espliaのちょっとだけ時代遅れ。

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銀色ふわり、雑感

giniro.jpg



僕は今、初めて。
生まれて初めて。

運命に抗ってみようと思った。





電撃文庫さん刊行、有沢まみず著『銀色ふわり』についての雑感を今回は綴っていこうと思います。



Espliaのあらすじ

人の五感に映ることはなく、また自らも生き物を知覚出来ない。
生まれたときから誰にも、母親にでさえ見ることの適わなくなった「黄昏の子供たち(Dusk Children)」。そう呼ばれる存在が世界にいた。

ある日、「安住春道(あずみはるみち)」は学校からの帰り道に、一人の少女を目撃する。
彼女は銀の髪をもった美しい少女で、そして、こちらを酷く驚いた顔で見つめ返した。


読み終わった感想は、「久々に胸の熱くなる良い作品だった」というところでしょうか。


この作品には、はっきり言って特筆すべき魅力的なキャラクターが出て来るわけでもなければ、血湧き肉踊るような冒険活劇も、バトル要素も皆無です。
また昨今目覚しい、愛くるしい少女のお色気も、いわゆる「お約束の展開」も、三角関係も、痴情のもつれも、痴情そのものもありません。


あるのはただ、極端に感情の欠落した少年少女が、何気ない日常を通して徐々にお互いを理解していく、という方向性だけの希薄なもので、その物語は、時に「ありきたりな展開」などとも呼ばれてしまうような陳腐なものかもしれません


それでも、あえて断言します。私はこの作品が好きです
相変わらず解かり易くて恐縮ですが、こういう感動的な話、大好物なんです。


上記する引用のセリフ選びに苦心するぐらい、様々なセリフや、ト書き一つとっても、妙な虚脱感と、香るようにささやかな微量の幸福感、またその熱っぽさが感ぜられる文章の切なさが、本当にたまりませんでした。


正直なところ、この作品に表現技法を論って(あげつらって)評価を記す必要性はあまり感じません。むしろそれは失礼なことなのではないか、とさえ思います。


つまり。
読めばわかりますので、買ってください。

以上。







・・・・・・などど書いてしまうのも、それはそれで一興でしょうか。

しかしそれだと「感想」としてはあまりに独り善がりにすぎるので、もう少しだけこの作品について言及していきます。


さて。
私が本作が気に入っている理由の一つに「明確な終着点」が存在する、というものがあります。


所謂短編と呼ばれる作品でない以上、特に「ハーレムもの」、「日常もの」、更に言えばギャグを中心としてハートフルコメディの類は、通常、終着点というものをぼかしがちです


恐らく、その裏にある思想は、「楽しい時がずっと続けばいい」というようなある種誰もが望む理想の絵姿で、例えば、様々な美少女からモテる主人公が、ヒロイン格に粉を掛けながらも、次巻次巻で登場する女の子に次々翻弄されていく(翻弄されるという点のみでいうならば『とある魔術の禁書目録』『Cキューブ』、ジャンルは違いますが『恋姫†無双』などの)物語構成もこれにあたります。


商業的な観点から見た場合、主人公がたった一人の少女以外に見向きしなくなり、また作中に新しいキャラクターが入ってこないことは、視聴者並びキャラクターグッズを売り出したい企業側としては、好みが著しく狭まるため迎合しずらいものがあるのが事実です。


問題はそれが商業的に旨みがあり、また筆者にしては様々なキャラクターを生み出すことで会話のバリエーションを増やす恩恵があるとしても、都合上どうしても中だるみと、物語の薄っぺらさが感じられてしまう点にあるといえましょう。


その点今作は、主人公はヒロイン以外に断固見向きもせず、また到達すべき終着点が明確化されていることによって、良い意味での焦燥感と、悠長になりがちな物語に布石を打ち込むことによって意図的に中だるみを防ぐ方策をとっている点は、まさに物語のブレなさを物語っているともいえるでしょう。(ギャグじゃないです)


次巻を購入していないのでなんとも断言はできませんが、この一巻でのみ言わせて貰うならば、これほどしっかりとした「制限時間」、そして「楔」をあえて打ち込んだ筆者の熱意は評価すべきポイントと見なしても、問題はなさそうです。


また熱意といえば、上記に少し綴りましたが、登場人物たちの内面描写が非常に細かかったことも挙げられます。


本作は、キャラクターの属性、というもので考えれば、優男風の主人公と、薄幸+病弱少女、というような実に“ありきたり”なものであることは否定しません。


しかし「黄昏の子供たち」という、誰からも認識されない世界を、たった一人で生きてきた「銀花(ぎんか)」の孤独と、両親との離別によって、人に興味持つことができない幼少期を送った主人公の、恐らく読み手が共感できるわけもない内情を、多くの文章で明確に綴ることにより、彼らの、他人に甘えることを知らないもどかしさ、孤独を孤独と認識できないもの悲しさ、その訴えかけが非常に丁寧で、ありきたりな物語をより面白いものに仕立て上げている点には着目すべきでしょう。


