espliaのちょっとだけ時代遅れ。

生むは雑感、生きるは過去、ちょっと遅れた感想中心ブログ。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
*
スポンサー広告 ○ Trackback:- ● Comment:-○

精恋三国志【1】、雑感








私の手はもう塞がっているのだ。

空いた手は槍を握るためにしか使えぬ。







電撃文庫さん刊行、奈々愁仁子著『精恋三国志1』についての雑感を今回は綴らせていただきます。

Espliaのあらすじ

流浪の武芸者「趙雲(ちょううん)」は、旅路で死にかけていたところを異国情緒漂う少女「優音(ゆういん)」によって救われた。
一命の恩に報いるため、趙雲は優音の育て親たる四神「玄武(げんぶ)」より戦乱を左右するほどの力を持つとされる<六曜石>の奪還を決意することとなる。


読み終わった感想は「三国志を扱ったメディアとして硬派だが、それが面白みを欠く因子になってしまった作品」といったところでしょうか。



筆者もあとがきで書いているように歴史好きが昂じてか、本編は『三国志 演義』の主軸を踏襲しながら、あえて戦乱を左右するほどの天変地異を引き起こす“六曜石”、英器を持つ人間に力を与える“仙霊”という非常にファンタジックな2柱の設定を用意し、物語が硬くなりすぎない緩衝材とする一方。

ト書きにおいても基本姿勢は群雄の動き、勢力図、国土の気風や文化の説明などが非常に厚く、北方謙三『三国志』を彷彿とさせるような描写が散見されることもあり、昨今に目立ったメディアの一例として挙げられる『一騎当千』や『恋姫†無双』といった、ある種「突飛」ともいえるオリジナリティを発揮する作品とは完全に赴きを異とした、良くも悪くも硬派な印象が最後まで残りました。



問題は、硬派な作風にありながら主軸となるのは不器用な男女の旅路、二人が恋に到るまでの経緯、先述した不可思議を引き起こすファンタジックな部分に物語の本質が因ってしまうっているため、「硬派なのに浮世離れしている」というどこか釈然としない全容になってしまっていることが挙げられます。


趙雲、優音のメインキャラクターらの言動も文体としてどこか柔らかさに欠け、戦や情勢に分量を割きすぎているのか、徐々に二人の意思が寄り添っていくような濃厚な心理描写も見られず、後半になってようやく盛り上がってくる局面に対し、感情が着いていかない場面が多々見られました。


硬派であることにはもちろん良い面もありますが、『三国志』という既存の作品を舞台とし、それを忠実に扱えば扱うほど、「誰がどこで没するか」が予見し易く。
今後どれほどの災難を用意しようとも、読者の驚愕や感動を得難くなる可能性は当然無視できるものではありません。



ストーリーは、三国志についての予備知識がない人には濃厚な時代背景と舞台設定に圧倒されつつも、全体的にはオーソドックスな恋愛譚以上でも以下でもないため、目立って嫌悪感を覚えることはないと考えられます。


ただ、趙雲らの敵対者として描かれる人物達については「暴虐」「傲慢」「向こう見ず」の三要素がばっちり嵌った、あまりにも「らしい噛ませ犬でしかなく。主人公等の凌ぎを削りあう熱さもなければ魅力もない、単なる端役としての認識が最後まで払拭されない点は物語の彩りを不足させ、同時に物語を牽引するための力不足を感じられずにはいられません。


また、趙雲が物語の序盤から完成された人間として描かれ、既に懊悩を必要としない、行き着くべき境地に達してしまっていることに端を発し、作品のパワーバランス(物量とは少々違う)が圧倒的に主人公らに注がれることによって、困難を乗り越えた際に感じられるべき到達感が得られないというのも大きな痛手であるように思われます。


