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機械じかけの竜と偽りの王子【第一巻】、雑感

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・・・・・・僕はアルトゥール。フランシスカの兄です。



電撃文庫さん刊行、安彦薫著『機械じかけの竜と偽りの王子』の雑感を今回は綴っていきます。



Espliaのあらすじ

機巧鎧(アームネイン)と呼ばれる、機械じかけの巨大兵器が戦争の主力だった時代。
王都リュクサリアに侵攻を開始した隣国、オルガントを食い止めるため、リュクサリア側に従軍していた戦争奴隷の「イアン」は自軍の敗北により、闇夜の森を一人で逃亡していた。
その最中のこと。
闇夜を割き、突如見たことも無い、白銀の機巧鎧(アームネイン)が「イアン」の前に降り立った。そして脚部を損傷したためか、疲労からか、意識を朦朧とさせながら搭乗席から出てきたのは、なんと見たことのない美しい少女だった。


全体的な印象は、前回書かせていただいた『銃姫』同様「ファンタジー」ですが、こちらは機巧鎧という非常に近未来的な要素を併せ持った分、「油臭さ」が強いように感じました。


また、大国同士での戦争が話の舞台であるため、人の生き死に関わる「血生臭さ」も全章に渡って濃厚に言及されていますので、苦手な人は注意してください。


また本作は独自の物理、魔法的理論の記述が少なく、純粋に「我々が知る物理法則」、尺度で物語を楽しめるので、「設定が複雑で意味不明」という取っ付き難さや、難解さとははほぼ無縁です


ファンタジー作品としては、幾分以上に「読みやすい」印象が強く、万人向けな作品だとは思います。



さて、本作で多く搭乗する兵器、「機巧鎧」は、陳腐に言ってしまえば「でっかいロボット」的な見た目ですが、あくまでの本作のコンセプトでは「でっかい鎧」と見てもらって間違いないと思います。


無論、大きくとも鎧、ということで、銃器をバッカンバッカン、大砲ドンドコというような遠距離戦が本分ではなく、あくまで「槍」や「剣」、兵法を駆使して戦う中世的な戦闘手段が主流です。


これは、一部確かに存在する、「ロボットもの」の面白さがイマイチ理解できない、という人でも違和感無く物語に入り込めるほか、「三国志」のような兵法を主軸とした戦運び、戦術が大好物の人にはたまらない出来栄えとなっていて、非常に出来の良い部分だと言えるでしょう



また、本編の主人公たる「イアン」が、戦争奴隷という立場から、王女「フランシスカ」の兄である「アルトゥール」を演じる、という流れも、「普通の少年」が奇異な事件に巻き込まれていく、「巻き込まれ型」と呼ばれるライトノベルの王道を忠実に踏襲していて、読んでいて久々に血が騒ぎました。


言ってみれば彼は、王女の勘違いから流動的に戦場に連れ出されてしまった「被害者側の人間」。
それが恨み言一つ言わずに懸命に役割を果たそうと奮起する姿はなかなかのもので、敵方の将との一騎打ちを要求された際、上記のセリフを呟いて立ち上がる姿はまさに主人公


常々、読み手との共感性について重要視している私にしてみれば、カタルシスを感じざるを得ない状況だった、といっても間違いはないでしょう。



主人公以外にも、王女フランシスカ、近衛兵「エリック」、「ヴィクト」、「リュクサイア5公」と言われる王都の幹部五人(一部)代理)の心理描写なども省かずにきっちりと描き、「誰の」「どんな思惑で」「どんな結末を辿ったのか」が逐一解かるようになっているのも憎い演出で、筆者の物語作りの丁寧さに好感が持てます


第一巻ではあまり内面描写のなかった「ミリアム」や「メイ」も、次巻以降、更に活躍してくれるだろう、という期待を抱かずにはいられませんね。



唯一、本編で気になったのは、「この戦いは後に~と呼ばれている」や「~と~は今後も活躍する兵士になることになる」などとという描写が戦争前に入ったことで、第一巻の主軸たる戦役が、「リュクサリア側が優勢で終結した」、ということが早々にバラされてしまったことが挙げられます


無論、ライトノベルと言わず、文学作品、メディア全般にいえることですが、一巻にして主人公が死亡してしまう、という話の運び方をする筆者はほとんどいないことは理解しています。


それでも、今後「どうやって勝ちに持っていくのか」を、ト書き部分を含めての流れを読んでいる側からしてみれば、答えを先に見せられてしまうのは少々期待から外れてしまった印象を拭えません


最後の最後で、「これは前哨戦に過ぎなかった」というようなことを書かれれば、次巻への期待を持たすための演出の一つといえますが、戦争がはじまる、さぁ、この時! というところで意表を付くように書くのは、小石を足先に置かれたような微妙な不快感に似たものを覚えざるを得ません。


これさえなければ、舐めるように読んでしまえた出来栄えの作品だっただけ、残念さも一入、といったところでしょうか。



【総評】


機巧鎧というロボットのような兵器が活躍しながらも、人を選ばないクセのない物語運びがウリだと言えるでしょう。


ファンタジー作品にありがちな専門用語や筆者独自の理論や世界構造への言及もほとんどなく、「読み易さ」という点では群を抜いて優秀だと思われます。



銃器を用いない、剣や槍、兵法を用いて組織的に戦う、中世的な抗争が好きな人にはたまらない描写が数多くある点も見逃せないポイントで、人の生き様や、良くも悪くも人間らしい心理の描写も、物語を引き立たせる「調味料」としての役割を果たしていると見受けられました。


それに準じ、登場するキャラクターは皆個性があり、それぞれに自然と愛着が沸いてしまうほど緻密な描かれた心理描写の丁寧さは素晴らしいの一言です。



一部、先が読めてしまう「ネタばらし」のような行間が入る点は、苦言を呈したくなるものではありましたが、作品全体の質は相当高いものだと言って間違いないでしょう


気になった方は是非読んで見てください。

オススメです




読了お疲れ様でした。



追記

最近購入した小説に「当り」が多く、嬉しい反面、どんどん「当り」を引いて行くことで、残された作品に「はずれ」が多いような錯覚を起こすことがあります。

なるほど。

これが、相対性理論か(なんのこっちゃ)

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○2011/01/14○
五公のおっちゃんマジ最高
愛に生きるあの二人が一巻読んだ中ではダントツだった

面白いシリーズではあるが続きが遅いのが難点かな
まあ、内容的に設定が難航しているんだろう……断じてアレでは無いアルヨ
[ 編集 ]
○2011/01/14○
確かに「主人愛」に生きる男と「異性愛」に生きる男の対比がなかなか面白い。

戦役前のフランシスカの対応も正反対で、その後彼女の印象恐らくも正反対だろうしねぇ。

個人的にはあんまり「白昼夢先生」を貶したくはないなぁ。あんな外見の女の子にけし掛けられたら空だって飛べそうだし。(爆)

肝心の主人公イアンが置いてけぼりを食らってる印象があるせいか、心理描写の多い5公の方が人間らしくて好きな人は多いかも。
「ヒューム」と「オルグレン」も会議じゃあんなにいがみ合ってるのに、戦闘が始まった瞬間態度がすごい変わるしね。

まぁ、ぶっちゃけ次巻以降のメイド「ミリアム」さんの活躍の方が気になるわけだが。
[ 編集 ]
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