中でも、お互いに足りない感情を知り、運命を受け入れるだけだった主人公が、言葉の弱さこそ残りましたが、明確に反旗を翻す決意をするシーンは拳を握りましたね



ただ一つだけ難点を挙げるとすれば。それは「主人公だけ認識することが出来る少女」が、どんな経緯があるにせよ、結果として主人公に思いを寄せる結末は、あまりに「必然といえば必然」で、そこに一種のズルさが感じられてしまう点でしょうか


いくら贔屓目に見て、主人公が信念をもって行動する「良い男」であったとしても、それ以外を知らない少女からみれば、それは頼るほか無いものであり、そこに主人公が主人公である必要性はあまりないわけですね。


一応、彼女には主人公に頼らず、たった一人でどこかへ行く、という選択肢もある以上、完全に主人公の性格が不必要か、といわれれば断じて否と答えましょう。それでも、状況としてはやや男性優位であることは疑いようもなく、そこに不快感を覚えるかたも少なからずいるのではないでしょうか


よく、病弱な少女や幼女など、人間として「極端に経験の少ない子女を好む」(ロリータコンプレックスとも言う)人たちを、自分の思いのままに支配できるという理由を加え、マチズモ、通称「男性優位主義」者、として見下す風潮があります。


数百人と付き合ってきた成熟した女性と、男の「お」の字も知らない少女では、汚い言葉で恐縮ですが「落としやすさ」に雲泥の差がある、ということですね


確かに、その思想を持ち出してしまえば、今作は「男性優位主義」の物語といえなくもありません。そしてそれは、銀花が春道に心を許す過程、描写をどういう視点で見定めるか、ということにも関わってくるでしょう。


そこに色眼鏡を掛けてしまい、純粋に文章を楽しめないと思う人は、残念ながら今作を良作としてみることはできないかもしれませんので、どうか留意してください。




【総評】

ありきたりなキャラクター、ありきたりなストーリー展開。

それは一個の物語で見れば、圧倒的に「アクション(動的)」要素の少ない物語でしたが、あえて主人公「春道」、ヒロイン「銀花」の内情、心情に多くの文章を割き、孤独ながらも必死に現実に立ち向かっていこうとする内面の強さを緻密に表現していったストーリーは、非常に胸の熱くなるような感動を孕んでいたように思いました。


とくに「黄昏の子供達」というファンタジーの要素があっても、それがどれほど苦しんできた人々で、どれだけ孤独であったか、その裏づけが山ほど用意されているため、理解が追いつかないどころか、妙なリアリティさえ感じられる表現力には頭が下がります。


主人公格の二人が無口なため、セリフは決して多くありませんが、孤独な二人が買い物に出かけたり、遊びに行ったりするときに見せる様々な心持が目に浮かぶようでありました


ただ、主人公だけを知覚出来る少女がヒロインということで、半ば慕われることが解かりきっている物語であること、それが「男性優位主義」による、読み手の独り善がりな優越感に頼っての感動である、と捉られてしまうことがないとも言えず、万人に等しく受け入れていただける類の物語であるとは残念ながら断言はできません

思いあたる節のある方は購入を控えるべきでしょう。



あえて書きますが、本書はかなりのオススメ品です。

今、最も冷える季節だからこそ、読んでもらいたい胸の熱くなる感動作。書店で見かけた際には是非是非、購入していただければ幸いです。







今回少し長くなりました。申し訳ありません。
更新もかなり遅れました。申し訳ありません。


読了お疲れ様でした。

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○2011/02/28○
>>次巻を購入していないのでなんとも断言はできませんが

次巻は……無いんだ。あきらめれ

主人公と母親の関係とかすっごい気になる作品だが続きは犠牲になったのだ、「ラッキーチャンス」「スイート☆ライン」の犠牲にな……
[ 編集 ]
○2011/02/28○
久々にコメントついててホッとした。毎度毎度お手数掛けます。

> 次巻は……無いんだ。あきらめれ

嘘だと言ってよバーニィ! 次回作について私がどれだけ妄想を膨らませていたことか・・・・・・。


> 「ラッキーチャンス」「スイート☆ライン」の犠牲にな……

やっぱり、ラッキーチャンスみたいにヒロインがいながらも、物語の過程でいろんな女の子出せるほうが商業的にはお徳なんでしょなぁ。個人的には寒いギャグ路線の小説より、今作みたいなどっぷり世界観に浸れるほうが有沢氏にも合ってる気がするんだけどね。

ハーレムものなんてどうせ抱き枕とかフィギュアとか、乳マウスパッドとかが目当てなんだろーが!(偏見)

是非とも頑張って次回作買いて欲しいところですな。
[ 編集 ]
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