espliaのちょっとだけ時代遅れ。

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一天四海のマーガレット、雑感









おやすみ、マーガレット。






スーパーダッシュ文庫さん刊行、北沢大輔著『一天四海のマーガレット』についての雑感を今回は綴っていきます。

Espliaのあらすじ

貧乏貴族「エリオット・マクスウェル」は、屋敷の地下に眠っていた少女「マーガレット」を発見する。
またその際、爆弾魔としての汚名を着せられたエリオットは、罪の帳消しを引き換えにマーガレットの失われた体の一部を集めることを強要され、84日間で世界を一周することを決意する。


読み終わった感想は、「様々な国を題材として用いている割に、異国情緒が全く感じられなかった作品」といったところでしょうか。



まず驚いたのは、本作を一冊読み終えても、具体的にどこか面白かったのか、どんな言葉が感慨深かったのかなど、具体的な感想を全く持てなかったということにあります。


というのも。
主人公「エリオット」のバックボーンがそれなりの分量を以って序盤に描かれはするものの、触れられるのは「貴族としての誇り」を持つという一点につき。我々日本人には言うまでもなく共感性がもてない題材を多用することに端を発し。


ライトノベルの中核を担う“色恋”という題材を、珍しくも中盤にきっちりと終止符を打ってしまっていて、ヒロインであるはずの「マーガレット」が主人公の形成する人間関係の図式に立ち入る隙が無くなってしまったことによる「愛着の欠如」を含め。


サブタイトルである「84日間世界一周」という要素にのみ中~終盤にかけての題材を統一したシンプルな構造にしてしまったことが今作の特徴であり、また最大の失策と言えるものであると評して問題ないように思います。



言ってみれば、目標を単一化することに注力するあまりに、本来娯楽として機能するはずの人間ドラマが希薄で、かつキャラクターへの愛情が不足しているように感じられたわけですね。




そして何より問題なのは、恋愛要素や共感性などの「無駄」を極力省き、「84日間で世界を一周する」という目的にのみ比重をおいたわりには、その出来があまりにも芳しくないということにあります。



84日間という短い期間での世界旅行では、言うまでもなくのんびりと観光を挟める余裕なんてものはありませんので、必然的に彼等の旅路は強行軍となり、背景としてせっかく用意された様々な異国の風土や文化に全く触れられないというのは、どう穿ち方を変えても本末転倒でしかありません。



また用意されるセリフも


何時までに~駅の電車に乗って~
次はフェリーに乗って何時に出る~


というような事務的なものばかりに終始し、そのあまりの無機質な文章は良く言って「躍動的な時刻表」。

もしくは「物語口調の旅行計画書」といった塩梅であることは誰の目にも明らかで、異国を旅するドキドキ感、未知の文化への探究心が全く垣間見られず、作中の「敵役」である刑事たちのやり取りがなければ、作業的な辛みばかりが目立っている点は、残念の一言につきます




そもそも旅のきっかけとなったマーガレットの部品集めにしても、彼女が何者なのか、また普段はどういったことを考えているのかを判断する文面が非常に少なく、パーツを集めた果て(ゴール)に、何が待っているのかが明言されていないために物語のメリハリが薄く、読み進める力の大半が惰性でしかないことは如何ともし難いものであります。




あとがきで書いているよう『八十四日間世界一周』という実在の本を使って物語を作るのは全く構いませんが、オリジナルに引きずられて安いガイドブックに成り下がる前に読書を楽しませる独自のアイディアや描写というものを工夫して欲しかった、というのが本音でしょうか。





気になった方は上述した様々な問題点について留意し、購入していただければ幸いです。












読了お疲れ様でした。

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○2011/08/03○
esplia先生

お疲れ様です☆

厳しく誠実な分析参考なります(笑

>オリジナルに引きずられて安いガイドブックに成り下がる

せっかくの題材を活かしきれてないわけですね。

難しいところですね・・・、
思うんですけど、昔の小説や物語を題材にしてる作品って結構ありますよね。
人気ラノベ作品として、“文学少女”シリーズですか。
ヒットすればいいとは言いませんが、あれくらい活かせたらいいんじゃない
かなって思います。題材にして大成功だったみたいですし。

失礼します(*- -)(*_ _)ペコ
[ 編集 ]
○2011/08/03○
>オリジナルに引きずられて安いガイドブックに成り下がる
> せっかくの題材を活かしきれてないわけですね。
> 難しいところですね

一小説、それも商業紙に載せるほどに熱狂的な観念をもっているということは、必然的にオリジナルの作品を尊崇していることにもなりますからね、あくまで原作ありき、原作の雰囲気をなるべく崩さないように、と考えた結果、かえって自分を出せなくなってしまうということはよくあることのように思いますねぇ。

そういう意味では、あくまで題材はモチーフとしての踏み台に留めるだけの醒めた視線というのも必要なのかもしれません。
なので、今作で発した様々な苦言は自分への遠まわしな批判だったりします。少々言葉がきつい部分があることは事実なので、不快にさせたら申し訳ありませんでした。


> 思うんですけど、昔の小説や物語を題材にしてる作品って結構ありますよね。
> 人気ラノベ作品として、“文学少女”シリーズですか。
> ヒットすればいいとは言いませんが、あれくらい活かせたらいいんじゃない
> かなって思います。題材にして大成功だったみたいですし。

文学少女シリーズは最近日の目を見初めてきましたよね。映画の出来については見ていないのでなんともいえませんが、数作品の中でも有名なライトノベルの一角に収まった感があります。

