espliaのちょっとだけ時代遅れ。

生むは雑感、生きるは過去、ちょっと遅れた感想中心ブログ。

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SHI-NO―シノ― 黒き魂の少女、雑感

shino-00.jpg



僕はやはり、君に優しい人になって欲しい。幸せになって欲しい。普通の大人で構わないから、笑顔を見せて欲しい。

人の死に泣いて、殺人事件を怖がって、教科書どおりで良いから「自殺はいけないことです」って言って欲しい。




富士見ミステリー文庫さん刊行、上月雨音著『SHI-NO―シノ―黒き魂の少女』についての雑感を今回は綴っていきます。



Espliaのあらすじ

これは、殺人事件や自殺、猟奇的な事件に興味を示す、無口な少女、「支倉志乃(はせくらしの)」と彼女の兄・・・のような「僕」の物語。

二人は、ある婦女暴行事件をきっかけに、集団自殺サイトとそこに流布された「デッドエンドコンプレックス」の意味に関わりをもっていく。


読み終わった所感は、「ミステリーとは呼びたくない作品」といったところでしょうか。


まず、私が今作で嫌悪を感じたのは、文章中に蔓延する詩的な表現、またそれが示すであろう筆者自身の意見そのものでした。


例えば、今作の登場人物の一人である「鴻池(こうのいけ)キララ」の述べる、「教育とは大人から子供への洗脳で、良い子に育って欲しい願うのは、親の傲慢」という理屈が、本編では一部正論として扱われていますが、これはかなり破綻した考え方だと私は考えます。


教育制度は、日本という括りこそ出来てしまいますが、充溢したものであることを疑う人はそれほどいないと思われます。それは同時に、子供が教育に知識面での依存を示唆しているとも言えるでしょう。


しかし、通常、教師から教えられた知識こそが「絶対に正しい」と教えることはまずありませんし、子供自身、教員に教わった知識、思想に盲目的に従っているということもありません。


本編で言うところの、「子供は人の死に関わるべきではない」、という大人の考えは子供の心を解かったように言っている節があることは認めましょう。
しかし、それを子供が絶対的な命令と受け取ることは、まずありえません。


親に何を言われようと、男はエロ本読み漁るように、若い身空で子供を作る若者がいるように、同級生をいじめる子供が確実に今も存在することもまた。それを暗示しています。


将来、様々な場面で「指針」とするための知識を与える。そのための教育を「洗脳」の呼び、従わないと解かっていても、良い子に育って欲しい、そう願う親の気持ちを「傲慢」などと呼ぶことは、断じて許されることではないでしょう。

それが例え、洗脳的な教育を施す不届き者の親がいたとしても、彼らと我々を混同して語られたくはありません。


僕らにエゴを押し付けないでください」なんてことを、得意げに語っている輩こそが、その純然たる教育を受けた証拠なのですから。


わき道に逸れすぎたので、この話題はここでひとまず終了します。



次に気にあったのは、主にト書き部分で書かれる、志乃や僕の内情、そこで語られる「生と死」の概念についての記述が、内容はともかく、何度も繰り返されている点です。

また、そこに詩的な表現技法を用いているためか、単語区切りで改行を繰り返し、非常に読み辛い上、結局何が言いたいのかが意図的にボカされているなど、どうにも水増し感が否めません。(特にP85~P88は酷い)


ただでさえ約230ページという短い物語を、そんな詰らない文章で削るくらいならば、もっと他にミステリーとして書き込むべきものがあったのではないでしょうか。


内情表現というのは、物語、ひいては主人公などのキャラクターを理解する上で重要なファクターとなっていることは否定しません。が、それは例えばスーパーダッシュ文庫さん刊行の『紅』、主人公の「紅真九郎」が道すがら訥々(とつとつ)と内情を吐露している「悩み」だとか「将来の不安」だとか、しっかりと形があるものならば問題はないのですが、

  光が見える。
  眩い輝き。
  輝きは赤。
  血の様な、一面の赤。(本書籍、P86、7項~10項引用)

というようなインスピレーションのみで綴っているような文面を、約3ページに渡って続けていくことは、どう贔屓目に見ても筆者だけの満足に過ぎません




気になった点は更にもう一つあります。

上に記した「筆者のみの満足」の煽りかどうかは判断しかねますが、本編では通常のミステリー作品で言うところの「検証シーンというものがほとんどありません


犯行に使われた凶器の検証、犯人像への推理、密室殺人があればその定義や、確認などなど、読者の推理を時に乱し、時に助ける、いわゆるミステリーでもっとも面白い部分が無いに等しく、正直に言ってこの作品をミステリーという枠組みに入れてほしくありません


