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B.A.D.【第一巻】、雑感

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胎盤? 似てるかな、似ていないね?
あぁ、それとも、胎児? 経血?

そんなことはないさ、これは「チョコレート」だよ。



ファミ通文庫さん刊行、綾里けいし著『B.A.D.1 繭墨は今日もチョコレートを食べる』についての雑感を今回は綴っていきます。


Espliaのあらすじ

紅い唐傘にゴシックロリータで着飾った少女、「繭墨(まゆずみ)あざか」。
チョコレート以外を決して食そうとしない、どことなく浮世離れした雰囲気の彼女が運営する『繭墨霊能探偵事務所』に勤める「小田桐勤(おだぎりつとむ)」は、彼女が好む、常識では考えられない怪奇事件に次々と関わっていくことになる。


全体的な雰囲気は、カバー裏に書かれた「ミステリアス・ファンタジー」が適用されるでしょう。


ただ、全体的に筆者の考えた、どこか「ネジの外れた理屈」が横行する作風に加え、「残虐描写」や「醜悪な想像」が全編に渡って幅をきかせているので、ある程度の「倫理」を作品に求める人は読むべきではないでしょう。

「ミステリアス」という部分には同意しますが、ファンタジーというよりは、江戸川乱歩の妖怪話、怪奇たん的な雰囲気といえば解かり易いでしょうか



正直に言えば、今作はそう言う意味で「甚だ読者を不快にさせる要素」が満載されており、また昨今ライトノベルに見られがちな外見や行動からキャラの「異端性」を主張している傾向が強く、「ゴシックロリータを着た怪しげな少女うんぬん」、という時点で眩暈を感じてしまう人は当然、読了は不可能に近いと思われます。


個人的には、「ゴジックロリータ」「紅い唐傘」というアイテムを用いた個性の主張も許容の範囲内ですが、本編の「チョコレート以外をほとんど口にしない」というあまりに人間離れした日常生活には、魅力以前に親近感さえ沸きません


外見だけをどう見繕っても、やはり内情を感じさせる「人間の部分」は必要不可欠な魅力ですし、それを個性のために犠牲にした作風は好ましくありません。



一種、「記号」だけを照らし合わせた場合、今作は富士見ファンタジー文庫さん刊行、桜庭一樹著『GOSICK』と似通った部分がそれなりにあります。

例えばそれは、本編の主役たる少女は誰よりも賢く、服装はどちらもゴシックロリータを基点とする様相が主だったり、甘いもの以外は摂取したがらない性分(※)や一見して残虐に見える性格だったり、リアクション満載の若い男の助手がいたり、枚挙に暇がありません。


  ※デスノートの「L」を筆頭に、頭脳労働=糖分というのは昨今よく見られる図式ですね。


しかし『GOSICK』に比べ、今作『B.A.D.』は、事件解決に到るまでの論理が非常に「非現実的」かつ「推理不可能」なレベルに終始しているため、各物語に伏線と思しきもの文脈が多数存在し、最終的に理解は出来たとしても、「納得は出来ない」という部分が多いように思われます。


簡単に言えば、伏線を読み返しても面白くないわけですね。


まぁ、もともと「霊能」という属性は「ミステリー」と程遠いものですし、全体的な印象を「ミステリアス」と前述したこともありますので強くはいえませんが、もうちょっと現実的なトリックを用意するなり、霊的な要素を使用するにしても、解法に到るまでの手法はもうちょっと読者に飲み込みやすい形で提供するべきだったかな、と思わずにはいられません。


最終章で取り上げられる、二人の繭墨あざかの真偽であったり、繭墨あざかの殺人疑惑についての「タネ」が、どこか見たことのある展開であることも、個人的には残念でした。


繭墨あざかは、本当に人を殺したのか――?


という物語の練り方をしておきながら「そう、その通り!」という結末に落ちつくわけもないでしょうに。似たような容貌で、口調で、となれば結末に驚けるわけもありません。


ちなみに、どこかで見たことがある、というのは言わずもがなTYPEMOONさんの『月姫』、そしてLeefさんの『痕~きずあと~』ですね。


夢の中で人を殺している、俺が犯人なのか――?


