値を分かつ面白さというものはありません。


今作では、この能力の発現、実行が、差別の対象となっているため、話の展開を進めるための道具という認識も強く、後半になって論調を強める「アルテミスコード」を持つ人間の不運が、どこかとってつけたようなものになっていしまっているように感じられました。


というのも、子供を「アルテミスコード」で救っただけで自宅軟禁(明言はされていませんが)されるような世界でありながら、一方では国の重役として重宝されている。

そのくせ能力使用時に浮かび上がる文字式についての解明や「アルテミスコード」の発現の兆候、血液検査やDNA検査の差異など、無視できない問題への回答がほとんどなく、深刻な問題の割には対応がなおざりに見えてしまうのが一端といえるでしょう。


無論、筆者はすでにそれらに答えを出していて、一巻では情報を出していないだけという可能性もありますが。



物語の流れ自体は、適度に謎を散らしながら「真犯人」追う、というシンプルな構造で、読み手自身にも考える余地を与える奥行きを持っています。

しかし主人公自身の明かされない痴情の縺れ(もつれ)染みた過去の情景が無意味に入り乱れたり、過剰な「この人が犯人ですよアピール」が行き過ぎて空回りしていたり、上述した「アルテミスコード」が便利能力以上の意味を持つとは思えなかった点を含め、練りこみの浅さを感じてしまいました。


一部の言動も奇妙で、「真犯人」を看過していながら、犯人を取り逃がした自分が無能であると泣き喚くヒロインにはなんとも言えない心地に。

これでは、あらかじめ決められた、主人公とヒロインの絆が深まる「イベント」を、とりあえずやっつけで消化しているようにしか見えません。


後半のバトル要素も、主人公の能力を鑑みれば差し障りのない、・・・・・・というより誰もが最初に思いつくであろう転用方法を用いるため驚きも、発想の転換に驚くこともなく、画面栄えはするだろうかくらいの感慨しか抱けなかったことも大きな失点でした。



キャラクターに関しては、ヒロインがあざとい。というより「卑怯」な境遇にい過ぎることが鼻につきました。


盲目対人関係壊滅健気でおまけにドジっ娘。もちろん容姿端麗

不幸な生い立ちを含め、多少優しくされればどんな人間にもホイホイついていくことでしょう。


主人公とヒロインという間柄でありながら、二者間を繋ぐ情報があまりにも少なく、中盤まで「うまく手懐けた」ようにしか見えないのはヒューマンドラマとして売り出すには致命的です。

出会って数分で「僕の部屋に来ないか?」、という言動はもはや袋叩きもの


腐ってもライトノベルの主人公であり、心情描写が読み手に見えるためギリギリ許容は可能ですが、せめて疎通のきっかけを序盤に用意し、地盤を固める努力は怠らないで欲しかった、というのが本音でしょうか。



逆に今回の「真犯人」の思想は良い意味で「向こう見ず」かつ「世間知らず」で、半ば感情的に事件を起こした人物の行動原理に適っていましたね。

変に悟りを開いて、ダラダラ思想やら社会の思惑やら垂れ流すよりは、不純ではあっても説得力があります

さりげない(かどうかはさておき)伏線を序~中盤あたりに置いておくのも、申し分ありません。


ただ「真犯人」当人の情報。またそれに深く関係する人物の情報も著しく不足しているため、読み終わったあとの感慨が薄いのが難点ではありました。


ヒロインは当然として、目くらましを含めて複数人。それぞれの掘り下げを行ったほうが読後感がいっそう味わい深くなったのかもしれませんね。




伏線として出てきた「カラス」を含め、物語としては序盤も序盤。今後の展開に期待したいですね。




気になった方は、上記に留意しつつ、購入を視野に入れていただければ幸いです。
















読了お疲れ様でした。

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○2012/04/30○
「Kaguya~月のウサギの銀の箱舟~」は確か、五巻完結でしたね。なんとなく、買ってないし、読んでないです。

彗星が月に衝突して以降、世界は変わった~とかいう話だとは知りませんでした。

余裕があれば立ち読みでもしてみようかな。
[ 編集 ]
○2012/04/30○
他に読むものが無くて暇でしかたがないなら、読んでもいいんじゃないでしょうかね。

この作者の新作も惰性で読んでるけど登場人物の言動が不快で早く終われと思いながら読んでる。ギャルゲでの唐突な無駄シリアス並みの不快感。
[ 編集 ]
○2012/05/04○
毎度のことながら返信が大幅に遅れました。申し訳ありません。

> 「Kaguya~月のウサギの銀の箱舟~」は確か、五巻完結でしたね。なんとなく、買ってないし、読んでないです。

この筆者さんだと『さくら荘のペットな彼女』のほうが有名でしょうかね、5話完結とは知りませんでしたが、しっかり書き終えてから次の作品を執筆しているようなので、不誠実な方ではなさそうですね。

本作はわりかしコッテコテの「萌え」や「ヒロイズム」が蔓延しているので、捉え方しだいでは十分に良作になりえると思います。

> 彗星が月に衝突して以降、世界は変わった~とかいう話だとは知りませんでした。

結構シリアスな話です。上の「萌え」「ヒロイズム」云々と矛盾するようですが、軽快なノリの異能力モノではありませんね。思想やら社会の思惑うんぬんの話も出てくるので、余計に小出しの設定が薄っぺらくみえてしまいました。

> 余裕があれば立ち読みでもしてみようかな。

まずは合う合わないの裁定が必須ですね~。
ただ、ヒロインに愛着がもてれば話の内容に関わらず買ってしまってもいいかもしれません。ここまで「ヒロイン」を大事にする話も珍しいものです。
[ 編集 ]
○2012/05/04○
毎度毎度返信遅れて申し訳ない。

> 他に読むものが無くて暇でしかたがないなら、読んでもいいんじゃないでしょうかね。

そんな状況に陥る人はまずいない、という現実。まぁ確かに暇なら読んでみてくださいレベルなんで正論ですが。もうちょっとこうアクを強めるなり、堅実にいきたいなら設定を煮詰めるなりしてほしかったです。

いろんなシーンを一挙に楽しめるのはいいんですけど、予定調和に見てしまっては逆効果。

> この作者の新作も惰性で読んでるけど登場人物の言動が不快で早く終われと思いながら読んでる。ギャルゲでの唐突な無駄シリアス並みの不快感。

登場人物、なかでも主人公の言動、行動は大事ですよねー。去年の最高評価を獲得した「ホワイトアルバム2(スペル適当)」をやってみましたが、あんまりにも主人公がゲスすぎて棄権。タップ!タップ!

悪役とはいっても相対的には信念のある行動であってほしいですし、物語に関わる登場人物はある意味で「誠実さ」が求められます。
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