登場する密室も、警察が鑑定したのかどうかの確証がなく、また部屋のどこにも凶器を隠せる場所はない、と言いながらも、例えば熱で溶ける素材で凶器を作り出した場合(氷など)、何かに偽装させてある可能性についての言及が見られず、挙句「探偵役」たる志乃が、「無口かつ無愛想で天才」という描写栄えしない性格のため、読み手との共感性は愚か、事件に対する考察や、彼女自身の動向さえも解かりにくく、物語への入り込み難さを禁じ得ないことも、大きく評価を下げるポイントとなりました。


ただ、無愛想な志乃と、主人公である「僕」の対話や、いっしょに生活していく上での問題など、事件とは無縁の日常に関しては、読んでいて微笑ましい部分が多く、小話形式ではなく、一つの事件に集中し、もう少し現場検証、志乃の考察や伏線をたっぷりと本編にちりばめていけば良い作品になるのではないでしょうか。





【総評】

志乃と「僕」の日常的な会話や、二人の口に出さない信頼関係が垣間見える部分が非常に魅力的に映ったのと対照的に、ミステリーの面白さを生み出す、密室の定義の確認、探偵役の考察や、現場検証、伏線の回収などがほぼ淘汰(とうた)され、ページ数の関係からほとんど推理する間もなく真相が判明してしまうため、ミステリー作品とは呼びがたい作品になってしまっています


また上では触れませんでしたが、自殺サイト関連の殺人事件のほかに、「吸血鬼連続殺人事件」というわき道に逸れることがありますが、そちらに関しては犯人視点から事件の概要が序盤から語られる上、志乃がどうして真相に気がついたのかの考察もなく、非常に退屈と言わざるを得ない物語が組み込まれていること、加え、よく言えば詩的、悪く言えば、ただインスピレーションのまま言葉を吐き出す意味不明な文章が多く(引用は上記)、全体的な水増し感が拭えません。


もう少し、ミステリーとしての体裁を繕う場面構成、人物描写にそれらで使い潰した文章を宛てれば、一個の作品としてより良いものを作れたのでは、と思えてなりませんでした。


筆者の思想に共感できない部分もあり、非常に残念な作品という感想に終始しています。


一、二巻あわせて50円で販売されていたため購入してしまいましたが、がっかり感が強かったですね。(なので二巻も不本意ながら感想を書かせていただきます)


単純に絵柄が気に入った方、万が一にも内容が気になった方などがいらっしゃいましたら、よく一考した上で購入していただければ幸いです。







読了お疲れ様でした。
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○2011/02/28○
イラストレーターしか知らんがな…

富士見ミステリー文庫だと「タクティカルジャッジメント」しか読まなかったなぁ

関係無いけど戦場のヴァルキュリア3てどうなんでしょ?
[ 編集 ]
○2011/02/28○
戦場のヴァルキュリアシリーズは知ってると思うが、一応システムから説明すると、基本的にはタクティクスRPG(コマを動かしてチェスのように戦うRPG)だが、一駒一駒の動きそのものを「アクション」にしてしまった意欲作。

移動力、攻撃力、命中率などのステータスはあれど、側面攻撃や背面攻撃で攻撃力が変わったり、命中率が変わったり、スナイパーライフルによる拠点からの長距離狙撃、土嚢に隠れる、茂みに潜る、匍匐するなどなど地形によっていろいろとアクション要素を混ぜて遊べるから、ただ駒を進めて闘わせるだけのTRPGより断然幅がある。普通に面白いよ。

ストーリーに関しては、名無し部隊(ネームレス)という軍の懲罰部隊に落とされた有能な主人公が、正規兵に戻るために奮闘する話で、底辺から能力だけで這い上がっていく面白さがあるし、懲罰部隊で腐ってた連中と連携して仲良くなっていく行程もカタルシスがある。物語の時期としては一作目「戦場のヴァルキュリア」と同時期。一作目(また二作目)のキャラと共闘する場面もある。

ヒロインは二人で、通称「究極兵器、温和少女」と「多方面爆撃方、ツンツン少女」(ファンに怒られそうだ)。どちらも特殊能力が開花すると鬼のように強い。
いわゆるマルチエンド方式で選択肢によって戦況や入隊する仲間、ヒロインが決定する。

