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空ろの箱と零のマリア、雑感






どんなに考えても、僕にはこの言葉しか言えない。

“明日まで待って”。





電撃文庫さん刊行、御影瑛路著『空ろの箱と零のマリア』についての雑感を今回は綴っていきます。

Espliaのあらすじ

「私はお前を屈服させる。」
敵意を向け凄む転校生「音無彩矢(おとなしあや)」は、今日始めて出会った「はず」の少年「星野一輝(ほしのかずき)」にそう高らかに宣言した。

そしてそれは、ありとあらゆる願いを叶える「箱」から生まれた、終わらない3月2日を繰り返す『拒絶する教室』への宣戦布告を意味していた。


読み終わった感想は「読者を驚かせようと次々罠を仕掛けていくことに夢中になりすぎて、本質を見失っているように思えた」といったところでしょうか。



まず作品を俯瞰して見た場合、今回の物語の「首謀者」にしても「犯人」にしても、『拒絶する教室』を用いた一連の出来事の果てにある「目的」が、言ってみれば常人の理解を大幅に逸脱するもので、その結末に辿りつく経過の如何を問わず、十全の納得を得られないものであることに不満があります。
取り分け「首謀者」に関しては、その傾向が顕著に出ていますね。


一例を挙げるならば、殺人の動機として「恋敵が憎いから」という誰でも理解可能な明確な想像しやすいものとは違い、犯人独特の信奉やら宗教から派生した理屈を用意されたとしても、読者としてみれば共感や同情から、やや一線を引いた視線で眺めるほかありません。単純に言えば、感動ができないわけです。


一般人に理解が及ばないような、はたまたライトノベルを平時嗜む読者にさえ簡単に看破されないような動機付けとして“斬新さ”を意識しているのかは憶測でしかありませんが、そういったビジュアルに固執するあまり、「犯人」である彼女の心理をひた隠し。結果、唐突に突きつけられた突拍子も無い結末に疑問符が浮かんでしまうような仕様では、読む側、書く側双方において不幸な話ではないでしょうか。


「お前を壊す」という、それ単体ではほとんど意味のないセリフを用いて、文庫に「帯」に載せていることなどもそれに類し。どうにも見目や体裁に囚われている印象を拭えません



また経過においても、“彼女”という単語を用いて、描かれた場面に登場する誰かを、現存する複数人の女性の何れかを特定させず、曖昧にする叙述トリック。ミスリードを誘発させる目的のためだけに行われる突拍子も無いキャラクター達の行動の数々が目に余る一方で、キャラクターに対する掘り下げが少なく、また日常や趣向を伺えるような和やかな場面も少なく。終始小賢しさだけが匂う文体になっているのも問題点として挙げるべきでしょう。


何度も言うよう、あからさまな犯人像を植え付ける描写の果て「実はその人ではありませんでした」という結果しか用意できないのであれば、それは既に斬新ですらないのです。


無論、斬新でないからそういった表現はやめろ、などと言うわけは断じてなく。
物語に必要な感動を呼ぶ、キャラクター達のバックボーン、戻るべき日常を懐かしむ描写や、掛け合いを廃してまで無理やり比率を上げることの必要性の無さを主張しているに過ぎません。




次いで、登場するキャラクター達に言及するならば。
作品を読む中で、音無彩矢がどういった人間であるのか、その存在理由、目的が終盤に至るまで全く理解できないことを筆頭にし。

日常に異常なまでに執着するという主人公という位置付けであるはずの星野一輝について、その日常生活、家族構成、過去が全く語られず、あるのは友人と異世界についての話を幾つかする程度という作中の内訳には、どういったメリットがあるのか甚だ疑問がつきません


上記の結末への過程しかり。

確かに書き手側からすれば、読者には自分の文章で驚いて欲しいですし、書き手自身もそういった騙されること、驚かされることの「悦び(よろこび)」を知っているわけですから、それを用いたくなる気持ちはわからないでもありません。

しかしだからと言って多用してしまえば、一つ一つの重みが無くなってしまうのは明々白々であるわけですから、そこを自重していったならばもう少し違った展開が見られたのかもしれませんね。