という「語り口」も「結末」も実にウリ二つ。


勿論、何歩かは譲りますが、上記二作品にまったく造詣がない人ならば、驚愕の結末、なんてレッテルもあながち不自然ではないかと思われます。



無論、こういった一巻の全てを使って最後の最後に「驚きの結末」を用意するのも面白い読み物の常套手段として有効だとは思っています。


ただ、私としてはむしろ主人公である「小田桐勤」という人間性や過去に、もう少しスポットライトを重点的に当てた上、「静華」、「雨華」などの要素に重点を置けばヒューマンストリーとしての奥深さも兼ね備えられたのではないかと感じてしまいました。


特に「繭墨あざか」は計413ページという分厚い単行本の中、文章化された内面描写が一切無く、正直に言って「好きになれない」ように作られたキャラクターなんだな、という感想にしか終始できなかった為、最後だけ彼女の家や血筋に重点を置かれたとしても、素直に感動はできませんでしたね



若干愚痴っぽくなってきましたので、悪い点、残念に思った点についての言及はここまでにして、見所についても綴っていきましょう。


やはり今作の魅力といえば、「奇抜な発想力」。これに尽きますね。


上記ではかなり毒を含ませた物言いをしましたが、全て独自の考えから、名作である『月姫』『痕』と同じアイディアが浮かんだのだとすれば、恐らく執筆するにあたって相当結末を練りこんだことは容易に想像できることは言うまでもありません。



また重要性の高い要素に「小田桐勤」という男性が性交渉無し子供を孕むという描写があることも注視すべきでしょう


性交渉の有無に関わらず、男が子供を孕むということに、もちろん現実味はありません。

しかしこれが、マリアがイエス・キリスト(神の子)を孕んだとする聖書に則った「処女懐胎(しょじょかいたい)」がモチーフとなったものであろうと推測すればどうでしょう。


本編において、生みの親である「小田桐勤」当人を含め、孕んだモノが明言された理由もなく鬼、と認識される因子が「性別に因るものである」ということ。
これが暗に物語の裏側で語られているとすれば、筆者の物語作りにおける情熱の一端を直視したようにも思えないでしょうか


明言されている結末や、伏線は言うまで無く重要ですが、こういった語られない部分での物語の厚みというのは、やはりいつ見ても胸が躍るものです


人が全力で作ったものを全力で味わっているように思えますからね。


繭墨と小田桐の上記に引用したような、軽妙な掛け合いの奇抜さを含め、筆者の今作における熱意と発想力は否定できるものではないでしょう




【総評】


食人(カニバリズム)、飛び降り自殺、ストーカーまがいの狂人などなどの題材を取り上げており、全編を通して、「倫理観」「論理性に乏しい物語が多く見られます


それに伴い、多くの伏線が本編に用意されていても、納得できない部分が多く存在し、反感を覚える人が多いのではないかと予想されます。


本作は「ミステリー」ではなく、あくまで「ミステリアス・ファンタジー」という趣旨であることに最低限留意してください。
似た記号を有する、桜庭一樹著『GOSICK』とは全く様相が異なるということも明記しておきます。



本筋に関しては、413ページという文量を使ったにも関わらず、結末にやや他の作品との類似点が認められ、新鮮味が薄いことが残念な点として挙げられるほか、魅力的なキャラクターが多いわりに、内面についての言及が少なく、ヒューマンドラマとしての希薄さが時に物語を薄くしてしまっているように感じられました。


特に繭墨あざかに関しては、主人公格の扱いのわりに、結局最後の最後まで「不思議な人」以上の感情を抱けず仕舞いだったことも、大きく評価を下げたポイントであることは間違いありません



ただ上記にも記したように、男性の懐妊などを含め、筆者の「発想力」そのものには偉大なものを感じる場面が多く、本編に明記されているだけの伏線や結末だけでは見えてこない、筆者の作品作りに書ける情熱は、他作品に劣らず顕著に表れていると言えるでしょう。


正直、苦手意識が先行してしまって私はあまり楽しめませんでしたが、読み応えのある作品ですので、気になった方は購入してみてください。




読了お疲れ様でした。
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○2011/01/18○
>また重要性の高い要素に「小田桐勤」という男性が性交渉無し子供を孕むという描写があることも注視すべきでしょう。

ただし子供は尻から出る!で良いのか?おいおい、その道の専門家でもガバガバになっちまうよ、もしくは出ねーよ。

そういう事じゃないですよね、すんません。
[ 編集 ]
○2011/01/18○
一応外的要因で子宮を埋め込まれているので、帝王切開でなら生めるはず・・・!(不道徳で本当に申し訳ない・・・)

男性だと精巣あたりに頑張れば孕めそうだけど、さすがに腸には繋がってないからね?
出産時の最近汚染のやばさとか考えると、大変だね?

・・・・・・さすがにそろそろ不謹慎なんで締めましょう。

nako、最も注目して欲しくないポイントをピンポイントで狙撃するのはやめなさい。
もうちょっとこう、バラの香気漂う、清涼感を与える話題をね? 選ぼうね?
[ 編集 ]
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