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ムシウタ【01.夢見る蛍】、雑感








メリー・クリスマス、"七星"






角川スニーカー文庫さん刊行、岩井恭平著『ムシウタ【01.夢見る蛍】』についての雑感を今回は綴っていきます。


Espliaのあらすじ

人の夢を食することで異能の力を与える“虫”。そしてそれら“虫”を使い戦いに赴く「虫憑き」と呼ばれる存在がいる。

ある日、最強の虫憑きと呼ばれる“かっこう”は同じく強力な虫憑きである“ふゆほたる”が収容所から脱走したことを知らされ、混乱の闘争に巻き込まれていく。


読み終わった感想は「王道アクションものとして楽しめた一方、腑に落ちない点も多かった作品」といったところでしょうか。



人の夢を喰らい、その見返りとして宿主に強力な力を生む「虫」という存在が用意されることで、ややファンタジックな要素の強い印象はあるものの、その関係が一方的に寄生されるだけという事実、力を出し尽くした後廃人と化してしまうリスクを用意することで、他作品に見られる気軽に扱える長所としての「能力」と一線を画している所が個人的には気にいりました。



また作品の出来そのものへの言及は後述へと回しますが、全体を俯瞰して、物語の根幹に関わる壮大な伏線が用意してあり、それを起点に読者を良い意味で騙そうとする野心がいたるところに垣間見え、筆者の意欲が十全に感じられるのもとても素晴らしいことだと思います。



問題は、本編中に隠された伏線が膨大であり、一巻のみで回収されていないものが多々あるため、伏線としての違和感なのか、単なる説明不足としての違和感なのかが判断できない場面が多かったことが挙げられます。


中でも、



1、薬屋大助の虫憑き嫌い発言の真意が、後半の展開を受けて更に不可解なものになっていること。


2、あれほど強烈な形で幼少期の“ふゆほたる”と関わっておきながら、十数年後の姿を見てその正体を疑いすらしなかった“かっこう”が実に不自然であること。(髪の色、目鼻立ちが変わったとは思えず


3、120頁にて、今まで号指定を受けた虫憑きが成虫化したことはない、と記述されていた一方。
298頁では6号指定の虫憑きが成虫化した、という矛盾した記述があり。それが単なるミスなのか、とある事件を意図的に飛ばしたことによる意図的な認識のズラしなのか判断が付かないこと。



などは群を抜いて不可解なポイントとして挙げられ、お世辞にも一巻で果たされるべき説明がされていない印象を受けてしまいました。



またキャラクターや世界観に関し、序盤のセリフを意図的に説明口調にすることで特異的な設定を説明しきることに成功しているように見えながら。
しかし彼等のいる場所がどこなのか、何時なのか、どういう流行があって、読み手の感じる現代とどう違うか、など作品の「舞台」への言及が希薄であり。
転じて登場人物たちの息遣いや生活観を想像し難いデメリットが浮き彫りになってしまった感が拭いきれません。


“みんみん”を筆頭に、敵味方を含め、過去がほとんど描写されないキャラクターが多く、総じてこの度「敵役」となった面々の言動に、苦節の記憶から滲む深みが感じられなかった点は本作における大きな損失と言い換えて間違いないと思います。



強力な「虫」の能力を使ってのバトルパートにしても、用いるのは強力な物理的攻撃のみで、一巻のみで言えばバリエーションに乏しく
銃撃や衝撃波、という平和な日本市民には視覚的に想像しにくい描写が多いため、「なんとなくすごい力とすごい力がぶつかってるんだろうなぁ」程度の感想しか浮かばないことも非常にもったいなく感じます。



そういう意味では、視覚的な補助がなされるアニメーションという媒体向けの描写と言えるかもしれませんが、少なくとも小説として読む分には少々「捻った」能力というものを見てみたかったですね。



強烈な銃撃と、飛躍的に身体能力が向上する“かっこう”も、やっぱりそれだけで最強と呼ばれるにはちょっと物足りない気がします。

苦戦するのが主人公の特性。と言われればそれまでですが、一度も圧勝と呼べる戦闘がないのは最強としていかがなものでしょうか。





いろいろ文句が多くなってしまいましたが、虫のバリエーションはこれから当然増えてくるでしょうし、一巻で感じた設定への不信感も今後全く説明がなされないというわけではないと思うので、期待値を含め、面白く読めた作品であることは間違いありません




消極的にオススメしておきますので、気になった方は是非一度読んでみてください。














読了お疲れ様でした。

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○2011/07/23○
あなたの小説の感想はいまさらですが、すごいですね。

わたしの文章は稚拙で簡単な言い回ししかしていません。見事です。

ムシウタはわたしも読んでいます。
感想は一言で「悲しい」

能力を使わないと生きていけない、しかし能力を使えば虫に夢を食われていき、いずれ人間として死亡。

能力者は、救いを求めてくるっていく。
[ 編集 ]
○2011/07/24○
コメントをいただき、ありがとうございます。

> あなたの小説の感想はいまさらですが、すごいですね。
> わたしの文章は稚拙で簡単な言い回ししかしていません。見事です。

稚拙な文章とはご謙遜を。
私の文章はどちらかと言えば、難しい「ように見える」理屈を、難しい「ように見せている」だけで、時に読み手のことを考えずに語感の良さや書きやすさ、文章量を増やすための装飾過多が目立ってしまいますね。

