espliaのちょっとだけ時代遅れ。

生むは雑感、生きるは過去、ちょっと遅れた感想中心ブログ。

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under 異界ノスタルジア、雑感








歪んでいるな。

まるで貴様のようだ。







電撃文庫さん刊行、瀬那和章著『under 異界ノスタルジア』についての雑感を今回は綴っていきます。

Espliaのあらすじ

深夜のコインロッカーで人知れず少女は息絶える。

失踪中の兄から手紙をもらった「霧崎唯人(きりさきゆいと)」は、反翼の魔女と呼ばれる何者かに手紙を渡す過程で、この世に救う「異界」という現実を知ることとなる。


読み終わった感想は「ファンタジー要素が濃厚にありながらもミステリーとしての面白みが損なわれていない作品」といったところでしょうか。



本作の全体的な評価としては、本書を位置付ける「サイコミステリー」の名の通り、本書においてはホラーというよりかはグロテスクというべき傾向の、やや生理的嫌悪感を臭わせる表現と世界観が幅を利かせている一方。


超常現象を扱いながらも、文脈や伏線から“犯人”を割り出すことが著しく困難なものではなく、またミスリードを誘発させるための煙に巻いたようなト書きが少ないことで全体的にスッキリと纏まった無駄のない作品であるように感じました。



通常、超常現象を扱った作品はトリックにそれを用いて煙に巻くものが主流で、あくまでミステリー要素は雰囲気にのみ終始するのが基本形であると思っていた私にしてみれば意表を付かれる形となりました。


それが全て。とまで評するにはさすがに大言ですが、退廃的な雰囲気と“異界”を巡る水面下での駆け引きのほか、ミステリーとしての副次的な楽しみ方を望んでも過剰に落胆はしないと出来栄えといっても良いと考えられます。




ただ、その一方で登場する数多のキャラクター達は、主人公「霧崎唯人」、ヒロイン(?)「月士那灯香(つきしなとうか)」を除き、やたら社交性に欠けた、読者層からすれば現実味のない奇怪な言動、行動が悪目立ちしている印象を拭えず。上述したように、超常現象を扱いながらも理論の破綻が少ない硬派な作風にはややそぐわないように思われます。


特に男と見れば、とにかく苛立たせる言動で喧嘩を吹っ掛けてくる「都狩(とがり)ノイン」は背景描写がほとんどないこともあり、全体的に不快感に感じることもしばしば。


その言動の果てに見える過去があるならいざ知れず、「社会不適合者の巣窟」という第一のインパクトを与えるためだけに設定されたようにしか現時点では推察できず、薬物中毒者でありながら常識人にしか見えない「秋雨芥太郎(あきさめかいたろう)」、言動の端々に「ハゲ」が付く以外は普通の子供でしかない「都狩レム」を含め、露骨なやりすぎ感を覚えました。



灯香という常識人兼ヒロイン(?)が用意されながらも、上の理由から女性キャラクター全体の魅力は低迷気味で、ライトノベル作品でありながらもラブロマンスを期待できるような作品ではない、ということに念頭を置いておくべきでしょう。


個人的にはレムの行動は基本可愛らしいものだったので、あの辛辣な口調だけはなんとかして欲しかったなぁ、というのが本音ですかね。




世界観については、現代社会を舞台としながらも“異界”と呼ばれる「魂の炉」についての言及が多いものの、その内容は非常にシンプルかつ端的で、理解がし易いものであることは最初に書いた通りで、難解な単語に頭を悩ませられたり、説明されないと意味を掴むことさえ適わない設定が蔓延っていたり、ということはほとんどありませんでした。


ただ簡素な説明が仇となっている部分も多少なり存在し。中でも“異界使い”達の戦闘では、使用する武具についての論理、原理への釈明や解説にやや乏しく、「これはそういうものである!」という断定がされるばかりで出自や能力そのものが宿った経緯が語られない寂寥感があるような気がいたします。


作中では最強と呼ばれる「反翼の魔女」も穿って見れば物理的な奇襲攻撃には耐え切れないよう思われことへの説明がなく、総じてバトル要素については簡素故の欠点が多く見られる印象がありました。




最後に。

今作のテーマはどれほど奇麗事を重ねようとも「狂気」がメインテーマであることは疑いようもなく、最後の最後で書く事ではありませんが、生理的嫌悪感を臭わせる「胸の悪くなる」文章が横行している点には特に注意してください。



文句が少し多くなりましたが、分厚い本ながらも簡素簡潔が徹底され、ファンタジックな群像劇のほか、ミステリーとしても楽しめる希な作品でありました。作中に蔓延る何処となく退廃的な雰囲気とグロテスクな描写さえ凌げればオススメできる作品です。

















読了お疲れ様でした。


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○2011/09/27○
under―アンダ……ウンデル。

読んでないのでなんとも言えないが少女はコインロッカーの中でヨガでもやってたのか?