プレイ時間は基本、50時間程度。部隊のキャラクターを全員育成しているともっとかかるかもしれないが、内容はかなり濃い。

難点は、NOMALでも相手が手ごわい。特にこちらのターンで、相手が移動中のキャラを攻撃してくる「迎撃」はヘタに近寄ると1秒で昇天。他にも地雷や、砂漠地形での移動力低下、砂嵐での命中率低下など、不利な状況に置かれることが多い(もちろん、対策は用意されているが)

あと所謂「ボス」の一部がかなり強く、連続で三回動いた挙句、味方二人を撃沈してから拠点一つを制圧するなど、チート級の動きをし始め、回避率が高く、おまけにHPも高い(狙撃銃で側面から3発当てても4割程度しか削れなかったり)ことから嫌気が差す場面も少なからずある。

ただ上に書いた難点は、いつでも難易度を変えられため「EASY」にしてしまえば解決できる。またEASYだからといって貰えるポイントが減ったり、ストーリーに支障をきたすことは無い。


総評

買って損はしないと思う。が、システムそのものに飽きてしまった場合はその範囲を出るかも。

体験版をやるのが一番手っ取り早いけど、このコメントで大丈夫そうだ、と思ったら買ってみてもいいと思うよ。

他に知りたいことがあったらコメントで催促してちょうだい。
[ 編集 ]
○2011/03/01○
情報サンクス

ゲームショップでふと見たデモが面白そうだったんで聞いてみたんすよ。主題歌も気に入ったしやってみようかと思ったけどシステムが良く分かんなかったのよ

聞いてみた限りではそのシステムでダメっぽい、普通にアクションにするかシュミレーションなら手を出したんだけどな
[ 編集 ]
○2011/03/01○
う~ん、システムが駄目かぁ。

でも物語の雰囲気が好きなんだったら、このシステムだけで購入を止めるのはちと勿体ない気がするぞぉ(しつこくい)

おおまかには上に書いたシステムそのものなんだけど、作風というか雰囲気というのは文字じゃ伝わりにくいと思うからさ、この私に免じてニコニコ動画のプレイ動画を一つくらい見てから考え直して欲しいなぁ。

例えば攻撃時、相手を狙うときは自分以外が一切動かなくなって狙いやすいし、歩兵だけじゃなくて戦車が一台使えたり、剣を振り回す剣甲兵っていう兵種があったり、火炎放射機とかグレネードつきライフルとか、言葉だと説明しにくいあれこれが、体験版や動画だとわかりやすいと思うからさ。


勿論、それでも嫌だったら無理強いはしない。
[ 編集 ]
○2011/03/01○
お久しぶりです。
いつも楽しく拝見させていただいています。
僕はあなたの辛口のコメントというか、評価が気に入っています(笑)
てか、なんというか、参考になります!

ここだけの話、僕はひそかに小説家を目指していまして、Espliaさんの評価って、かなり為になるんですよね。

次の記事も楽しみにしていますね^^
[ 編集 ]
○2011/03/03○
参考・・・・・・!!?
気に入ってる・・・・・・!!!?
タメになるですって・・・・・・!!!!?


素晴らしい賞賛に体中の液がなくなりそうなespliaです。

返信が大幅に遅れてしまい申し訳ありません。


将来の夢は小説家。素晴らしいことだと思いますよ。

有名企業で上司の意に倣ってお金を稼ぐのも立派な一つの指針だとは思いますが、やはり人間たるもの「後世に名を残す」野望を持ちたいものですよねぇ。

その観点で言えば、数百年経っても色あせない名作を書き綴るという目標は、人が求めうる最も巨大な夢の一つではないかと考える次第です。

語彙や経験は元より、何より発想とセンスが問われる業界ではありますが、一層のご活躍を不躾ながら「期待」させていただきます。

有名になった折には、私の名前を世間に公表ry(これを売名行為と言う)

作品についてどうしても辛口(というよりやや尊大かつ稚拙)になってしまうのは、いろいろなブログ様で私などよりもはるかに的確で心地の良い感想を書かれていることに起因し、せめて自分ぐらいはみっともないくらいに斜に構えて感想書かせていただく、という「他者の感想を礎とした」甘えた文章になってしまっているからだと思われます。

できるだけ評価の良し悪しについては具体的に(その分文章量は多くなりますが)書かせて頂いておりますが、出来うるならば、こんな場所で書かれた「雑感」になど囚われず、広い見地で見定めていただければ有り難いですね。


ともあれ、今後とも精進してまいりますので、よろしければお付き合いくださいませ。
[ 編集 ]
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