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ツァラトゥストラへの階段、雑感






「いいさ、俺にとっておまえは・・・・・・」
「金づるだからな」
「そうだ。大事な金づるだよ」





電撃文庫さん刊行、土橋真二郎著「ツァラトゥストラへの階段」についての雑感を今回は綴っていきます。

Espliaのあらすじ

平凡な高校生活を送っていた「福原駿介(ふくはらしゅんすけ)」は、人の精神に寄生する「パルス」という存在に翻弄され、囚人ゲームという人の欲望と金が渦巻く苛烈な戦いに巻き込まれていくことになる。


読み終えた感想は、「主人公の最終目的がイマイチ理解できなかった」といったところでしょうか。



私が最初に気になったのは、作風全体に漂う、マネーゲームを通じての「人間の生き汚さ」という概念が、過剰に反映されている点が挙げられます。


確かに現実的な路線で考えるならば、誰も彼も信用のならない裏の一面というものを持ち合わせているのは必定で、それは口に出さない共通の理念であることにも理解が及びます。


しかし、それらは決して不健全ではない、むしろ生きる上での自己防衛を主体とした、非常に健全なものであるものともいえるもので、今作における、ただ悪戯に暴力に走ったり、負け犬を罵ったり、人の不幸を積極的に楽しむ描写とは、やや赴きを異としているように感じられてしまいました


あれだけ信じていた仲間に裏切られた、といった衝撃的な展開も、やはり一つの作品において乱用すべきものではなく。そういった観点から見れば、返るべき日常も、立ち向かうべき非日常にも虚実と欲望が蔓延している様相は、読み手の心穏やかな時間を、むしろ奪い去ってしまっているような印象を拭えません。


常に緊迫している状態では、日常に帰ってきた「ありがた味」がありませんしね。




また、本編の要素たる「マネーゲーム」の内容も、ルールの段階から人を欺く仕掛けであったり、株取引を踏襲した売買ゲームで、結局一番資本金を用意できた人間が勝つ法則を覆せていなかったり、どうにも「知的な雰囲気」とは程遠いように思われました


中でも、株取引を主軸としたゲームは、やたらめったら新しい単語(固有名詞が多数)が登場し、そこに山ほど数値が加味され、文章として甚だ読み辛いだけでなく、複雑な論理に振り回されているだけで読み手の考える楽しみを奪っているようにも感じられる他、読み手の思考を補助しようとする筆者の意志が全く見えませんでした。


ゲームの際、恐らくは物語を面白くするために、主人公である駿介自身の思考も読み手に伏せていることもまた問題で、よくわからない単語と、膨大な数字に混乱させられている最中、唯一オープンな主人公の情報まで抑制してしまう構成は、 「驚かせたい」という感情が優先されすぎていて、贔屓目にも筆者の満足を押し付けているようにしか思えません。


おまけにそれだけ情報を氾濫させて読み手を混乱に導いて置きながら、最後の最後は「パルス」という超能力じみたものに頼っておしまい、というのはいささか拍子抜けが過ぎるのではないでしょうか。

それに伴いト書きも「数字の動きが濁流のように~」といった具合に抽象的に取って代わり、統一感も見出せませんでした。




登場キャラクターについても、挿絵で登場する「オリビア」を筆頭に、上述した「人の生き汚さ」というインパクトや、主人公の危機を演出するためだけに使い潰されている印象があり、それ自体が次巻以降への伏線や復活の予兆なのだとしても、嫌悪感は払拭できません


その末路を経て、何か主人公の心境や、考え方に大きく影響を与える展開が用意されているのならまだしも救いがありますが、それさえ無いのは如何なものかと思わざるを得ません。
これは偏見かもしれませんが、どうにも生み出したキャラクターに愛情を感じていないのではないか、と勘ぐってしまいますね。


主人公側につき、健気に尽くしてきた少女がゲームから脱落し生死不明、かつ奴隷の地位に叩き落されたことを知らされる。後味が悪いだけのこの結末を、我々読み手はどう楽しめば良いと言うのでしょうか




また、姉に対する駿介の想い、そしてどんな生い立ちがあって金銭を欲しているか、などが本編中で語られることがなく、言ってみれば「物語の先に待つ主人公の望むもの」。もしくは「到達点」が理解できないことで読み手との共感性が投げ打たれているように感じられます。


はっきり言ってこれでは、主人公への共感性から来るストーリーへの感動や同情はおろか、その進退に一喜一憂する楽しみも薄く、終始「はっきりした目的のない作品」という品評が覆るわけがないでしょう。

ゴールの見えないマラソンを、延々、どこまで走ればよいのか、走り終わった先に何が待つのか、それさえわからないという状況は、まさに「迷走」と呼ぶべきものでしかありません。



キャラクターや内面表現を投げ打ってまで「これが現実なんだよ」という、リアリティにのみ、話の方向性を集約させたいのならば、まず超自然的な要素を排除した物語作りを模索してもらいたいものですね

(中高生が主体のライトノベルで、現実を突きつけることにどういった教訓性があるのかは知りませんが。)



気になった方は、是非とも熟慮の上、購入を考えていただければ幸いです。








読了お疲れ様でした。

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○2011/04/03○
この作者の前作読んで苦手意識を覚えた私はちょっと遠慮しますねレベルで発売当時スルー

信じた仲間に裏切られ、それを乗り越えたとしてもやるせなさしか感じないとか勘弁願いたい

カタルシスを寄こせと言いたい
[ 編集 ]
○2011/04/05○
返信がかなーり遅れて大変申し訳ない。

> この作者の前作読んで苦手意識を覚えた私はちょっと遠慮しますねレベルで発売当時スルー
> 信じた仲間に裏切られ、それを乗り越えたとしてもやるせなさしか感じないとか勘弁願いたい

まさに同感ですな。非日常の世界で主人公や読み手が頑張っていこうと思うのは、その先に明るい日々が待っているから。もちろん現実っていうのは日常であっても苦難の連続だけど、そこはライトノベルっていう土台ですからなぁ。ご褒美やデザートがないと頑張れないクチって奴ですね。

あと主人公は天才とか策士とかいう属性より、やっぱり愚直に正義を盲信して突き進んでいくタイプのほうが読んでいて熱くなれる。
やたらめったら現実主義で、言動も皮肉ったらしくて、性格的にもあんまり可愛げはなく、ついでどんな生い立ちかも説明されないっていうのは、まさに筆者が結末を知っているからこその要素んなんだろうけど、もうちょっと読み手へのご褒美も用意してほしいかな。いえいえ、お色気とかそういうことじゃあないんでけどねえ?
[ 編集 ]
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