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泣空ヒツギの死者蘇生学、雑感









今回目ぼしいセリフがなかったため、本文引用はありません。






電撃文庫さん刊行、相生生音著『泣空ヒツギの死者蘇生学』についての雑感を今回は綴っていきます。

Espliaのあらすじ

死体の一部を持ち去る殺人鬼『破砕破片(ピースメーカー)』と呼ばれる存在が町で暗躍する一方、平凡な高校生「氏姓偲(しかばねしのぶ)」は人生初のラブレターに歓喜していた。

まさか己が犠牲者の1人になるとは知らずに。


読み終わった感想は「分厚い一冊であるにも関わらず、感動する場面も感銘を受けた言葉も衝撃的な展開もなかった駄作」といったところでしょうか。



最初に気になったのは本編のスタンスそのもので。

街中を席巻する怪奇(殺人)事件にスポットを当てた推理要素、日常生活から零れ落ちた主人公の苦悩、所謂キャラ萌えを匂わす表現の数々、突如として始まるバトルなどなど、様々な印象を与える要素が本編中に混ぜ込まれており、作者が作品を通じて何を書きたいのかがよくわかりませんでした。


表現数は多くとも、それらが全て有効的活用されている「良いとこ取りなものではなく、全体的に唐突感があるため、結果ミステリー作品としてもヒューマンドラマとしても「うだつ」の挙がらない出来栄えでしかなく、残念な評価に尽きます。



また文章構成にしても、改行や章立てを変えないまま様々な人物の内面描写を混ぜ込むために情報量が嫌に多いため、わかりにくい印象が強かったですね。


多人数に視点から、多角的に物語を描写することは世界観を把握するのに有効な手段ではありますが、それを同じ場面、同じ場所にいる面々を次々切り替えて描写する意味は薄いもので。

ヒロインや今作の“犯人”にまでその心理描写の輪を広げてしまった点は、本来読み手が楽しむべき想像の余地をむしろ潰しかねないものであるように感じました。



心理に言及した文章の量も多く、一つのセリフにつき一つ解説が用意されるようなバトルシーンはお世辞にもスピード感がなく、もはやお節介なのか妨害なのかが判断できません。



本書のあとがきに、「この本は『鈍器』です」と分厚さに申し訳なさを感じさせる物言いがありますが、そう思っているのなら尚のことくどい描写を減らすべく、改稿を重ねるべきではなかったのでしょうか。




登場するキャラクター達に関しては、「氏姓」(しかばね)「泣空」(なきがら)を筆頭とした名前のツッコミどころはさておき、全体的に奇怪な行動や信念に重きが置かれている印象が強く、日常から非日常への転向に注視しながらも共感を覚えないものになっている点が実に不可解。


狂った理念の元、独自の法則性で動く“犯人”にせよ、ヒロイン「ヒツギ」の抱える問題への言及にせよ、その理屈に到った過去が描かれていないのでは、どれだけ「絵面」で涙を流そうとも、生じた唐突感に感動が押し流されてしまいます。




“犯人”探しや『破砕破片(ピースメーカー)』という現象の意味など、本編の一要素であるミステリーに関しても、「非現実的な力」「到底無理としか思えない強運」を前提にした歯切れの悪いものが多く気に入らず。

またそれら非現実的な要素を加えても説明しきれない箇所(“犯人”の使うトラップの設置方法、情報満載の死体がありながら全く動こうとしない警察)が目立っていて、お世辞にもお粗末としか言いようがありません。


中盤から終盤に掛けて始まる唐突なバトルでは手法の現実味、時間の概念が度外視された描写は大量の疑問符を生みますし、上記したように内面描写がぐちゃぐちゃと横入りするので、最後まで読み辛さを拭えませんでしたね。




最後に。

個人的な批評としては、主人公「偲」が発する様々な「イイコトバ」が、彼自身の過去が描写されていないため「奇麗事」にしか感じられなかったこと、“犯人”の狂気を演出するため会話分に「それっぽい言葉」を書き連ねた結果安っぽい狂人に成り下がってしまっており、悪役としての魅力に欠けている点などが非常に鼻につきました。(重要なのは滲み出る狂の雰囲気



中でも

「絶対に守らなければならない約束は約束じゃない。約束ってもんは契約や損得の問題じゃなくて、守ろうという意志の上にあるべきだ」(意訳)

という素晴らしいセリフは、間違っても「自分勝手に約束を破った男」に言わせるべきではありません。


どんなに良い訓戒であっても使いどころを間違えてしまえば取り繕いの屁理屈しか見えないのですから。




一つの要素に注力する一貫性、心情ばかりではなく過去にも言及を深めたストーリー構成、超常現象を使うならば推理要素は廃し、バトルをするならば描写に説得力を持たせることなどなど、様々な点について修正が加えられれば面白い作品になるのかもしれませんね。




気になった方は上記の点に留意し、慎重に購入していただければ幸いです。














読了お疲れ様でした。
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○2011/08/25○
読み始めの奇怪な名前の羅列に驚き、中盤で出てきた敵役のあっさりとした退場に驚き、終盤のアレの長台詞に驚き、続刊が出ない事に憤った。

内容に関しては終盤のアレが全部掻っ攫ってった印象で、メインヒロインの影が薄い。

何も決着ついてないのに続刊無いんだもんな。作者、別の新作出したからもう望みは薄いし……チクセウ。
[ 編集 ]
○2011/08/26○
返信遅れて申し訳ない。

> 読み始めの奇怪な名前の羅列に驚き、中盤で出てきた敵役のあっさりとした退場に驚き、終盤のアレの長台詞に驚き、続刊が出ない事に憤った。

金槌だとか、恋文だとか、『とある魔術の禁書目録』と似たレベルのネーミングセンスはギャグなのか判断がし辛いところ。主人公やヒロインなら物語の関連性からああいう名前でも問題なさそうなんですが、最初の犠牲者一覧は「奇妙な名前の人間を狙っているのでは」と邪推にいたる可能性あり。

ココロしかり”犯人”しかり、今作の最大の問題は敵役に魅力を感じないことなんじゃないですかなぁ。握力が異常に強いというのが、結局どういうドンデモ理論で成り立っているのかも説明されてない上、退場があれでは引き立て役としか評価できそうにありません。

結果個人的には続刊が出ないのは納得の結末ということに。銀色ふわり、みたいな気に入った作品ではなかった分モヤモヤしなくてよかったといったところでしょうかねぇ。

> 内容に関しては終盤のアレが全部掻っ攫ってった印象で、メインヒロインの影が薄い。

終盤のアレも、無駄に言葉を重ねているようでどうにも好きになれない印象が強いですな。主人公に執着する常人とは一線を画す理由や過去でも語られるなら重みが乗るんでしょうが、どうにも病みのテンプレ具合に恐怖心が沸き立ちません。


> 何も決着ついてないのに続刊無いんだもんな。作者、別の新作出したからもう望みは薄いし……チクセウ。

面白いか面白くないかはさておき、あれだけ分厚い本なわけだから、もうちょっと愛着があってもいいような気がしますが、果して編集に続刊を留められたのか(一巻だけでもかなり長い時間改稿していたらしい)単に飽きたのか、少なからず続編を待望する人にとっては難しいところ。

商業紙では売れる目算がないとどんなにやる気があっても出版にはこぎつけませんからね。
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