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プシュケの涙、雑感

pushukenonamida.jpg




「入部、します。いろいろ、描きたいものがあるから・・・・・・・よろしくね」
「よろしく」
「・・・・・・なんか怖いなぁ」
「超歓迎する」





電撃文庫さん刊行、柴村仁著『プシュケの涙』についての雑感を今回は綴っていきます。



Espliaのあらすじ

夏休み。
数Ⅱの補習が行われた教室の窓辺を、髪の長い少女が落ちていった。少女の名前は「吉野彼方(よしのかなた)」。

なぜか吉野彼方の死に固執する「由良(ゆら)」と目撃者の一人である「榎戸川(えどがわ)」の二人は、彼女の死が本当に「自殺」だったのかを探り始める・・・・・・。


読み終わった後の感想は、「悲劇」と「感動」について、根本的な勘違いしているように思えた、という一点につきますね。


はっきり言って、この本に救いはありません。

不幸な少女が悲しくなるくらい理不尽な死を迎え、それがいかに悲しいことのか、辛かったのか、跡付けを加えた結果、ヤニのようにこびりつく悪しき読後感が胸中を席巻するだけです。


故、「俺はハッピーエンドしか認めねぇ」という人はもちろんのこと、多少なり悲壮感の漂う文章に体性のある人でも本書はあまりオススメしません。


更に強く毒を込めて評するならば、この本は「読んでも何も生まれない」、と評したとしても過言ではありません。それぐらい、後に残る希望も暖かさの見えない作品でした。




極めて個人的な思想の話で申し訳ありませんが、わたしは「ただ「死ぬ」というインパクトのためだけに登場させられるキャラクター」が嫌いです

有名どころで言えば、『車輪の国、向日葵の少女』の冒頭で登場する女性などが挙げられますでしょうか。



勿論。小説、漫画問わず、物語を盛り上げるために「死」というキーワードを用いる例はそれほど特徴的なものではありません。著名な漫画『ONEPIECE』の「ポートガス・D・エース」しかり『ガンスリンガーガール』の「アンジェリカ」しかり。


ここぞ、という場面で用いられたたからこそ、読者の心に残るシーンであったことは言うまでも無いでしょう。



問題は、その「死」を、今後(またその後の展開)にどう繋げていくかという部分で、上記に挙げた二作品と、今作における差別化を図ることができます。
今作は短編で、それ故に展望性がないことも考慮しても、この「吉野彼方」の死はどうにも無意味に過ぎるよう、私には感じられました


今作が、まだミステリーの体裁をとっているならば「死」そのものに意味くらいは見出せたかもしれませんが、上記のあらすじからは想像もつかないくらい真相は稚拙ですし、そこにいたるまでの推理要素は、座席表の違和感についてのみ、という希薄さはなんともいえません。



柴村仁というとアニメ化もされた『我が家のお稲さま。』という作品の執筆者がありますが、その第七巻に載せられた短編集でのミステリーものも酷い作品でした。根本的に筆色とジャンルがかみ合っていない、ということも拍車をかけているのかもしれませんが、それにしてもお粗末に過ぎます。




ただその弱点を補ってあまりあるのが、人物の描写力で、中でも第一章での由良、第二章での吉野彼方の内面描写は年相応の多感さ、身勝手さ、愛らしさがキチンと描かれていて大変素晴らしかったです


特に、一見してクールな立ち居振舞いをする吉野彼方が同級生に対してツンケンした態度を取る理由、エスカレートしたいじめに疲れ果て、涙を流しながら感情を爆発させるシーン、まともに熟睡さえ出来なかった彼女が由良の家で久しぶりの睡眠を得るシーンは、胸にくるものがあり、人物像と相まって涙腺を緩ませます


問題は、その上手い人物描写を、第一章で語られる「結末が全て台無しにしている」ということです。


どれほど上手い描写で、どれほど愛らしくキャラを立てていても、それが「死」という終着点に向かっていては悲壮感しか覚えません



そういった観点から「わかったようなこと」を言わせて貰えば、この筆者は「悲しい=感動」という勘違いした図式で作品に取り込んでいるとしか思えませんでした。


J・ケッチャム著『隣の家の少女』と比べるのはさすがに酷かもしれませんが、理不尽な死や不幸な人生は、悲しくはあっても「感動的」ではありえないわけですね



二章と一章を入れ替え、吉野彼方の結末を死亡ではなく「重傷」に変え、由良との後日たんを付け加えれば短編とはしてこの上なく良い作品になれたのでは、という妄想も禁じ得ませんね。



ただ、吉野彼方が「死」という結末を迎えたからこそ、由良が一章の最後で取った一連の行動が映えた、という見方を否定も出来ません






【総評】


理不尽な日々に耐えつづけた吉野彼方の内面、そして唯一の友人である由良の描写が上手く、読んでいて感情を揺さぶられる良いシーンが多くある一方、吉野彼方の「死」という結末を用意されたがため、全てを台無しにしている作品でした。



また、その「死」が作品のインパクトを強める以上の効果がないように思え、意味無く、かつ理不尽な物語の展開には憤りすら覚え、今作の評価を大きく下げる要因となりました。



加え、どこか「悲しさ=感動」という間違った考えが横行している節が強く、話の組み方、あまりにも救いない結末さえ変えれば、短編としてはかなり素晴らしい作品になっただけに、もったいなさも一入。



所謂バッドエンドで終わる形が大丈夫な人、理不尽な少女の人生が大好物な人(どんな人だ・・・)というと語弊がありますので、「悲劇」にたまらなく魅せられている人にはオススメできる作品だと思います


ただミステリーを目的に購入されるのはオススメしませんのであしからず。




追記


なまじ7割を占める結末以外の部分は良い出来の作品なので、酷評一辺倒にも出来ないことが不満といえば不満ですかね。


正直なところ、一章さえ肌に合えば、この雑感に関わらず名作だと感じられる人も多いと思われます









読了お疲れ様でした。




あー。
こんなに自分の中で評価を画一化しにくい作品は久しぶりだぁ。

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○2011/02/07○
ユメもキボーもありゃしないってか

タイムループかタイムスリップものにすれば救いがありそうな設定だなあ

ええ、ハッピーエンド至上主義です
[ 編集 ]
○2011/02/07○
タイムスリップものか、密かにそれなら報われるね。趣味の領域で書いてみようかな。(優先順位を知れ)

あ、ちなみに今回の雑感は、どうにも偏見を取りきれていない印象が強くて、たぶんアテにならない。
だから、もしもでいいんだけど、興味がちょっとでもあるなら、読んだ感想がほしいかも。


いやね。
いろんな人の感想ブログを見て回ったんだけども、この『プシュケの涙』、なんと大絶賛の嵐でしたぃ。
個人的にはそんなに軸はブレていないつもりなんだけどなぁ・・・。
[ 編集 ]
○2012/10/21○
このコメントは管理者の承認待ちです
[ 編集 ]
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