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生むは雑感、生きるは過去、ちょっと遅れた感想中心ブログ。

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神曲奏界ポリフォニカ「ウェイワード・クリムゾン」、雑感








哀れな奴だ。
強奪と信託の違いすら判らないか。






GA文庫さん刊行、榊一郎著「神曲奏界ポリフォニカ「ウェイワード・クリムゾン」についての雑感を今回は綴っていきます。

Espliaのあらすじ

人間の良き隣人として存在する力を持つもの――精霊。
そしてそんな彼等を楽曲で以って使役する人間、「神曲楽士(ダンディスト)」。

新米の神曲楽士である「タタラ・フォロン」は契約した上級精霊の「コーティカルテ」とともに、勤め始めた会社の見習を不器用ながらも誠実に勤め上げていた。
そんなある日のこと。見習であり新米であるフォロンに、記念すべき初仕事が舞い込んできたのは良かったのだが・・・・・・。


読み終わった感想は「いろいろな意味での説明不足が気になった」というところでしょうか。



※今回は、前提として、私はポリフォニカシリーズの前身であるキネティックノベルには手を出していないことを明言しておきます。



今作をコンセプトという観点から見た場合、小説という土台を用いながら、「音」や「楽器」を使っての戦闘や、行動を描き、聴覚を刺激する要素がない媒体においては、実に奇抜なアイディアに満ちた意欲作だと評したい気持ちがあります


しかし、本編では「フォロンの演奏は完璧だった(概要)」というような、状況描写、場面描写を簡略化してしまっている場面が多々見られ、話の展開速度こそ、それらの犠牲により向上しましたが、「楽曲」牽いては「楽器」、その音色に対してある程度の想像するイメージがないとわかりにくい描写が相当数見受けられました


一例を挙げると、鍵盤を叩いた音が「ぉぉぉおおおん」という文字で表現されている場面がありますが、それがいったいどんな音色なのかを想像させるためには、この表現ではあまりにも感受性に頼り過ぎているように感じられてなりません。


せめて発せられた音が高音なのか低音なのか、音量はどれくらいなのか、ある程度読者に想像の余地を補助するだけの描写くらいは省かずに書いていただきたいものですね。


またそれに伴い、そういったいまいち想像しがたい音の表現がこの作品の随所に横行してしまっている現状は、作品全体に漂う重要な「音楽」という要素がむしろぼやけさせてしまっているようにさえ感じられる次第であります。




同じく「音」や「楽曲」を戦闘に用いる作品に、「アルトネリコ」シリーズというものがあります(こちらは小説ではなく、PS2,3専用のゲームソフトです)が、こちらが素晴らしい音源(BGM、ヴォーカル曲含め)を用いたことで大成した作品だとすれば、本作のコンセプトが文字だけで表現するには不相応なものであることが伺えます。


加え、アルトネリコシリーズのように、ただ聴覚を楽しませるためだけの楽曲の旨みではなく、ヒュムノス言語で綴られる「詩」の美しさ、そして深みを中心とした、「詩歌」を前面に押し出す形態を、この作品では用いていないことに惜しさを感じることもしばしば。


「終わりのクロニクル」の清しこの夜、「境界線上のホライゾン」、通し童詩(とおりゃんせ)など、ライトノベルでの楽曲を使った戦闘描写は、その詩の意味も含め素晴らしい印象がありますしね。


作品のコンセプトそのものに文句をつけることはいたしませんが、単なる音だけではなく、そこから一歩踏み出し、文面という旨みを生かした詩にも手を伸ばしたほうが、わかりやすさ、牽いては理解という側面において更なる進展が見込めたのではないでしょうか




登場するキャラクターについても、いくつか不満があり。
中でも、主人公の「フォロン」が序盤に精霊雷を出し渋った案件が、後半の危機的状況をつくり出すための露骨な伏線として以外、メリットの無い行動であることが鼻につきました。


「コーティの精霊雷はもっと綺麗」だ。

とかなんだとか、視覚情報として読み手に伝わってこない懸念からプロでありながらも仕事をすっぽかすのは、当然「社会人」としてあるまじきことでありますし、描写が曖昧なので共感性もなく、寝ずに作業を続けていたなどという状況は完全に自業自得で同情しようもなく、全体的に苛立ちを誘う挙動が目立ちました



ト書きでは、彼をことさら「平和主義者の体現」などと、その善良性を強調しているわりに、はっきりいえばその行動は目に余るほどに傲慢でしかありません。
善良も平和も、それにばかり感けて他人に迷惑を掛けているのでは本末転倒ですしね。



作中において、上級精霊たるコーティカルテに頼る以外に特段活躍しているわけでもなく、感銘を受けるようなセリフもなく、正直にいえば、なぜこのような人物が主役として持て囃されているのか、前身であるキネティクノベルを知らない私からしてみれば少々疑問に思えるほどです。




