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うみねこのなく頃に散、EP8【Twilight of the golden witch】、雑感

umineko08-01.jpg



『うみねこのなく頃に』という物語は、血の繋がらない親子の物語である。



新年といえば、うみねこ、うみねこといえば新年。
というわけで早速、感想がまとまる前に本編としては最終エピソードにあたる、『うみねこのなく頃に散』【Twilight of the golden witch】についての漠然とした雑感を書いていきます。


もちろんネタバレまみれですので、お嫌な方はブラウザバックを推奨いたします。




最初に断っておくことは、本作は読み物としては本当に面白かったです
ほぼ全てのキャラクターに見せ場があり、泣かせる場面、興奮する場面、考察にじっくりと頭を使うことの推理ものとしての余興も盛りだくさんあり、まさにやりたい事を詰め込んだEPといえるでしょう。

ただこれが『うみねこのなく頃に』シリーズの最後の物語として位置付けられるべきかと言われると、やや首を傾げざるをえない作品になってしまったな、という感覚が否定できません



「真相」というものは、何時の世も、どんな名作であっても、それを駄作たらしめる。
謎は謎のままにしておかず、人の惨劇を暴き、それを食らって笑い、物語を味わうことが本当に「楽しい」ことなのか。


この問題をテーマに、うみねこのなく頃にEP8は成り立っているように私には感じられました。


言ってみれば、EP6にて「ファンタジー」として完結し、EP7にて「ミステリー」としても完結した、『うみねこのなく頃に』という作品。これに唯一残った、「では、それら答えをどう未来に繋げていくか」という展望について、書き手である竜騎士07氏と我々の考えを戦いあわせる意味でのゲームの側面が強く出たのでしょう

前半に見られる「縁寿へのクイズゲーム」、中盤の要たる「ベルンカステルとの犯人探しゲーム」、最終局面の「魔法か手品かの選択」、などなど読者への挑戦と見て取れるものが山ほどある理由も、おそらくはここにあるといって問題ないでしょう。


今作の体裁こそ、縁寿VS戦人、ベルンカステルVS縁寿、戦人。という図式ですが、選択型を多用しているところを見ると、我々プレイヤーという「一個人」と「筆者」との対立を主目的としていることも見えてくるはずです


そういう意味において、今作は大変良いコンセプト、よく練られたシナリオの上に出来上がった雨細工のような筆者の繊細さが浮かび上がるように思います。


実際、出されるクイズや推理ゲームの内容は(特に後者は難易度、表現ともに)実によく考えられていて、参加型の読み物があまり得意ではない私でも大変楽むことができました

さすが、解けるか、解けないか、という「難易度」設定に関しては8つのエピソードを綴ってきた筆者だけあって、難しすぎず、簡単すぎず塩梅が良く取られています。

経験から言って、やや難しいかもしれませんがノーヒントで解いたほうがより楽しめると思います


ただ、最後のエンディングを決める「魔法」か「手品」か、という問題は、難易度という意味では簡単ではあっても、その概要は大変悪辣だといわざるを得ません


手を変え、菓子を出したと錯覚させることを、本編を通して「信じることの尊さ」と解くのか、また幻想に踊らされることを是とせず、「手品は手品でしかない」と解くのか。


それは、どちらも正解であり、不正解である。これが元来『うみねこのなく頃に』という思考を促す読み物の本懐だったはずです


にも関わらず、「魔法」を選ぶと真相が靄に包まれながらも穏やかなエンディングにたどり着き、「手品」を選ぶと非常に後味の悪いエンディングを見せられる。この構造は正直諸手を挙げて賛同できるものではありません。


真相を暴き、10月4日、5日に何があったのかを知ることは「良くないこと」である、というのは、結局のところ筆者自身の考えでしかありません。
それを読み手に押し付けることは、果して本当に納得のいく結末なのでしょうか?


