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獅子の玉座〈レギウス〉、雑感

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女神は同じだけ深い情愛をそそいでくださったのよ。
あたくしは、その情愛を信じるわ。

レオン。それが―――あたくしの、誇りよ。




電撃文庫さん刊行、マサト真希著『獅子の玉座〈レギウス〉』についての雑感を今回は綴っていきます。



Espliaのあらすじ

世界の全てを統べるとされる〈万界の王〉へ到る証、〈王獅子の至宝〉を求める者達がいた。

元海賊の傭兵「レオン」、故国を失い虜囚となった聖王女「アリアン」、兄への恨みを募らせる皇子「ユーサー」。
彼の者等は、各々確固たる思惑を持ち、「至宝」の探求へと乗り出していく。


今作の印象は、まさしく「コテコテのファンタジー」といったところでしょうか。


本編ではそれを象徴する、ファンタジー小説特有の「設定の深さ」が、まず強烈な洗礼を浴びせかかります


上記のあらすじで登場した、〈万界の王〉、〈王獅子の至宝〉などの単語のほか、〈大神アル=エル〉筆頭とする神々の名(七人分)、イラストページで紹介される主要都市、及び国名(9箇所分)、人種などなど、覚えるのに大変苦労する単語がワラワラ出てくるの様は、まさに圧巻でした。


「設定の深さ」、などと書いた手前で申し訳ありませんが、今回にのみ限り、良い意味ではなく、悪い意味に捉えていただければよろしいかと。


とにかく、物語全体の創世者である筆者の考える膨大な世界観を、まったく知識もない読者に数多押し付ける物語の構成は、はっきりいっていただけません
もしもストーリーの結末に必要な単語、設定ならば、それが必要となってくる段になってから、徐々に明らかにすべきでした。


特に今作は、物語の冒頭も冒頭。書き始めの部分にその要素を持ってきてしまったことで、読み手が最も本選びで重視する冒頭を小難しくしてしまい、相当の方が付き合い切れなさを覚えてしまったようにも思えました。


一応、第一巻から難解な設定、というと有名なライトノベルに『灼眼のシャナ』が挙げられますが、世界観に無知な主人公に、世界観を熟知したヒロイン(+α)側が講釈をする、という表現方法、ゆっくりとしたテンポで説明が挿入されたため、それなりにわかりやすいものとなっている点と、対照に位置しているともいえます。


特に「無知な何者か(灼眼のシャナで言う、主人公)」を用意することで、同じく設定など知る由もない読み手とリンクさせ、共感を得させる技法は、かなり安心感を生むことは言うまでも無いでしょう


その点今作では、登場キャラクターの誰もが世界観に熟知しているため、一人理解の範疇にいない読み手だけが必死にその会話に付いて行かねばならず、私自身、前半はかなりの苦行を強いられました


後半。物語が佳境に差し掛かり、ようやく今作の世界観が理解できはじめる頃になってくると、散々用意されてきた壮大な設定が息を吹き返し、躍動感のある面白い物語の展開をしていくため、なおさら前半の躓きにもったいなさを感じてしまいました。



物語そのものに関しては、「レオン」と「アリアン」の喧嘩腰の会話、「ユーサー」と腹心達の会話を筆頭に、なかなか軽妙な掛け合いが目を引きました。

また、かなり強烈な方向に「人の生き汚さ」を描き、丁寧ながらもどこか毒のある人物描写のクセもたまらない人にはたまらない出来栄えとなっているように感じられました。


性悪=現実的。とまで現実社会を蔑ろにするつもりはありませんが、こうした、ある意味でのリアルな人間模様が描かれていることは、ファンタジーの中にあって、その薬味のような辛味から、良いアクセントになっていると言えるでしょう。個人的に、この点はなかなか胸に来るものがありましたね。


結末が「やや」、というか、「なかなか」というか。理屈不明意味不明な展開を見せ、挙句なんの説明も用意されていないところが気に障りましたが、中盤から終盤に掛けての物語の展開、人間像の描き方は総じて高次元に纏まっていると評価できるでしょう


今後の展開にはそれなりに期待がもてそうですね。




【総評】

中盤、後半の展開の素晴らしさ。人の生き汚さをあえて正面に据えての人物描写の丁寧さが光る作品と評価できるでしょう。

後者こそ人を選ぶと思いますが、貧民、虜囚、戦争などのキーワードから連想される負の世界観が味わえる点は個人的には評価のポイントとなりました。


また「レオン」、「アリアン」など主要人物を筆頭に、決して表面だけの薄っぺらいものではない、信念の感ぜられる内面の描き方が、丁寧、かつ読みやすい印象が強かったように思われます。


ただ、こと序盤において。
カタカナの多い、いわゆる「覚えにくい固有名詞」が山ほど登場する点。加え、その単語の山が必要な時分にバラけておらず、一塊になっている襲ってくる点は、読み手の気力をモリモリ奪っていく原因となっており、「設定の深さ」が逆に仇になっていると見受けられました。


それさえ乗り越えれば、雄大な設定に彩られた物語を楽しめる分、先述した、この「難点」は、読み物としては致命傷となってしまっているとも言えるでしょう


難解な単語が山ほどあっても、気にせず読みつづけられる人はもちろん、ファンタジーに耐性があり、多少なり我慢強さがある人ならば、購入しても恐らく損はしないと思われます。


明確にオススメと表記はできませんが、気になった方は是非購入してみてください。





読了お疲れ様でした。
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○2011/02/14○
三巻で打ち切りっぽい感じで続きが出ない

せめてもう一巻ぐらい出して完結させてほしい話でした。

[ 編集 ]
○2011/02/15○
一般書ではあんまり見かけないけど、ライトノベルは打ち切りだったり、続巻を出さないうちに新シリーズ書いたりする人が多い気がする。
趣味で書いてる人なら文句はないんだけど、仕事で買いてるもうちょっとしっかりプロット立てて、きちんと完結してほしいよねぇ。

そういう意味でいうなら、『終わりのクロニクル』や『とらドラ』、最近完結したらしい『狼と香辛料』あたりは実に良心的。

あー、『僕と魔女式アポカリプス』の続巻でないかなぁ。
[ 編集 ]
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