綴られる文章そのものは読みやすいですし、上に説明したよう、キャラクターに感情移入がしにくかった分、中盤から後半に掛けての種明かしを経て、再び最冒頭から読み込めば新鮮な気持ちを味わえることは十分に本書の魅力といえるものですから、一概につまらないばかりの小説でないことは明言しておきます。



時間がループする原因や、繰り返しから見えてくる共通事項から空間を支配している法則ついて思考を傾けるのも個人的には嫌いではありません。



「首謀者」はさておき、一応という前置きはついても、「犯人」たる彼女の願いは理解できるものですし、何万回という繰り返しの中、育まれていく狂気というものには「想像を絶する」という共感性があることも否定できませんので、中盤、「犯人」の動機、行動理由が明確になっていく場面。そして上に引用したセリフの部分には、読み物としての面白さがあったとも言えるでしょう。




最後に。
極めて「個々人としての不満点」を挙げるとすれば、今作の結末が一応のハッピーエンドであるという一点において、今まで彼女が数万回の繰り返しの中で育んでいた狂気や情愛が、全て勘違いだった、という意味合いに落とし込まれていることには、少々飲み込み辛さを覚えますね。


ハッピーエンドといえば聞こえは良いのですが、それが今まで積み重ねてきたものを全て投げ打って、という形になった場合、彼女に共感していた我々はそれを素直に喜んでよいものかどうか、悩ましい部分だと言えます。


一応、夢という方で数万回の繰り返しで手に入れた経験や教訓、思いの継承はされるのでしょうが、それでは都合が良すぎるような気がしてしまうのが実情です。




何にせよ。次巻以降、メインヒロインではないことがはっきりした彼女が、今後どういった展開で主人公たちと絡んでくるのかを待ちわびるのも悪くないかもしれませんね。





この記事を読んで興味を持たれた方がいましたら是非一度読んでみてください。







読了お疲れ様でした。




ちなみに私が好きな「うまい棒」の味もコーンポタージュです。



※今回は大幅に更新が遅れて申し訳ありませんでした。
次回は小説の雑感ではなく、エビコレ+アマガミの感想を書く予定ですので、よろしくお願いいたします。
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○2011/05/19○
まあ、一巻はえらく読み辛かった印象があったな。ループモノという事でループ~回目にあった出来事って描写されているけど回数の前後が激しくて困惑したような記憶がある。

最期まで読めば作者の意図は分かるが、一巻だけでは設定投げっぱなしが目立つかな。

>ちなみに私が好きな「うまい棒」の味もコーンポタージュです。

めんたいこ美味しいです。
[ 編集 ]
○2011/05/21○
返信送れて申し訳ない!

> まあ、一巻はえらく読み辛かった印象があったな。ループモノという事でループ~回目にあった出来事って描写されているけど回数の前後が激しくて困惑したような記憶がある。

二万台から急に一桁二桁にまで世界が変わっていくことで、それらの差や違いっていうものを演出しようとしたんだろうけど、たしかに読み辛い印象があるなぁ。
個人的にむしろ、どれだけ短くても章区切りで年代を統一したほうが、読み返すときに成り行きや歴史がわかりやすいかも。

最初は提供される章をそのまま通しで読んで、読み終わったら2週目は時系列に沿うことによって書き手の伏線や設定の練りこみが更にわかりやすくなるんじゃないかな。



> 最期まで読めば作者の意図は分かるが、一巻だけでは設定投げっぱなしが目立つかな。


ヒロイン(?)事態が最初から別の物語からやってきた設定というのも斬新だけれど思い入れは少なくなるかな、と。筆者的にはさんざんばら撒いてきた伏線を最後にまとめる、っていうのをやりたいのだと思うんだけど、エロゲーなんかと違って安価な単行本は中途で面白くない場合は売られる可能性もあるから、常に刺激を求める構成にしたらこうなった、っていう感覚なのかなぁ。


> >ちなみに私が好きな「うまい棒」の味もコーンポタージュです。
> めんたいこ美味しいです。

め、めんたいこ・・・・・・?
あの塩辛くて、プチプチとしていて、そんでもって腸を切り出したみたいなグロテスクな造詣のアレでございますか・・・・・・!?

実は食わず嫌いな一品なもので、「めんたいこ」なる味が想像できないのでありました。
ちなみに一番嫌いなのは地方の土産屋で売っていた「納豆」だったかな・・・・・・。
[ 編集 ]
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