勿論、論文にしても小説にしても映画にしても。それが創造物である以上、その作者の思惑、思想が宿ってしまうのは当然のことではあります。今作が一つしかない結末に辿り付くだけの、「ただの小説」ならば、いくらだろうと筆者の思想を頑として貫くことは決して悪いことではありません


しかし、筆者とプレイヤー(読者)との対決という形式を、「選択」という形で能動的なアクションを要求される今回のEP8で、選択肢の先に待つ物語の善悪を定められるのは、少々押し付けがましさが過ぎます。
最初から決められたレールを歩かされるのであれば、選択など用意するだけ時間の無駄でしょう



気になる点はほかにもあり。他の方も言及しておりますように、今作では未来のボトルメッセージと称して、我々読者の発言を引用したかのような悪役、「山羊」を多く使用しています。

これは筆者からすれば、思考停止しながらも、批判だけは一丁前な特定の人種の人々を槍玉に挙げ、少し自虐めいた憂さ晴らしをしているぐらいの気分なのでしょうが、不可解な謎に対して真相を知ろうとする、「当り前の感情」を、傲慢な奴らと一括りに否定してしまうのはどうにもやり切れない思いがこみ上げます。


確かにミステリーとしての終焉はEP7で行われています

しかし、彼の三人一体の魔女が持つ「ホワイダニット」、どうして殺人幻想をヤスが夢想したのか、その原因たる魔女に到るまでの2年間についての明確な記述はありません。

EP7にて「これで解からなければ、もはや語らない」(注、概要)と諦めたニュアンスで断じられてはいますが、「フーダニット」(誰が)「ハウダニット」(どのように)などと違い、人の心を知ろうとするのは理論、理屈ではありません。考察に値する明確な情報があろうとも、言ってしまえば筆者の旗色したいで幾らでも変わる不定形の心というモノを、推理という「憶測」だけでさも真実に到ったかのような実感を得ることは甚だ難しいことなのではないでしょうか。


筆者が問い。読み手が独自の解答を用意する


ミステリーを謳うということは、答えを明記して初めて完成形たるもの、と言えるべきだと私は考えます
何せどれほど懇切丁寧な解説があろうとも、解答のない問題集ほど苦痛なものもないでしょう。
悩んだ分だけの素晴らしい真実を寄越せとは申しませんが、明確な答えを文章として読んでみたかった、という欲望はやっぱり否定できません。



ただ、答えがないから『うみねこのなく頃に』という作品が駄作である、というほど穿った見方が正しいとは万に一つも申しません。


読み物としての驚きや感動というものは、今作、牽いては今シリーズに確かな面白みとして存在することは何人も否定できるものではないでしょう。これは上記にも示したとおりです。

人の死を弄び、「幻想(ゲロカス)なんかいらねぇから真実をよこせ」、と声高に叫ぶことはお世辞にも行儀の良い態度とはいえませんし、EP8の結論である、「知る」から「知らない」へと移ることはできない、だから明確な真実を知ることに幸福が宿ることは無い、というニュアンスも未来を生きる縁寿にはやはり正しいことのようにも思います。


○○が犯人で、惨たらしい殺人を起こした。やっぱり○○は非道な人間であった。


などという結論を用意され、8つのエピソードに渡って好いてきたキャラを最後の最後まで貶すのも、やはり純粋に喜べるものではなさそうですしね。


どれだけEP8で持ち上げようとも、EP7での黄金略奪事件の顛末を鑑みれば、金蔵が誉められた人間ではないことは十分に推測可能なように、わざわざ今まで匂わせてきたことをクドく繰り返すよりはよほどマシだとも思えます。


何より、解答を明確にしなかったことで生まれる不満を、筆者である竜騎士07氏が看破できないわけもありませんから、やはりそういった否定的な意見が出ることも折込済みで「愛が無ければ視えない」という結末を選んだ、という見方が適切なのだと思われます。


要は、筆者にとっては、右代宮一族が自ら生み出した「子供」のようなものであるのに対し、読み手にとっては取るに足らない一つの物語、そこに登場するキャラクター群にしか見えていない、認識の差、牽いては温度差が今回の評価を左右していると言えるでしょう。

あたかも現実の人物を庇護するように、真剣に縁寿の未来を考えた筆者。平面の、存在しもしないキャラクターの字面の幸福より、自身の知識欲を優先したい読者。
どちらの意見も至極真っ当であるがゆえ。今作が大半の人に受け入れられないものになってしまったことも必然なのかもしれません。


まぁ、竜騎士07氏が次回作として『うみねこのなく頃に礼』を書きたい、という旨を製作日記にて書いているように、今回のEP8にて解答が示されなかったから、結末は永遠にお預け、という考え方もやや早計なものでしょう。

