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僕は彼女の9番目、雑感







忘れた振りとか、平気な振りを、しなくていいんだ。

お前は、怒っていい。






電撃文庫さん刊行、佐野しなの著『僕は彼女の9番目』についての雑感を今回は綴っていきます。

Espliaのあらすじ

クリスマスの日、何者かに「轢かれた」高校生「木蔦東司(きづたとうじ)」。
しかし犯人は不明で、物的証拠はなく、ついでに言えば目撃者もいないため事件は迷宮入りしてしまう。

ある日、そんな一人割りを食うハメになった東司の前に現れたのは、自らをサンタクロースと称す、奇怪な少女であった。


読み終わった感想は「地の文のテンポや会話文の上手さが際立ったが、肝心の部分がやや曖昧」といったところでしょうか。



今作の見所はなんといってもト書き(地の文)とセリフ回しのセンスが秀逸であることが挙げられ、また内容理解に不可欠な登場人物たちの過去語り(バックボーン)こそないものの、基本的に主人公である「東司」の視点で終始物語が語られるため、場面場面における理解に支障が及んでいないことは評価できる点だと思われます。



題材が題材だけに、時として物語運びに唐突なイメージを受けること(耳の山の話、トナカイの話など)も少なくはありませんでしたが、全体的に見て「実在するサンタクロース」というインパクトにのみ比重を置いた土台ではなく、彼女を巡る等身大の人間が織り成す人情話が大部分を占めていることも個人的にはお気に入りで、不可思議な設定から不可思議な物語に終始するのではなく、あくまで読み手の理解を得やすい題材に徹している様には好感が持てます。


中でも、父親の暴力に悩まされ続けられたある人物の消えない心の傷を吐き出す場面は、セリフ回しの秀逸さと相まって、必死に言葉を紡ぐための荒々しい息継ぎまでが脳内再生されるような痛ましさが滲み出ていて胸にくるものがありましたね。



しかし、「実在するサンタクロース」という作中での重要な要素と離れた人情話に終始するということは、本作のヒロインである(筈の)「黒須にこら」を必然、物語の中心から逸らしてしまうことに違いはなく、序盤でのみ、話の中核となる彼女自身への言及が軽く行われるだけで、一巻においてはまったく触れられていないことは問題として見ることが出来るものです。


また、東司とにこらの関係においても、今後彼女の意識をどういった方向に、どう修正し、その結果彼女の結末をどう変えていくのか、という物語の「目的」ないし「終着点」がぼかされてしまっていることも含め、ややメリハリに欠いた印象を与えてしまっていることが残念といえば残念な部分だと言えるでしょう。


主人公各二人を取り囲む友人たちを題材にした話も確かに重要で、その出来は上にも記したように抜群であることも間違いはないのですが、それらはあくまでヒロインにまつわる一定のモヤモヤを払拭したあとに行われるものであるように思われ、重要な部分を大幅に切除して挿入し、話の本懐を停滞させてしまうことが果して正しいことだったのかどうかについては、やはり疑問が残ります。



むろん。
序盤の土台を経て、「にこら」の心境変化を促すための人情話の連続という予測を建てられることから、この構成が明らかな説明不足、描写不足とまで断定できるものでないため、一概に悪しと評するものではないことが念頭にあることを明確にしつつも、どこか説明不足感が強い印象を持ってしまったというのが正直なところでしょうか。



登場キャラクター達そのものに関しては、特段苛立ちを覚える行動、言動というものが少なく、全体的に善性が強いので万人向けだと思われますので、良くも悪くも出だし、ト書きやセリフに散りばめられたギャグを面白く読めるかどうかに、やはり全ての評価が掛かってくることになると考えられます。



夜中に目覚めたら美少女がお腹の上に!


という既視感を覚える出だしでありながら、意表を付く題材と、人間の本質に訴えかける人情話、それを彩る才覚を匂わすテンポの良い文章が織り成す良質のエンターテイメント作品になっていますので、気になった方は是非読んでみていただければ幸いです。



好き嫌いがわかれる作品だとは思われますが、オススメの一品です。









読了お疲れ様でした。

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○2011/06/26○
この内容では続刊が出てしかるべしだと思うが出ない。これの作者の前作も設定投げっぱなしで終わってるからな。

音沙汰が無くなるってのは嫌だねぇ。まあ、打ち切られたんだろうけど。

ラノベのヒロインを慕う女性キャラってどうして百合臭くて主人公に攻撃的なのばっかりなんだろうなぁ?
[ 編集 ]
○2011/06/29○
返信遅れ申し訳ない。(最近は特に多いので今後一層気をつけます)

> この内容では続刊が出てしかるべしだと思うが出ない。これの作者の前作も設定投げっぱなしで終わってるからな。
> 音沙汰が無くなるってのは嫌だねぇ。まあ、打ち切られたんだろうけど。

なぁにー!この内容で続刊が出ないとはなんという生殺しでございましょうか!
しかも筆者は前作でも同じことをしている、ということを含めれば、典型的なアイディアマンという考えが出てきてしまうのも仕方のないことかもしれませんな。

どんなに陳腐でも、一応の完結はしてくれないと、せっかくの作品が「評価外」になったしまうのは、筆者、読み手、出版社にとっても痛手であるように思う次第であります。

まぁ、本編を読むと、あの自分を蔑ろにすることで人格を保つニコラが今後どういう心境変化を生み、その後一年という期間の果てにどういった行動を起こすのか、気楽な読み手側にも簡単には想像がつきませんからね。筆者にとっては頭を捻り倒しても結論が生み出せないのかも。

面白いものをかけなければ何度でもリテイクを食らわせるという鬼編集もいるようですから、書いてはいるが出せない、という現状である可能性もそれなりにあるんじゃないかなぁ、と一応援護射撃をしておきます(おい)。


> ラノベのヒロインを慕う女性キャラってどうして百合臭くて主人公に攻撃的なのばっかりなんだろうなぁ?

ついさっき「魔法少女を忘れない」を読んでいた私にとっては耳の痛い話なんですが、やっぱりそういうキャラクターが好きな人が多いってこともあるんじゃないかなぁ、と。

特にヒロインが従順、天然系だと、物語の刺激のためには多少きつい言動を入れて話にメリハリを出したい、という思惑もあるようにも思いますな。書き手側から言えば、やっぱり現実的に見てポワポワとした「ファンタジック」な言動よりは、罵詈雑言を筆頭とした辛辣な会話の方がイメージが浮かび易いですし、なにより書いていて楽しい!(東方SSみればわかっていただけるかと)ってことにつきるような気がしないでもありません。

ツンデレって概念を出来たから、キャラクターがそれに乗ったわけじゃなく、ライトノベル層、引いては筆者に好まれるキャラクター像に「ツンデレ」っていうイメージがあったというほうが、そうなると自然なのかもしれませんね。皆々主人公に従順で、誰も文句を言わない、となってしまうとそれだけで一つの「異質」になってしまうのかも。

甘さを引き立たせるための塩、旨みを引き出すための辛味、に相当するかはなんともいえませんが、個人的にはそれほど違和感を覚えることがない(マンネリという意味では同意)というのが私としての結論ですねぇ。
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