espliaのちょっとだけ時代遅れ。

生むは雑感、生きるは過去、ちょっと遅れた感想中心ブログ。

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1×10 藤宮十貴子は懐かない、雑感








さよならテンマ。

いつか、きっとまた。







富士見ファンタジア文庫さん刊行、鈴木大輔著『1×10 藤宮十貴子は懐かない』についての雑感を今回は綴っていきます。

Espliaのあらすじ

猫を助けるために足を滑らせ、生死の世界をさ迷っていた「一条天馬(いちじょうてんま)」は、学園のアイドル「藤宮十貴子(ふじみやときこ)」に命を助けられことで「離れられない関係」になってしまったという。

「今日から私はあなたの犬です。どうぞよろしくこんちくしょう」


読み終わった感想は「メインキャラクターへの感情移入がし辛く、世界観の説明も希薄だった作品」と、いったところでしょうか。



作品全体としては、「天馬」、「十貴子」といった作中の中核を占めるキャラクターの行動原理がほぼ全て過去という因子に因っており、当然のことながら実感として得られない我々読み手からすれば、その一点に熱を上げている様子を見せられても疎外感を覚えてしまう可能性が低くなく。


またそれら過去が中盤~後半に掛けてようやく説明されることを含め、

「あの時のことを苦い気持ちで思い出すことになる~」

などのような「意味深な発言」が読者の苛立ちを引き起こす原因になっている節が見られます。



語られる過去にしても、天才であるはずの「天馬」が平凡な日常を送ることに腐心する原因としてはやや事件性や深刻さが足らず、結果からすれば受験疲れに値するような気炎が自然消滅したようにしか見えない点

ヒロイン「十貴子」が過去をバネに努力を重ねた~、というわりには「苦労」や「努力」の物語が用意されず、序盤の行動を見る限りではそれほど我慢を重ねているようには見えないこともあり、重視して伝えられるべき理想を目指す重みをほとんど感じられないことは大きく評価を下げる原因になってしまいました。



序盤で不可解な事件の連続させ、それを中~終盤で解説する。

そんな構成をしながらも盛り上がらない終盤に喜びを覚える人は果しているのでしょうか。


彼等が苦労してきたこと、耐え切れない重責があったことも字面では理解できますが、情の訴える描写をもう少し増やしてもよかったように思います。




上述に加え、結局主人公らが物語を通してどんな心境変化を得たのか、シリーズを通してどのような「終焉」へ持っていきたいのかが明確にされないこと。


用意された過去が語られた後も、「十貴子」側の心情表現がほとんどなく、主人公に対し、現在どういった気持ちを持っているのか。様々な奇行(夜中、布団に進入してくるなど)がどういった理由で行われていたのかも語られず、圧倒的な描写不足が気になり、それらが総じてキャラクター全般の魅力を引き下げているように感じられました。



穿った見方をすれば、「犬」であるのに「辛辣」。
そういったギャップあるセリフを言わせたいがために継ぎ接ぎを重ねたような、雰囲気重視の薄っぺらいキャラクター像であるようにも思われかねず、人間の心象風景を題材とした作品にとって痛撃であることは言うまでもありません。


主人公の特性が類希なる「天才児」という既に一般人とは異なるポテンシャルを持った人物として描かれていることを含め、読み手との共感性が蔑ろにされているような印象を受けました。




世界観に関しては、「十貴子」が目指すべき目標として「世界最強の魔法使い」という単語が出てくるため、“魔法”という単語がわりかし多く飛び交う一方、その魔法という不可思議なものに対する説明が、「基本は等価交換~」、という原理が語られるのみに終始し、最も重要であるはずの「AをBに変換する」根本的な術式への言及がほとんど見られず、科学実験の際、使う器具についてのみ説明がされるような的外れの感が強く残ります。


魔法というワードは所謂「記号」集合体で、論理そのものが深かろうが既に眉唾もののジャンルであることには間違いありません。
しかし、「作品の練りこみ」、「世界観の深さ」という筆者そのものを測る物差しとして機能している以上、それを疎かにする大義名分には成り得ないのではないでしょうか。




