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生むは雑感、生きるは過去、ちょっと遅れた感想中心ブログ。

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騎條エリと緋色の迷宮【英国亭幻想事件ファイル】、雑感








でも、そんな馬鹿なお前が、わたしは嫌いじゃないよ。






電撃文庫さん刊行、秋月大河著『騎條エリと緋色の迷宮【英国亭幻想事件ファイル】』についての雑感を今回は綴っていきます。

Espliaのあらすじ

「生きたいと望むならば、手を貸してやる」

東京を震撼させる連続殺人事件に巻き込まれた小説家「瀬名皐月(せなさつき)」は、事件に深くに関わる<EVE>という「菌糸」の究明に血道を上げる「騎條エリ」と共に、不可解な殺人事件の真相を探り始める。


読み終わった感想は「描写、伏線ともに無駄のないミステリーを構築しながら、後半の展開で失敗した作品」といったところでしょうか。




本書が紹介文としてミステリーというカテゴライズを得ているように、犯人についてはファンタジー色を濃厚にしながらも、お約束である「被害者の傾向」、「犯人の行動理由」、「行動範囲」などの検証が無駄なく配置され、会話のさりげない一文に後々への伏線を仕込むなどなど、随所にプロットの完成度の高さが伺えます。



やや独自の宗教(そもそもが人間の常識とは乖離した存在であることも含め)に因った節はあるものの、“犯人”の動機は等身大かつ、詳細が明示されており、「犯人=悪」という単純な式に終わることなく描写されている点。

無実の人々を殺戮するという負い目から精神的に追い詰められる様子が描かれていることもあって、「人を殺した」という負の側面にばかり思考がいかず、同情を禁じえない状況に置かれている点を含め、結末の明るさがより「喜べる作り」になっているのも、読了後の爽快感に一役買っているように感じられました。



犯人を見つけられないと自分(主人公であることが多い)が死んでしまう、という「デッドリミット型」ミステリーに必須な主人公「皐月」の葛藤が、上記の状況に加わって描かれることにより、三者三様に絡み合う心境の複雑さを更に引き出している点も見逃せませんね。



問題は、それほどまでに完成されたミステリーの土壌を持ちながらも、中盤において何の前置きなく唐突に“犯人”が明かされることから一転、動的なバトル要素が作品に席巻してしまうという急激な方針転換にあり。唐突に推理パートをいきなり「打ち切られる」空虚感は筆舌に尽くし難いものであり。

中~終盤に掛けて、いきなり幅を利かせ始めたバトルパートそのものにおいても、最終的なオチが「体に死んだと錯覚させる~」という今までの論理的根拠を吹き散らかすような安着な発想に落ち着いていることなどを含め、不快感を禁じ得ません


<EVE>という菌糸に感染した人間がそれなりの数存在し、また専門の研究(医療)機関が被験者相手に「仮死」についての見地をもっていないとも考え辛く、なんとも煮え切らない展開としか見られず。

簡単に言えば「超能力者を生む可能性のある植物」を植え付けられながらも最後まで何の能力も発現せず、終始守られる側でしかなかった主人公というのも、盛り上がり欠ける原因であるように考えられます。


導入からして既に、「お前が犯人だ!」と名指しだけで解決するようなレベルの相手でないことはわかっておりましたが、ならば一層後半の展開を深めていって欲しいと願うのはなあながち的外れな願望とも思えません。




キャラクターに関しては、「騎條エリ」のやたらめったら「頭の良し悪し」を前提とした陰険な小言が序盤に目立ちイライラさせられる一方で、中盤の一点を境に彼女への印象が180度変わる演出が非常に映える起爆剤として機能しており、主人公との共感性が非常に高くなっている点は素晴らしく。前述した“犯人”の心理描写の濃さ、デッドリミット型故の主人公の葛藤という要素を含めて考えれば、人間ドラマとして大きな彩りを持っていると言っても過言ではないでしょう。


今後の布石か、英国亭の住人、取り分け「麟(りん)」についての記述が薄く、後半の展開に疑問を禁じえない描写が多かった点がやや気にはなりましたが、作品の評価をどうこうするものではないかもしれませんね。



総じて後半の展開にのみ難を覚える構成でありました。



文句が少々多くなりましたが作品の「八割」は非常に読みやすく、後半の好き嫌いで切り捨てるにはもったいない作品だと思いますので、オススメの一冊として挙げておきます。



気になった方は是非一度読んでみてください。















読了お疲れ様でした。





追記
10月最初の記事なのにサボリ気味ですいません。
次回は雑感ではなく日記形式になってしまうかも。

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○2011/10/05○
>>今後の布石か、英国亭の住人、取り分け「麟(りん)」についての記述が薄く、後半の展開に疑問を禁じえない描写が多かった点がやや気にはなりましたが

