espliaのちょっとだけ時代遅れ。

生むは雑感、生きるは過去、ちょっと遅れた感想中心ブログ。

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しにがみのバラッド。、雑感







傷はある。
いてえよ、つれえよ。悲しいよ。
でも、やんなきゃならないだろ!

俺は、生きてるんだ。





電撃文庫さん刊行、ハセガワケイスケ著『しにがみのバラッド。』についての雑感を今回は綴っていきます。

Espliaのあらすじ

真っ白な服と真っ赤な靴。そして人の命を運ぶ少女が持つは、大きな鎌。

これは泣き虫な死神、「モモ」の物語である。使い魔ダニエルを従え、今日も彼女は様々な人間と触れ合っていく。


読み終わった感想は、「よくある「死」を題材としながらも、完成度の高い一冊だった」といったところでしょうか。


筆者曰く、「哀しくて、やさしいお話」というように、死にまつわる4つの短編を詰め込む体裁をとっている本書は、基本的に時系列に沿って話が進むことを強制されていない(全く続いていないとは言えないが)ため、「この章を読んだら休憩」といったような区切りがはっきりしているからこその読みやすさがあったように感じました。


一個の短編の分量はマチマチですが、それぞれ落としどころがキッチリ描かれている他、似通った話も無く、マンネリ感を覚えることもありませんでしたね。これならば普段小説を読まない人にもオススメできるかもしれません。


上にも書いたように、「死」にまつわる短編というのはワリと「よく目にする作風」であります。何を隠そう、私が以前に雑感を書かせていただいた、『シゴフミ』はまさにその形態をとっています(もちろん時系列では本作『しにがみのバラッド。』の方が先ですが)。
ゆえに当然、真新しさや、奇抜さ、意外性に富んでいるとはお世辞にもいえないのが現状です。


しかし『シゴフミ』とは違い、本作はそれぞれの短編の主人公を、ライトノベルという若年層をターゲットにした観点からか、同年、あるいはそれ以下の年齢層にまとめていることで、一巻のみで言わせてもらうならば共感性の高さは無視できないものでがあるのではないでしょうか。


また、「死」というものをドラマチックに演出することで涙を誘うような一種「過剰装飾」がなく、人が死ぬことのあっけなさを恐れず、素直に描写している点はもの悲しさの演出として非常に高等であるように思われ、個人的に評価を上げる要素となっています。




上に綴った印象的なセリフのように、それぞれの短編において人間らしい精神的な束縛や無力さを読み手に叩きつけるように書きながらも、その一方で心の葛藤や、現状への抗いを盛り込み、「ただ惨めに縮こまっているだけではないぞ」という読み手の血潮に訴えかける要素を練りこんだため、ただ悲しくて、どうしようもない悲哀の物語に留まらない「熱さ」が感じられたのも素晴らしい点だと思われます。


父親の冷たさ、非情さ、厳しさ、そういったものに込められた真意が吐き出される本作の第一章は、そういった意味では「ベタ」ながらも胸にくるものがありましたね




登場する主要キャラクターにおいては、「モモ」と「ダニエル」の掛け合いがなかなか面白く、お互いの信頼をはっきりと言葉にしているため、安心感がありますね。
また、見た目の涼やかさとは裏腹に、なぜか各短編の主人公よりボロボロ泣き出すモモの感情の豊かさが、いっそう物語に温かみを与えているようにも感じられます。




そんな最中唯一気になったのが、第三章でしょうか。

上記したように、本作にはどこか「若輩の無力さ」というものが前面に押し出されていて、それゆえに悲劇が織り成されている節が見られるのに対し、この第三章では、いわゆる唯一のハッピーエンドとして終焉している点で異端だと言えるでしょう。


もちろん、ハッピーエンドが総じて悪いなどと口が裂けても私が言う訳も無く、問題点はそこに到るまでの過程が“人間の力”の上限を凌駕してしまっている印象が拭えないことにあります。


死神とのコミュニケーションを題材とした作品で、何を、と言われそうではありますが、三章にてヒロインの発する「サイン」を、やはり人間的な観察力や勘で気付き、対処していくほうが等身大の物語としては完成されていたように思えてなりませんね。


今までが無力故に綴られてきた物語だとすれば、この話はあまりにも奇抜さ、楽観さに突出し過ぎているとさえ言えるかもしれません。



とはいえ、この三章を抜かし、ほぼすべての話が「めでたし」で終わらない作品である以上、過程が気に入らないとはいえ、究極的なハッピーエンドの描写には、部屋に篭った湿気を追い出す春風のような清涼感が間違いなく現在し、気分転換の意味合いで封入した筆者の思いがあるとなれば、一概に否定ばかりも出来ない、というのが本音ですかね。




ありきたりな作風でありながらも、奇抜さを追い求めることなくきっちり丁寧に「死」を描写しきった完成されたこの作品、気になった方は一読いただければ幸いです。







読了お疲れ様でした。

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○2011/04/16○
このシリーズの短編は面白い話が多いのだが、メインストーリーとなっているであろうモモの出生が絡んだ話は巻を跨いでとびとびに描写されていて読み辛いのが難点

猫の穴に手を突っ込んで悶えさせる描写は何とかならなかったのかと思う
[ 編集 ]
○2011/04/16○
> このシリーズの短編は面白い話が多いのだが、メインストーリーとなっているであろうモモの出生が絡んだ話は巻を跨いでとびとびに描写されていて読み辛いのが難点

なるほど。たしかにストーリーを作っている側からすると、よく出来たネタほど温存したくなるもんですからなぁ。世間じゃ結構「後付け」って言葉でちょっと突拍子のない設定を評することがあるけど、むしろ最初に一から十まで話を作っちゃうとぱっと思いついたネタを使うのも難しくなってしまうもので、なるべき「MOTTAINAI」を信条に、引き伸ばし作戦を敢行するのが関の山。


> 猫の穴に手を突っ込んで悶えさせる描写は何とかならなかったのかと思う

らめぇ!!くる!!きちゃうのぉぉ!!

こんなセリフ、大真面目だと官能小説かエロゲーのシナリオくらいでしか書けないから。たぶんきっと筆者は一回書いて見たかったのだと思う。個人的には読むのも、書くのもそんなに嫌いじゃない。
[ 編集 ]
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