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キーリ3【惑星へ往く囚人たち】、 雑感








今度は帰る場所がある。






電撃文庫さん刊行、壁井ユカコ著『キーリ3惑星へ往く囚人たち』についての雑感を今回は綴っていきます。


本文前の注意としては、3巻まで続けての感想となり、下地となった前の巻のネタバレを挟む余地が多くなります。そのため今回の雑感はあくまで個人的な感想にのみ終始する、読み終えた人向けのものとなります旨、ご了承ください。


Espliaのあらすじ

砂の海での事件が終焉を迎え、「キーリ」「ハーヴェイ」「兵長」ら一行は、寂れた炭鉱の町に身を寄せる。
永遠に誕生日を祝いつづける家族、囚人を乗せて惑星へと飛び立たせていた朽ちた宇宙船の残骸。様々な出来事の末、決めなければならない答えをキーリは捜し求めていく。


読み終わった感想は「事件の騒々しさから離れ、現実を見ざるを得なくなった三人の心情がうまく表現されている作品」といったところでしょうか。



砂を走る船という限定的な空間から視野を広げ、一つの町という広大な空間を舞台にした本作でも、主軸とは別の小話が絡みあう短編的側面と、それら短編を通じて一つの源流に視野を戻す続編的側面の持ち合わせ独特の作風は顕在で、前巻までの雰囲気の変容に耐えられない人もオススメができるものとなっています。


登場人物の数が一巻ごとに一人増えていく形式とはやや赴きを異としますが、短編形式で様々な人物の思想が映えるため、所謂「画面映え」にも乏しさを感じさせず、不死人というファクターを強烈に扱ってのアクション要素、流れるままに流されていく旅路への不安を緻密に描いた心理面での葛藤が封入され、万人受けを期待できる完成度の高さは相変わらずといったところでしょうか。



相変わらず合間合間に挟まる小話のバリエーションは豊富で、どこかもの悲しく、しかし後腐れの無い絶妙な具合の筆色は今回も顕在。

怪異の発生、解決にいたる方策までは前作、前々作とあまり代わり映えはしませんが、今作では「ハーヴェイ」の友人(?)たる「ベアトリクス」が登場することによって、風の向くままとも思える曖昧な行動方針に明確な流れが用意され、また「キーリ」にとっては憎き恋敵の出現とあり、固まって行動する理由が「なりゆき」にのみ依存していた三者三様の思惑が、徐々に疑念や精神的負荷へ発展していく様は鬱々としながらも見事な人間ドラマとして描かれている印象があります。


後半への伏線として残りつづける暗澹とした雰囲気ではなく、それら向き合うべき現実へ向き合った結果、不死人としてあらゆる経験をもったがため感情が欠落していた「ハーヴェイ」がようやく1つ芯の入った「生きた人間」へと変容していく過程は、『キーリ』という作品の一つのテーマであるよう考えられ、読み終わった後の余韻がなんとも言えず味わい深かったですね。



今作も、兵長に腕の肉を吹き飛ばされ、銃殺一歩手間に追い込まれ、人体実験の餌食になりかけ、挙句宇宙船の爆発に巻き込まれ、最後に生き埋め、という壮絶なやられっぷりを見せてくれたハーヴェイも、さすがに次回以降に影を見せそうです。



キャラクターに関しては、前作、前々作同様、キーリら一行の「不器用さ」が前面に押し出されているので、「言いたいことははっきり言え!」といった即断即決を主人公らに求める読み手さんには当然向かず、ある程度人間関係の解れを眺めていく気長さが求められます


上記に「ハーヴェイ」が生きた人間へと変わっていく過程が本編の魅力、と書いたことからもわかるように、砂の船の一件を終え、ますます他者への介入を拒み始めた序盤は、キーリの誕生日をスッポカして悪びれたり、八つ当たり気味に兵長と喧嘩し始めたり、とやや度を越えた変容への痛みを伴う流れも多く、やきもきする場面が多かったのも少々気になるところで、一貫した作品としてみれば良質なものであっても、中途で眉をしかめる人は多くいるのではないでしょうか。

相変わらず父性全開の兵長はさておき、今作ではキーリにあまりスポットは当たらず、肝心な彼女自信の気持ちがなかなか目に見える形で現れないため、作為とはいえ中途までは「無邪気」かつ「能天気」に構えているようしか見えないのも、ややネックであるように思います。



次巻からは、今まで寄り添って離れることのなかった二人が離れ、別々の場所へ向かっていくことになり、今までの主流である「いっしょに旅をしているからこその発生した問題」がどういった形で変容していくのかに期待が持てそうですね。


非常に個人的な意見を言わせて貰えば、寄り道をしているに過ぎない兵長の存在しかり、あまりにも足場の固まっていない三人の物語は、見ていて肝を冷やすほど安定感に乏しく、その「儚さ」こそが作風というのは重々承知であっても、もう少し話の落としどころを推量できるようにして欲しいものであります。ある日突然デッドエンドを迎えても全く不自然でない、というのがある意味怖いです。



そういう意味では今作最後に見られるハーヴェイの拠り所は、1つの光明になりうるのかもしれません。




気になった方は、2巻含めての購入を視野に入れ、上記の注意点に留意しつつ購入を検討していただければ幸いです。














読了お疲れ様でした。


追記
感想記事として入れるべきか悩みましたが、たまには独り善がりな感想も必要と思い、私見大目、ネタバレ大目で書き上げました。更新も遅くて申し訳ありません。
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○2011/11/11○
脱落したので読んでない。

宇宙船とか出てくるような話だったっけ?と首をかしげたがハベさんが超科学の不死人形だったから出ても不思議じゃないか……でもへーちょが幽霊だしとか考えてまあどうでもいいかと。

[ 編集 ]
○2011/11/13○
返信送れてもうしわけない。

> 脱落したので読んでない。

前にそう言ってたからさすがに今回はコメントしないだろうなぁ、とタカを括って仰天です兄貴!

さすがにこれ以上シリーズ感想を増やすのもアレなんで、4巻以降は自分で楽しむだけに留めておきますん。
他の作品についても同様、あんまりにもコメントが書きにくいなぁ、と思った場合は遠慮なくスルーしてくらはい。

> 宇宙船とか出てくるような話だったっけ?と首をかしげたがハベさんが超科学の不死人形だったから出ても不思議じゃないか……でもへーちょが幽霊だしとか考えてまあどうでもいいかと。


もともとの設定が地球じゃなくてどっかの惑星だったから、そもそもキーリ達の星は地球からの移民によって開拓されている、らしい。正直三人の動向ばっかりに注目し過ぎて土台への言及が珍しく気にならなかった作品は私にとって珍しかったり。

宗教が根本的に違かったり、砂の海と曇天が当り前の日常ってのは今にして思えば物凄くファンタジー。あ、この場合はSF、なのでしょうかね。未だに両者の線引きがわかりませんなぁ。未知を称して魔法とするなら、進みすぎた科学もまた魔法という、手垢のついたテーマに再考してみるのも一興やもしれません。
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