やはり大事なのは、誰もが読みやすく、できるだけ簡潔に。
というわけなので精進は必要なのは間違いなく私だったりします。よろしければ今後もお付き合いください。


> ムシウタはわたしも読んでいます。
> 感想は一言で「悲しい」
> 能力を使わないと生きていけない、しかし能力を使えば虫に夢を食われていき、いずれ人間として死亡。
> 能力者は、救いを求めてくるっていく。

結果報われないとわかっていても、生きる以上足掻くしかない。
我々現代人も言い方を帰れば常に「死」への航路を突き進んでいるわけですが、ムシウタのそれは常軌を逸していまね。

今作の場合、その悲しいシステムを作った側の存在(始まりの三匹)が最終目標として用意されており、恨みや怨嗟で戦い続ける路が用意されているため、立ち止まろうにも止まれない”かっこう”の生き様の血生臭さを感じさせられます。

今作の敵役である”むしばね”の面々の心情描写があまり鮮明に描写されない理由ももしかしたらこういう点にあるのかもしれませんね。
[ 編集 ]
○2011/07/24○
前に興味をもったけれどお金がなかったのでお金に余裕ができたら買う予定でしたが…
この記事をみるまですっかり忘れてましたよ。

感想を読んでまた興味がわいたので
夏休みにまとめて買って読んでみようかと思います。

無事に夏休みを迎えることができたらですが…
[ 編集 ]
○2011/07/25○
> 前に興味をもったけれどお金がなかったのでお金に余裕ができたら買う予定でしたが…
> この記事をみるまですっかり忘れてましたよ。

欲しいものは時間が経つに連れて増えていきますから、どうしても欲しいものというのはやっぱり鮮度のあるものが優先されてしまいますよね。

これがゲームなら、値段がグングン下がっていくのでお徳感がありますが、漫画や小説だと知らぬ間に続刊が山となってしまうケースがありますからねぇ。


> 感想を読んでまた興味がわいたので
> 夏休みにまとめて買って読んでみようかと思います。

感想を書いていて、こういったコメントをもらえることは本当に大きな励みになります。

正直面倒くさくて、稚拙で、長い記事ではありますが。私自身が面白い、と思ったことは忌憚なく書かせて頂いております。是非とも一読頂ければ幸いです。


> 無事に夏休みを迎えることができたらですが…

ふ、不吉なことを書かないでくだされー!
大丈夫・・・・・・かどうかは天のみぞ知ることですが、健やかな夏季休暇が迎えられるようお祈りしております。
[ 編集 ]
○2011/07/25○
死んだ人間って偉い人だと神格化されるよね。続刊読んでるとある人の神格化が著しくて少し気になるかな。

最強の称号「一号指定」でもかっこうさんは毎回ボッロボロだなあ。単純に戦闘力だけでってわけでも無いけれども、苦労人な主人公だよ。

アニメがあったんだよ。全体ではションボリな感じだったけどムシが動いてるスッゲェ!とか一話見たとき思った。

私にも休みが来るのだろうか?学生が休みに入っているという事実に愕然とした。時間があれば気ままに作文でもしたい。
[ 編集 ]
○2011/07/26○
返信送れて申し訳ない!

> 死んだ人間って偉い人だと神格化されるよね。続刊読んでるとある人の神格化が著しくて少し気になるかな。

今生きている人はいくらでもミスするけど、死者はそこから一歩も動かないからねぇ。現実世界でも結構ある話。
ガンスリンガーガールっていう作品にも「死者は強いが生者は弱い」という名言があったり。総じて死の神格化から宗教も生まれますし。

> 最強の称号「一号指定」でもかっこうさんは毎回ボッロボロだなあ。単純に戦闘力だけでってわけでも無いけれども、苦労人な主人公だよ。

火種ってわけだから、当然攻撃力が最強ってことなんだろうけど、攻撃範囲が無いから多人数戦には苦労しそうな予感。強力な銃弾を撃つ、と言っても結局は身体能力を存分に発揮しないと勝てないだろうから、遠距離攻撃というよりは長距離、無制限威力のパンチが打てる、っていう認識でもいいかもしれませんな。

主人公は総じて相手の罠や能力にひっかかるのがセオリーなのわけで、うん、マゾではないと思います(おい)


> アニメがあったんだよ。全体ではションボリな感じだったけどムシが動いてるスッゲェ!とか一話見たとき思った。

実はアニメは見たことがなかったりします。
アニメは小説と違って読み飛ばせず、また声優の演技やら作画やら、脳内で本来補うはずの情報が錯綜していて集中できないんですよね~。

> 私にも休みが来るのだろうか?学生が休みに入っているという事実に愕然とした。時間があれば気ままに作文でもしたい。

大学生の夏休みはたしか8月だったかね。
最近電車に乗ると子供が多かったのは夏休みに入っていたからだったんだなぁ・・・・・・。今年も聖戦から生まれた創作物を眺めたり、小説を読んだりで趣味の時間はなくなりそうです。
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