作者の次シリーズは読んだけどグロではなかったから編集の魔改造があったのだろう。
[ 編集 ]
○2011/09/28○
この作品は図書館にあったので、借りて読みました~

でも、「サカナ狩り」としては、ラブコメ的な感じなのが好きなので、あまり好きではないかな?

とは思うものの、ストーリーは悪くなかった~って感じです。

二巻までしか読んでませんが、続きってありましたっけ?


最後に、電撃文庫「断章のグリム」をおすすめします
[ 編集 ]
○2011/09/28○
返信遅れて申し訳ない!

> under―アンダ……ウンデル。
> 読んでないのでなんとも言えないが少女はコインロッカーの中でヨガでもやってたのか?

そうそう、無理な体勢でも続けることによって血行がよくなって肩こり、頭痛が取れるんです。そのうちだんだん気が遠くなって、来世までグッスリ。(おい)

いろいろと鼻に付く言い回しと、キャラクターの個性はありますが結末までの道のりに無駄ななく、オチもそれなりにこっているので一度お試しあれい。


> 作者の次シリーズは読んだけどグロではなかったから編集の魔改造があったのだろう。

たしかにこの筆者さん、グロ主体の文章というより「社会の闇」みたいなものを過剰に表現した結果グロくなった印象。ファンタジー使っておきながらも根元の理路整然さを鑑みるに、ミステリものであっても十分に書きこなせそうな人なのかも。ただお世辞にもラブコメ向きではないですなぁ・・・・・・。

常に頭皮を心配する我々男(おのこ)にとって「ハゲ」って呼ばれ方は傷つくんです、うちの家系的に・・・・・・!

まだだ!まだ後退はせんよ!
[ 編集 ]
○2011/09/28○
> この作品は図書館にあったので、借りて読みました~

この本が図書館に・・・・・・。

いえ。まぁ、ミステリー小説係累は結構グロテスクな表現も多いですから、本というメディアで見ればさほど精神的重責は少ないかもしれませんが・・・・・・。司書さんの趣味でしょうか(こら)。


> でも、「サカナ狩り」としては、ラブコメ的な感じなのが好きなので、あまり好きではないかな?
> とは思うものの、ストーリーは悪くなかった~って感じです。


その通りですね。

この筆者さんに一貫して言えるのは、話の構成がうまく、無駄が省かれたスマートさがある分、本来ライトノベルの主軸になりやすいラブロマンスにほとんど文章が割かれていないんですよね。

登場キャラクターの大半も、行動を起す因子の大半が「私事」ではなく、全体的な動向に気を配った緻密さで動いている背景も垣間見え、良く言えば明快。悪く言えば、機械的といったところ。

過剰なエロハプニングというのもそれはそれで辟易としますが、もう少し寄り道があったほうが読みやすさはあるかもしれません。


> 二巻までしか読んでませんが、続きってありましたっけ?

現在近場の本屋では二巻までしか出ていないようですね。
次で完結なのでしょうか。


> 最後に、電撃文庫「断章のグリム」をおすすめします


『断章グリム』は象徴学と童話と猟奇表現がいい塩梅で交じり合った名作ですよね~。

物語を理解しなければ閉幕できないという能力が、無理なく主人公を動かす動機にもなっていて、猟奇的な表現が多い上でも読みやすさを感じます。

総じて女性キャラクターの愛想の薄さが気にはなりますが、「人魚姫」、「シンデレラ」といった子供向きにアレンジされた童話の数々の裏を紐解いていく感覚はある意味では「萌え」といえるかもしれませんね。

バトル要素がメインの作品ではありませんが、人魚姫編最後の起こる殺戮行進は凄まじいインパクトでありました。
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