今後なんて無かった。現実は残酷である。

続編を見据えた内容でも音沙汰無しはたまにある。続刊が出て、次で最終巻というのに音沙汰無しもまれにある。現実は残酷である。

東方ssも音沙汰が無い。espliaは逃がさん。
[ 編集 ]
○2011/10/06○
> >>今後の布石か、英国亭の住人、取り分け「麟(りん)」についての記述が薄く、後半の展開に疑問を禁じえない描写が多かった点がやや気にはなりましたが
>
> 今後なんて無かった。現実は残酷である。

ははは!現実ってきびしいよねぇ。

そんな私だからこそ、唐突な無気力による執筆の中断は恋愛の自然消滅に似た原理性を幻視させ、醒め易く熱し易いスパニッシュ的な情熱感溢るる人間の臭物めいた本音を錯覚してしまうのであります。つまり、まぁ人のことは言えないので筆者さん頑張って続きかいてくださいね!とファンレターを送って差し上げるのが身に余る所業の果てかと。

物語のまとめかたは上手いと思うので、もし別の作品が出ているならチェックしたいところですね。


> 続編を見据えた内容でも音沙汰無しはたまにある。続刊が出て、次で最終巻というのに音沙汰無しもまれにある。現実は残酷である。


終盤に向かって設定が煮詰まってくると、壮大な物語についていけなくなって逆に読者が寒々しい感想をもってしまうのは仕様のない残酷な現実ですな。

伏線も謎さえわかってしまえば陳腐に見えてしまうことしかり、アガサクリスティーでさえ逃れられない伏線ありきの推理ものにありがちな「後半残念化現状」と言えるかも。やはり未知なうちが華なのでしょう。

悪しき身に染みる所見であります!


> 東方ssも音沙汰が無い。espliaは逃がさん。

そんな殺生な・・・・・・。

こんな同人誌でさえ扱わないような薄暗いSSに現実の某を一念発起させる力などさもありなん。ゆるーり、まったーり、『朝霧の巫女』の刊行ペースのような長い目で見てクダシア。え、ダメ? ダメですか。

まだまだ上旬(10日まで)には時間がありますので、まぁ気長に。
[ 編集 ]
○2011/10/06○
この小説は何となく買う気が起きなくて、買いませんでした。

結局読んでいないのですが、

>>問題は、それほどまでに完成されたミステリーの土壌を持ちながらも、中盤において何の前置きなく唐突に“犯人”が明かされることから一転、動的なバトル要素が作品に席巻してしまうという急激な方針転換にあり。唐突に推理パートをいきなり「打ち切られる」空虚感は筆舌に尽くし難いものであり。

ということでしたので、この話は「バトル」するところを削ったらどうなのでしょうか?

良作になりますか?

[ 編集 ]
○2011/10/07○
> この小説は何となく買う気が起きなくて、買いませんでした。
> 結局読んでいないのですが、

この後の質問に対する返答が少しでも気に入っていただけたならば、是非読んでいただきたい一作です。

> >>問題は、それほどまでに完成されたミステリーの土壌を持ちながらも、中盤において何の前置きなく唐突に“犯人”が明かされることから一転、動的なバトル要素が作品に席巻してしまうという急激な方針転換にあり。唐突に推理パートをいきなり「打ち切られる」空虚感は筆舌に尽くし難いものであり。
> ということでしたので、この話は「バトル」するところを削ったらどうなのでしょうか?
> 良作になりますか?

バトル要素がなければ作品がどう変容するか。
そう問われれば「ライトノベルらしさが失われる」という結論がもっとも的を射ていると考えられます。

本記事でも書かせていただいたように本編では序盤から「犯人=強力な力を持った異形の怪物」であることを示唆されていて、遠まわしに言えば推理という思考力をもって犯人にたどり着いただけでは解決できない前提があります。
なので中~終盤におけるバトル要素=「全く予見できない蛇足」であるかと言われれば実はNOなんですね。


なので私としては、うまく出来たミステリーはそのままミステリーとしての枠内を越えず、あくまで理知を武器とした結末として終えて欲しかったという願望があったため、今回の感想では「バトル要素への方針転換は作風にそぐわない」もしくは「もったいない」と評させていただきました。(オチが肌に合わなかったということも含め)

しかしバトル要素がなく、トリックや論旨に拠った犯人探しで終わるのはファンタジーを根幹とした「ライトノベル」としてみれば言うまでもなく「盛り上がらない」作品で、見方によっては異形を犯人として設定そのものが意味のないように見えてしまいます。

記事にも書かせていただいたように、次巻ありきの設定やオチが弱いという「部位的な欠点」は挙げられますが、バトル要素そのものが消されてしまえばそれはやっぱり別の作品であり、残りの8割を結果的に侵食することになってしまうかもしれません。


長くなりましたが、要約すれば「バトル要素=負の要素であっても作品としての完成度を保つためには切り離すべきでない」ということになるのだと考えられます。
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