私の知る中で、他作品を積極的に用いる作品に『断章のグリム』というものがありますが、こちらは良くも悪くも、「解釈」という形で既存の物語を加工し、童話をうまくホラー風味に仕立て上げていますね。

もともと童話は原版に残酷なものが多く、少し前には『本当は怖いグリム童話』というシリーズが大人気になったこともあって、「子供向けであるはずが実は恐ろしいものである」というギャップから生じる魅力をうまく抽出しているように感じますね。
[ 編集 ]
○2011/08/04○
世界一周弾丸トラベラー!……表紙を見る限り良い感じだからイラストに騙された人が大量に出そうな。

当時のネットの評判見て買うのやめた作品だったなあ。最近のラノベ一月に出過ぎな感じで吟味せざるをえないからなあ。

何かを書く行為は苦しいけど楽しいよな。エターしない限りは気長に待つさ。妥協さえしなければ後は好きなようにやってください。
[ 編集 ]
○2011/08/04○
私はこの本をもってはいませんし、買う予定もありませんが、悪い作品もまた一興。興味を持ちました。

買いませんけどね。

>マーガレットの失われた体の一部を集める

というのは設定としてありかと思います。

ところで、魔法とかは出てきませんよね?この作品。

「マーガレットの失われた体の一部」には呪いのような力がそれぞれあって、世界を回るたびにおかしな事件に遭遇する。的なのはどうかな?

でも、それだと『八十四日間世界一周』はむずかしいかな~

あと、>背景としてせっかく用意された様々な異国の風土や文化に全く触れられない

というのは本当に残念です。

「狼と香辛料」や「キノの旅」のように、国には国の文化、考え方、人間関係が記されていたら面白くなりそう!(^^)!

面白くない小説をどういじくったら楽しくなるかを考えるのも「サカナ狩り」は大好きです。ハハハ
[ 編集 ]
○2011/08/04○
> 世界一周弾丸トラベラー!……表紙を見る限り良い感じだからイラストに騙された人が大量に出そうな。

私のことかぁー! ええ・・・・・・イラストは良かったんですけどねぇ。

『キノの旅』や『キーリ』のように各地を行脚していく作品が好きな私にとっては、期待値よりも遥かに「旅」にスポットが当てられていないことに愕然。結果、やや八つ当たり気味の感想と相成ってしまいました。

不快に思ったら申し訳ない。

> 当時のネットの評判見て買うのやめた作品だったなあ。最近のラノベ一月に出過ぎな感じで吟味せざるをえないからなあ。

一冊600~700円は学生の懐には微妙に痛いですよねぇ。何より問題なのは、「表紙」の素晴らしさと世間の「評価」をどう天秤に掛けるかだと思ってたり。パッケージ買いはあんまり良くないと聞きますが、どう足掻いても逃れられる気がしませんなぁ!

> 何かを書く行為は苦しいけど楽しいよな。エターしない限りは気長に待つさ。妥協さえしなければ後は好きなようにやってください。

正直に言うと、ちょっぴり文章が妥協気味になってきてしまったので自己嫌悪中です。
深夜のテンションに任せて書き進めた結果、斬新さばかりに目がいって肝心の中身が自分でも面白く感じられないという塩梅に・・・・・・。文章を書くっていうのは本当に難しいことです。
[ 編集 ]
○2011/08/04○
> >マーガレットの失われた体の一部を集める
> というのは設定としてありかと思います。
> ところで、魔法とかは出てきませんよね?この作品。

主人公が「マクスウェル」であることに関係がないとは思えませんが、本作では「錬金術」がキーワードとして用意されていますね。魔法というよりかはやや理論体系が整っておりますが、少女が壁を力づくでぶち破ったりするシーンなんかもありますから、ファンタジー色が強いと思います。

> 「マーガレットの失われた体の一部」には呪いのような力がそれぞれあって、世界を回るたびにおかしな事件に遭遇する。的なのはどうかな?

内容についてはあまり詳しく記事には書かなかったのですが、さすがの慧眼ですね。錬金術によって生み出されたマーガレットの体にはそれぞれ非科学的な力を持っている設定となっております。とはいえ、やはりメインはいかに84日間で世界中を旅して回るか、に終始していて、パーツを巡ったバトルシーンなどはほとんどありません。

> でも、それだと『八十四日間世界一周』はむずかしいかな~

そうですね。ファンタジー的な要素と、旅行記としての両立は難しかったようで、上述したようにファンタジーを前面に押し出した作品ながら、それをうまく物語に運用している印象は、残念ながらあまりありませんでした。

> あと、>背景としてせっかく用意された様々な異国の風土や文化に全く触れられない
> というのは本当に残念です。
> 「狼と香辛料」や「キノの旅」のように、国には国の文化、考え方、人間関係が記されていたら面白くなりそう!(^^)!

それぞれの国の思惑や、独自の法律にまつわるエピソードというのは面白いですからね。ライトノベルではありませんが漫画『ARIA』でのニューベネツィアでの祭事が凄まじく印象的であるように、思わずネットで検索をかけてしまうような濃厚な風土への言及があれば、本作も素晴らしい作品になったように感じられます。


> 面白くない小説をどういじくったら楽しくなるかを考えるのも「サカナ狩り」は大好きです。ハハハ

ここはこうして欲しかった、ここはこう変えたらもっと面白い、という思考は私も大好物ですね。

私が二次創作作品に手を出し始めたのも、過去を描かれないキャラクターを自分なりの歴史をもって描きたいという欲望があったからでもあります。完成された素晴らしい作品はもちろん素晴らしいですが、創作性という意味では妄想意欲(笑)を掻き立てる、完璧から2~3歩離れた作品もまた面白いですよね。
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