独り善がりではありますが、やはり恋路というのは段階的な精神的成長を含めて味わいたいものです。



三国志という題材であえて書き続けるというならば、全員美少女!みたいな濃い味付けはさておき、史実に沿うだけではなく、ライトノベル作品として挑戦的なオリジナリティというのが必要なのかもしれません。


次巻以降に期待がかかりますが、購買意欲の方はさてはて。




気になった方は上記に留意しつつ、購入を検討していただければ幸いです。















読了お疲れ様でした。




追記
以外にも難産な感想となりました。
文章がところどころ妙かもしれませんが、見なかったことにする勇気でお願いします。
スポンサーサイト
*
○2011/11/04○
タイトルがナンバリングされているのに続きが出てこない作品は物悲しいな。

まあ、文体のせいで堅苦しいと読んでて感じたのと爽快感も薄かったので二巻は遠慮しとこうかと思ってたからいいんだけども。
[ 編集 ]
○2011/11/05○
返信送れて申し訳ない

> タイトルがナンバリングされているのに続きが出てこない作品は物悲しいな。

どおりで画像検索に一巻の表紙しか出てこないわけですなぁ。

三国志って最近ではわりとポピュラーな題材だけど、その分興味のない人にはとことん興味のない分野で、わざわざライトノベル買ってまで読もうって人も少ないのかも。

あとがきにストーリーは書き溜めてる、って話もあったくらいだし。筆者の気質云々より売上の問題なんでしょうね。

> まあ、文体のせいで堅苦しいと読んでて感じたのと爽快感も薄かったので二巻は遠慮しとこうかと思ってたからいいんだけども。

文体はともかく、もっと武将を華やかにしてほしい印象。硬派を書きたい思惑があっても、表紙が萌え絵である以上はエンターテイメントとしての割り切りっていうのは必要なんだと思います。

この作品に足りないのはユーモアの奇天烈さ。恋姫ほどどぶっ飛んでいて中身が薄いのはそれで困りるんですけど、能力バトルくらい封入してもバチはあたらなかったかも。

個人的には共通の認識をもたせるため、やり尽くされた手法ながらも現代人を主人公にしたほうが良さげと愚考。織田信奈~ほどおちゃらけない程度で。どうにも難しい塩梅ですな。
[ 編集 ]
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL


twitter
ブログに対する掲示板の役割を兼ねておりますので、出来うる限りこちらにも目を通していただけるとありがたいです。

フォローしてくださるお方は「esplia」と検索して頂くと簡単に見つけられると思います。


espliaの生態


esplia

Author:esplia


【読書中小説】
神様のいない日曜日
幕末魔法士
KAGUYA~月の兎の銀の箱舟~
文学少女と死にたがりの道化
中の下!
曲矢さんのエア彼氏


【プレイ中(&予定)ゲーム】
黄昏のシンセミア
elona
グリザイアの果実
はつゆきさくら【済】
穢翼のユースティア【済】


【鑑賞中音楽】
嘆きの音
Dead End
borderland
少年よ我にかえれ
ノルエル
灰色の水曜日


【オススメゲーム】
FLYABLE HEART
永遠のアセリア(なるかな含)
遥かに仰ぎ、麗しの
装甲悪鬼村正
Fate stay night(hollow含)
てのひらを、たいように
月光のカルネヴァーレ
君の名残は静かに揺れて
BALDRシリーズ(戯画)
ひぐらしのなく頃にシリーズ
うみねこのなく頃にシリーズ
東方シリーズ(SLG、文、WS含)
夜明け前より瑠璃色な
CROSS†CHANNEL
リトルバスターズ!
CLANNAD
STEINS;GATE


恒久的に不定期更新ですが、
よろしくお願いします。

週一更新005


当ブログはリンクフリーです。
こちらから打診した場合は了承があるまでリンクには追加いたしません。

ブログ内検索
ブロとも申請フォーム
メールフォーム
相互リンクの申請は、
「ブロとも申請フォーム」
または、
ここにお願いします。

名前:
メール:
件名:
本文:



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。