一応軽く憶測を混ぜて本編を推量すると、感情という不定形のものを、形ある力場に転換するという法則から、魔法を使うたびに使用者は感情が徐々に削られていくというような副作用もありそうですはありますが、言及はなく。物語の根本に関わっている印象が薄いため、結局なんで「魔法」という要素を出したのかが一巻を読んだだけではよくわかりません


十貴子が普段隠している不満を魔法に転換することで解消を図っていることから、序盤それほど鬱屈した様子を見せない理由になっている、なんて可能性もありますが。ガス抜きの発展形として「世界最強」に到達しても、それでは夢をかなえた後も現状維持にしかならず、少々的外れという感覚です。




エロハプニングや、転んでキスしちゃった!という話も大変結構ですが、生み出した作品のためにも、もう少し言葉を重ねておくべき部分があったのではないでしょうか。






気になったかたは上記に留意し、購入していただければ幸いです。
















読了お疲れ様でした。



追記(2011年09月22)

タイピングミスが非常に目立っていたため、文章構成がおかしい部分もまとめて改稿させていただきました。
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○2011/09/21○
かっこいい魔法の呪文とか考えるの大変だけどそうやって長いセリフを唱えさせれば違和感は少ない。この作品の場合一言で発動して描写もおざなりなので違和感が酷い。

シリーズとしては終わりをブン投げた未完エンド。誓約の魔法が~とかどうやって叶えるんだよって読んでたら決着も着かずに打ち切りやがった。

四巻も付き合ったのにそりゃ無いぜって事でこの作者も新作を買うのを躊躇う一人になった。
[ 編集 ]
○2011/09/22○
私も三巻くらい?購入してはいますが、途中で読むのをやめちゃいました……

次の巻への期待が持てない、わくわくしながら読めない。

あと、魔法ッテナンデスカ?ていうかんじ?

全体的に内容が薄いのには同感です……
[ 編集 ]
○2011/09/22○
私もシリーズは、全部読んでいるはずなのですが・・・


いまいちおもしろさが分かりませんね。


あんまり盛り上がりもなかったような気がしますし・・


いきなりキャラが出てきて、十貴子 をおもちゃにし始

めたと思ったら・・・ 魔法使いはおもしろいことが好

き ということで、収めすぎなきもしますね。

あまりおもしろい作品とは言えないかもしれませんね。
[ 編集 ]
○2011/09/22○
> かっこいい魔法の呪文とか考えるの大変だけどそうやって長いセリフを唱えさせれば違和感は少ない。この作品の場合一言で発動して描写もおざなりなので違和感が酷い。

評判に比例して批判も多い『とある魔術の禁書目録』もそういった観点でみれば無茶な理論体系でも宗教的な解釈が多分に入っている分「それらしさ」がありますな。

最近のものだと漫画『夜桜四重奏』に言霊使いというのが登場しますが、魔法=言霊の使役という大雑把な組み分けではライバル役の錬金術もどきは説明できず。呪言の体系ならもっと陰陽道あたりに精通しているかと思いきや西洋の魔術書を齧っているような印象。

総じて複雑怪奇、というか簡略化された「なんかすごい魔法」なんでしょうね。


> シリーズとしては終わりをブン投げた未完エンド。誓約の魔法が~とかどうやって叶えるんだよって読んでたら決着も着かずに打ち切りやがった。

人のことは言えないけど、打ち切りは酷いぞー!(え)

小説のプロットは普通最初と最後が決まっている(と思う)ものなので内容そのものが無いというよりは売れ行きの問題で差し止めされた可能性が高いですね。そりゃ一作という濃厚なものに全精力をかけてくる新人投稿者の全ては裁ききれないでしょう。

