espliaのちょっとだけ時代遅れ。

生むは雑感、生きるは過去、ちょっと遅れた感想中心ブログ。

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葉桜が来た夏、雑感







心から世界を変えたいと願うのなら、
君はそれだけの力を手に入れるべきだ。

ただここを出ても君は無力なままだ。






電撃文庫さん刊行、夏海公司著『葉桜の来た夏』についての雑感を今回は綴っていきます。

Espliaのあらすじ

200×年宇宙より飛来した地球外生命体「アポストリ」。
女性固体でのみ繁栄し、人間離れした力を有する彼等。そして地球に住まう人間との争い勃発し、数十年後の世界。

「南方学(みなみかたまなぶ)」はアポストリ居留区に住まいながらも、母と妹を殺害した片腕のアポストリに復讐心を抱きながら、同時に同族たる異星人への恨みを深めていた。


読み終わった感想は「主人公らの心境変化が微笑ましかった一方、世界観への言及が少し物足りない印象が残った作品」といったところでしょうか。




あらすじにも記述したように本編の主人公「南方学」は、美人揃いの異星人「アポストリ」の居留地に住まいながらも、彼等を憎みに憎むスタンスを保っているため、共棲という(同棲に似ている)システムの過程でやってくるヒロイン「葉桜」への暴言を筆頭に、どこか世間を斜に構えて見ている節がまざまざと垣間見え、やや的外れな思考回路を含めて痛々しさが目立つように感じられました。


異なる星からの来訪者、とはいっても姿形は人間そのものであること。また母と妹を殺害したのがアポストリだとしても、「殺人者=種族そのもの」という思考回路は一定の理解は得られるものの八つ当たり感が強く、読み手からすれば過剰なまでの言動を含めて不快に思う事もしばしば。


ただそんな子供じみた言動、行動に終始していた主人公が葉桜という理解者を得て、徐々に考えを改めていく過程はやはり微笑ましいものがあり、序盤に感じる不快感があればあるほど後半のニヤニヤ具合がアップするのではないでしょうか。そういった意味では序盤の痛々しさは後半への布石なのかもしれません。




キャラクター全般に関しては、上述に比例し、主人公の内面が復讐という一点にあるため、短絡な分理解がしやすく。バックボーンが丁寧に描写されるため行動原理が明瞭です。

また、葉桜も葉桜で、言動と行動が常に一致する子気味良い性格もあって基本的な後ろ暗さがなく、一方的に詰られる立場であるにも関わらず持ち前の生真面目さと明るさに救われる場面が多かったように思います。後半の異常な頼もしさも含め、数多見てきてヒロインの中でもかなりの好印象


登場人物がやや少ない上、学、葉桜といった主要メンバーについてのみ掘り下げが行われていることで内容が散漫にならず、本作で恐らく筆者の描きたかったであろう心境変化にのみスポットを当てる構成も悪くありませんね。


妻と娘を殺害されながらもアポストリを受け入れることに心血学の父を初め、葉桜の伯母「茉莉花」など、キーマンとなるべき人物たちへの言及が少ないことに物足りなさも感じますが、次巻以降へのネタの温存と考えれば期待がもてそうです。

ただ唯一の級友である「岡町灯日(おかまちとうか)」には重要人物なだけあって、もう少し日常描写が欲しかったというのが本音でしょうか。




ストーリーの内容そのものに関しては、ヒューマンドラマ以外にも動的なアクション要素があり、人類の到達していない科学技術や身体能力といったアポストリの特性をうまく扱った演出が見所の一つで、簡素ながらもオチを含め綺麗に纏まっている印象が強く、メリハリが効いていました。


しかし一方で、主人公がアポストリを憎むことになった元凶<片腕>についての伏線や推測は少なく、謎の解明がやや強引なものであること踏まえ、粗が目立つ場面も少なからずあり、<片腕>の人柄、行動が魅力的であった分こちらは残念な仕上がりといったところでしょうか。



個人的に気になった点としてはアポストリとの共棲の真意、過去の戦争で共存を決めた父親世代の転換点が明記されていないことに端を発し、そこから発展した居留区独自の法、または環境や社会の枠組みの変容などについでの舞台設定が曖昧で、今巻を読み終えただけでは推測にすら到れない部分が多く見えたことにあります。


中でも女性しか存在しないアポストリが行う吸血行為がイコール性交渉に似た変容を与えるものであることは筆舌に尽くし難い違和感を催し、共棲というシステムそのものが人間への寄生と見られかねない可能性があること。アポストリの寿命の概念と、一種族として繁栄するにあたって避けられない繁殖の問題を、今まではどうクリアしていたのかについての言及が見られないことは、説明不足を強く匂わせています。



ネタの温存という意味において、上述したような将来性があるとはいってもやはり根本的な土台。舞台についての詳細が語られないことは、奥歯にものが挟まったような掻痒(そうよう)感を覚えざるを得ませんね。



最後の方がやや文句が多くなってしまいましたが、こうまで熱くなってしまうほどに生き生きとしたキャラクター、奇抜な世界観が素晴らしい作品であることは間違いありません。久々に休憩を挟むことなく読み終わられた作品ということもあり、胸を張ってオススメの一品とさせていただきます。









読了お疲れ様でした。
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○2011/09/18○
もしかしたら「片腕」と共棲関係になる展開があったかもしれないと考えるぐらいには面白かったよ。

シリーズとして見ても上手く纏まっていてたまに読み返したくなる作品の一つではある。
[ 編集 ]
○2011/09/19○
> もしかしたら「片腕」と共棲関係になる展開があったかもしれないと考えるぐらいには面白かったよ。

本編で言われているように学との共通点も多いし、そういう展開になったほうが喜ぶ人は多そうかも。
ただこのまま友人を続けましょうというには「殺人者」としてのファクターが目の上のコブで、結果的に家族を殺害したのは別の誰かだったという、やや陳腐な結末が別に用意されてしまう可能性もあるので、やはりありのまま決意を貫き通した潔さが物語にはあっているのかもしれませんな。


> シリーズとして見ても上手く纏まっていてたまに読み返したくなる作品の一つではある。

珍しくシリーズ通して購入しようと思った作品なんで次巻以降も楽しみ。ただ巻数を重ねていくとネタバレなし雑感は不可能に近くなるので記事にするのは難しそう。

最近不作続きだったばかりに垂涎の一品でありました。
[ 編集 ]
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○2013/07/09 00:37○
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