・・・・・・正直に言えば、「礼」で解答が発表される望みは薄そうですが。


最後の選択肢で、私が最初に「魔法」を選んでしまった以上、『うみねこのなく頃に』を楽しめたといえ、所謂ファンタジーに屈服をしてしまったわけですから、正直偉そうなことはいえませんが、一概に「ミステリー」としての答えが明言されていないからつまらない、という評価は思考停止といわざるを得ません。

やや強引な印象こそ受けるものの、最後に語られる「八城十八」という存在にも納得できましたし、小骨が全く喉に無いか、と問われれば素直に頷けないものの、今作は作品の結末として大して悪いものとは断じて思いませんでした。

何より、最後までどのキャラが悪いだの、残虐だの、そういった血なまぐさい議論を引きずらない点は評価に値すべきでしょう。奇麗事でしょうが、奇麗なほうが良いのも事実なのです。


他の方が「ダルい」と称する幻想パートも、最後の最後で大暴れ、という偶像劇での十八番をキッチリ踏襲していて、まさにお約束という楽しさがあります。そこを否定してしまっては何もかも台無しです。

真実や現実は確かに重要ですが、そればかりを「創作物」、加えて「ゲーム」に要求するのはいささか以上にナンセンスだと言わざるを得ないでしょう。

元より誰もが納得する結末など、どんな物語にも存在しません。
妥協、というと甚だ不本意なニュアンスを含みますが、提示された結末を飲み込みやすい形に整形する程度の努力くらいは、一個人としてするべき行動ではないでしょうか。


【総評】

『うみねこのなく頃に』シリーズ最終エピソードとして、良くも悪くも筆者のやりたいことを詰め込んだ、アイディアと思想に満ちた作品でした

前半のクイズゲーム、中盤の推理ゲーム、最後の選択も、プレイヤーを楽しませる演出としては及第点を上回る出来だと言えるでしょう。


結果として、12年前の六軒島で起こった真相、並びにその「フーダニット」(誰が)「ハウダニット」(どのように)「ホワイダニット」(どんな理由で)が明言されることはありませんでしたが、今までのエピソードで十分予測可能であることを思えば完全な不親切とも言い切れません。


ただEP7にて、今作がミステリーに準拠しているという前提を作ったにも関わらず、「真相を追い求めることは本当に正しいことではない」と作者自身の思想で、一方的に結末を打ち切ってしまうことは、元来解答を提示する責任を放棄していると見なされても庇護しきれません


今後「礼」という番外編をどう扱うかを知らないので、あまり強くもいえないので、本当にこれを最終のエピソードとしてもってきたことが正解かどうかは、今の時点で結論付けるべきではないでしょう。

ただもし、この作品が解答編としての最後の物語だとするならば、最後の選択肢で「手品」を選んだ人だけでも、真相を教えるべきだとは思います。当然、後味は一層悪くなると思いますがね。


ミステリーとしてはかなり残念な出来。ファンタジーとしては及第点の出来、というところが、今の状態でもっともシンプルな感想でしょうか。



私自身、縁寿と絵羽が和解する場面である程度満足してしまったので、あまり強く批判は出来ませんねぇ・・・・・・・。(汗)





読了お疲れ様でした。



※一応、「真相」、「EPごとに残った謎」、「真犯人「ヤス」の動機」、などなどの考察を後日時間があれば書くつもりなので、気になる方は楽しみしていください。




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○2011/01/06○
EP1が一番面白かったかなぁ、先が見えなくて
場面ごとには面白いけど物語全体としてはイマイチな感じ

個人的に魔女どものゲロカスだのの下品な言動が気に入らないというかあの顔芸はナイ、台無し
[ 編集 ]
○2011/01/06○
たしかにEP1は王道のミステリーで、赤字青字の応酬ない分すっきりした印象があって好印象。これからの展開が気になる、という意味では間違いなく一番だね。

個人的にはEP3、7も理詰めの内容としてはなかなか面白かったけど、得に「散」シリーズは解答編にも関わらずイマイチ釈然としない雰囲気があったせいか苦手な人には苦手かもしれんね。

ベルンカステルが悪役になってから、ゲロカスだのハラワタだの、決り文句のような単語が出てくるようになったのも、似たような展開が多い(持ち上げて叩き落す)のもマンネリ感を誘発してのは確かかと。

EP8ですっぱり真相について語ってくれるだろう、と期待していた矢先に「魔法」、「手品」の選択肢もなかなかあくどい真似としか言いようが無い。

ただ絵羽と縁寿のやり取りは泣けた・・・。
[ 編集 ]
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