自分の物語を文章に起すのも楽しいばかりではないでしょうし。


> 四巻も付き合ったのにそりゃ無いぜって事でこの作者も新作を買うのを躊躇う一人になった。

私もこの人はあんまり好きになれそうにゃありませんな。
一冊読んで、はい見限りというのもさすがに主観が過ぎるので、ためしのもう一冊くらいは手を出すかもしれませんが。やや物語の視点が、こちらの向けて欲しい場所と違う場所を向いているように感じられてなりません。
[ 編集 ]
○2011/09/22○
> 私も三巻くらい?購入してはいますが、途中で読むのをやめちゃいました……
> 次の巻への期待が持てない、わくわくしながら読めない。

週間紙の漫画などとは少し違うのは承知しておりますが、何か一波乱が巻き起こりそうな予感を以って興味が引かれるとは違って、小説は好ましく思えたキャラクター達が次に改めてどんな話に巻き込まれていくのかが楽しみであることが多いように感じますね。

キャラクターありき、とまではさすがにいえませんが設定や場面描写よりも個人的には主人公への共感性や同じ観測者としての同調性は重要な要素であると考えております。この作品に足りないのはまさにそこの部分なのではないかと。

> あと、魔法ッテナンデスカ?ていうかんじ?

ヒロインが世界一を目指すもの。それがなぜ「魔法」でなければならなかったのか。ここが本当にわからないんですよね。感想にも書いたように実際の行為についての理論付けもさることながら、なぜこうも抽象的な夢を選んだのか・・・・・・。

かたやアンドロメダ、ということで「到底無茶な夢」は何か無いかな~なんて前提としてとりあえずひねり出したような印象もないとは言えず、「世界一のサッカー選手」「世界一のシェフ」などのように世界一へいたるまでに様々な試練があるものでは予備知識が必要なので、あえて独自のファンタジー要素を用意し、予備知識そのものを捏造したいのかもしれません。もちろんこれはあくまで推測ですが。

> 全体的に内容が薄いのには同感です……

死にかけた主人公が、少女によって生き返った。という以外で本編では何一つ進歩というのが垣間見られないことが原因なのかもしれません。

一応主人公が眠らせていた「本気」と十貴子との過去は取得した形ですが、結局前々から持っていたものを再確認しているだけで、そこからどう物語へ発展させていくかが一巻の時点では先送りされているようにしか見えませんでしたね。
[ 編集 ]
○2011/09/22○
> 私もシリーズは、全部読んでいるはずなのですが・・・
> いまいちおもしろさが分かりませんね。
> あんまり盛り上がりもなかったような気がしますし・・

結局のところ、身内の話が主体となっていて内輪もめに近い痴話喧嘩を含めて、纏まりが良すぎるのが原因だと思うんですよね。

もちろん私が知っているのは一巻の物語だけで全体の感想というものには言及できないのですが、過去をオチとし、過去を秘匿して最後まで物語を進めるだけでは読者観点から見た場合、未来への一歩を踏み出すというよりはその場で足踏みを続けているような不毛さが見え隠れしているように感じれてしまいます。

本気を出さなかった男が、「しゃあねぇ」と実力を出した。では、それからどう考えが変わったのか、関係をどう煮詰めていくことに決めたのか、その場限りの格好良さではない決意の「深さ」をグングン前に出してくれたほうが青臭くてもまだかみ締める味の具合は変わりそうなものです。

> いきなりキャラが出てきて、十貴子をおもちゃにし始めたと思ったら・・・
> 魔法使いはおもしろいことが好きということで、収めすぎなきもします。
> あまりおもしろい作品とは言えないかもしれませんね。

「知的好奇心」があれば過程に倫理は必要ない、なんて幾らなんでもそれでは納得できませんよね。

ライトノベルで比較的によく見られる「一般的な思考回路とは無縁の敵」というものも、その思想に到った理由を揚々と語ってくれたならば理解は出来ずとも納得のしようはありますし。

今作の問題は、結局魔法使いという存在が「職」なのか「才能」なのか「組織」なのか「学問」なのかが線引きされず、にも関わらず一足飛びで個々人のポリシー、生き様にまで文脈を広げてしまったことで、薄っぺらさが露見していることにあると思います。基礎なくして家は建たず。設定が甘さが見えます。
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