また、上記に関連して、今作が筆者曰く「社会人編」だと呼称しているように、本作における前日たんであるキネティックノベル(簡単に言えばパソコンで読む小説)を踏襲しないと今作の土台が把握し辛いというのは実に大きな問題だと思われます。



本書裏に綴られた「物語の開幕」という謳い文句しかり、恐らくポリフォニカシリーズをよく知らない人ならば、本作こそが「第一巻」なのだと信じて購入してしまう可能性があることを認識しておきながら、あとがきにて



フォロンとコーティカルテの馴れ初めを知りたいならパソコンで有料ダウンロードしてくださいね」(要約)



などと不愉快極まりない一文を載せただけで、作中において一切の説明がないということには憤りを覚えずにはいられません。



もちろん、前日たんといえども一個の著書、作品であることは間違いなく、それを無料で提供しろとまではさすがに申し上げません。


しかし、せめて同じライトノベルという土俵にて、「再発行」という形で刊行をするぐらいは出来なかったのでしょうか

※本書刊行後に、単行本化されていることをお教えいただきました。故、上の指摘は甚だ的外れなものであったことを明記しておきます。申し訳ありませんでした

私はともかく、ライトノベルの購入層、その主軸たる中高生相手に、クレジットカードでしか購入できない作品を喧伝するなど、愚劣を通り越してあきれ果てる次第です。


それでなくともネタバレを極力控えるカタチで、彼等がどう出会ったのか、その時どんなことがおきたのか、内容の理解に差し支えの無い形で文中に説明をいれるなり、そもそもこの「社会人編」において、過去話を知らないと判らない伏線を設けることを控えるなり、出来ることは山ほどあるにも関わらず、そういった親切を怠ろうとするのか不思議でなりません。



一から十まで順を追って物語を追わせてこそ、読者と筆者の望む作品の形が、相互理解という状況を以って明確化されるのではないでしょうか。




余談ですが、本シリーズは「ウェイワード・クリムゾン」だとか「ロマンティック・クリムゾン」など、副題でしか作品を判別する方法がなく、どれが一巻で二巻なのかが非常にわかりにくいのも苛立ちを誘いますね
毎度のことながら「、ウェイワード・クリムゾン」のように巻数をきっちり表記しない理由がわかりません。




予定では次の雑感にも本作の続編「ロマンティック・クリムゾン」を選ぶ予定でしたが、上に書いたように前日たんを読んでいないと理解できない部分が多いこと、ついで話そのものの魅力もないことからモテベーションの問題で延期とさせていただきます。



気になった方は、是非ご自身でもシリーズについて調べた上、購入を検討していただければ幸いです。








読了お疲れ様でした。
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○2011/05/08○
>>しかし、せめて同じライトノベルという土俵にて、「再発行」という形で刊行をするぐらいは出来なかったのでしょうか。

後からパソコン版に加筆したのが出始めてる

まあ、~クリムゾンって副題のせいでナンバリングが分かりづらいのは同意

あとポリフォニカシリーズって多人数の作家が書いてるから読んでない作品のキャラが不意に出てきて誰だ?こいつって事が何回か
[ 編集 ]
○2011/05/08○
> 後からパソコン版に加筆したのが出始めてる

情報不足申し訳ない。後々記事に修正を加えておくんでよろしく。

とはいえ、やっぱり興味を持って調べないと行き着けないというのは、中古でたまたまジャケ買いした人間には辛いところ。もうひとつ言うと、地域名や企業名というのも、なじみがないのも読んでいて醒め易くなった原因でどうにも世界観が好きになれそうもない。文章には全く関係ないけれど、絵師さんも男の描き方が偏りすぎてて幅が無いのも気になる。


> まあ、~クリムゾンって副題のせいでナンバリングが分かりづらいのは同意

電撃文庫ではあんまりないんだけど、富士見ファンタジア、GA文庫、他いくつかの出版社はナンバリングが独特でわかりにくいのが結構多くて困る。個人的にはどうして「1、」っていう感覚でまとめないのか疑問がつきないんだよねぇ。

> あとポリフォニカシリーズって多人数の作家が書いてるから読んでない作品のキャラが不意に出てきて誰だ?こいつって事が何回か

黒だか白だか、まぁぶるだかは、現時点ではよく調べてないんでわからないが、あそこまで風呂敷を広げられると新参にとってはとっつきにくいだけだし、世界観が気に入っている人でも絵師や筆者の違う物語まで買わせられるのは不本意そうだし、もうちょっと手堅くまとめるか、落としどころをはっきりさせて欲しいところ、・・・・・・というのはややたか望みかもしれませんな。
[ 編集 ]
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