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アカイロ/ロマンス【少女の鞘、少女の刃】、雑感

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すぐに泣いてしまうほどの気の弱い娘が、お前達の陰湿な暴力に耐えてきた。普通の者が耐えるよりも遥かにつらかったろう。どんな気持ちだったか妾などには想像もつかん。

それなのに吉乃は、復讐も逃避も服従も選択しなかった。お前のように誰かを憎むこともしなかった。



ただじっと忍んできた。 それが、「強さ」でなくて何だというのだ?



電撃文庫さん刊行、藤原祐著『アカイロ/ロマンス【少女の鞘、少女の刃】』の雑感を今回は書いていきます。


Espliaのあらすじ

謎の失踪、という形で姉を失った主人公「霧沢景介(きりさわけいすけ)」は、日々その喪失感に苛まれながらも学生生活を続けていた。
そんなある日。
景介は自身と同じ形で親友を失って以降、塞ぎがちな少女「灰原吉乃」を仲間内の遊びに誘うことを画策するのだが・・・。


今作の読後感を一言で表すならば・・・、ショックです。

フワフワの髪に、制服に着られているようなブカブカ具合、おまけに「灰原」、なんて苗字の時点で、

「ああ、灰被り(シンデレラ)って意味と掛けてるのか!」

などと勝手に薄幸ヒロインを想像して血も肉も踊っていただけに喪失感が半端ないです。


魔法を掛けられて、服装が変わるぐらいまでは許容しますが、首上全部挿げ替えられるのはちょっときついです。
おまけにこのまま恋して情事まで及ぶと(死んでくれ)、

私の体が目当てだったのね!

なんてブラックなギャグが飛び交うのでしょう。


ははは・・・! マジキチよ!マジキチ!





・・・若干、趣旨と脳髄がズレたので、閑話休題。


以下より本文



今作の全体的な印象は、しっかりとした足場を基盤とした「安定感のある伝奇風ファンタジー」という印象が強いです。
しかし、例えば、

1、物語の最初に語られる雪のシーンでの和装の女が誰なのか。
2、姉の失踪は結局『一族』に関与しているのか。
3、いきなりバトルものになっているがその動力源(魔力とか霊力とかそんな感じの理論)はどんなものなのか。

などなど、薄靄(うすもや)に包まれたがごとく、回収されない伏線と思しきものが散りばめられているので、お世辞にも「一冊のみで出来る限りを尽くした」という感じは受けませんでした。次巻が出ることを前提とした、やや甘めの構想が露見した、というところでしょうか。


また上記の例に加え、多々乱用される説明されない単語のオンパレードは、読み手に作者の考える世界観を極力わかりやすく伝えるべき「伝奇のセオリー」から少し外れていて、やや不親切な印象も否定できません。

情報を小出しにして今後のネタの節約をしたい気持ちもわかりますが、どうせ説明しない単語ならば読み難いだけなので使わないでいただきたい、というのが本音です。



ただこの点に関しては、説明がなされない単語が多いといっても、読み手が全く想像すら出来ないモノはそれほどなく、例えば

『白銀りょうげ』=鎌いたちを起こす鉄扇
『つうれん』=なんか凄いらしい宝刀

程度の認識は出来るので、読み手の想像力を掻き立てる、という意味では単純に「悪いもの」と括れるものではないのであしからず。



一方で、本編流れに関しては、書き初めでこそ取り乱しましたが、世界観やキャラクターなどはよく練りこまれていると思います。


特に首を挿げ替えて体を乗っ取る『一族』の性質は、景介の姉や今後登場するキャラクターを物語で使っていくに則し、顔で判断するしかないライトノベルにおいて、常に裏を用意できる幅のあるファクターとして有効なものだと言えるでしょう。
主人公がモテモテ、なんていう「ライトノベルのテンプレート」もこういう形ならば、手放しで喜べないまでも説得力がありますね。


苦言を呈すれば、体と心は灰原吉乃のモノ、といっても素直に恋愛する気が起きるかどうかは怪しいところで、本編でも景介が「彼女の恋を無駄にしないように」、という同情めいた感情が先に立ってしまう虚しさが漂うのが、やはり気になるといえば気になってしまいます。


「枯葉」は、おそらく本編に深く関わってくるメインキャラだということは重々承知で、ビジュアルも著者の意向が強くあることもわかりますが、いじめの末に死亡した挙句、体を奪われる、という惨い演出をするより、精神的な乗っ取りというマイルドな展開にし、後腐れの無いようにしてみても良かったのではないでしょうか
(勿論、それはそれでシナリオの「刺激」が薄くなってしまうのは明白なので、本案そのものも一長一短ですが・・・。)

一応『灼眼のシャナ』で、存在を取って代わられた平井ゆかりも、この範疇に該当しますが、彼女にはバックボーンがなかっただけまだ、読み手に救いがありますからね。(アニメでやや語られますが)



シナリオにおいて、他にも煮え切らないのは、景介の知人の女性ばかりが、やけに『一族』と関わりをもっていることも挙げられます。
扉絵で登場させた人物が本筋で重要なのは当り前ですが、それがほとんど主人公の関係者というのはなかなか違和感が拭えません。

景介の住む町の近くに『一族』の隠れ里があったとしても、絶対数の少ない彼らが、同じクラスで友人で、というのはいささか以上に不自然極まります。
さらに言えばその不自然さは、「不自然だから違うだろうという風に、物語の核心をぼやかす効果を与えるどころか、むしろ関わっていないことが怪しさを呼んでいるところがあり、展開から考えても相当の痛手だと思われます。


正直な話、あの場面で「日崎」を出しておいて、何の挙措も起こしていない「秋津」を不審がらない人というのはまずいないでしょうよ、と


結果、先の展開が読めてしまってだけに結末を純粋に楽しめなかった人もかなりの数いるのではないでしょうか。
扉絵の段階からもうちょっと工夫をして欲しかったところですね。


『一族』の性質と、灰原というキャラに重点をおきすぎて、後半が駆け足気味なのもやや残念なところです



【総評】


全体的に読みやすい文章に、純粋に引き込まれる物語の展開。『一族』の設定や、「枯葉」を筆頭とした個性のあるキャラクターの掛け合いは一読の価値があります。


後半の展開にやや難はあるものの、読み手に(良くも悪くも)ショックを与える「読み物としての面白さ」は勿論のこと、やや控えめながらも、いわくつきの武器を使った伝奇もの特有の戦闘シーンもあり、飽きさせない演出が今作の魅力と言えるでしょう

煙に巻いたような言い回しも、好きな人にはたまらないはず。


ただ上記に記した、苦言を読んでいただければわかるように、読了後の清清しさとは若干無縁です
特に、「灰原吉乃」というキャラに中途半端な思い入れを持ってしまうと、なかなか素直に感動できない部分が多くなってしまい、一見感動的な結末に不満が駄々漏れてしまうかもしれません。

妙な肩入れをせず、あくまで「物語は物語として楽しむ」スタンスを維持できる人ならば、本作に満ちる哀愁そのものを深く、楽しんで味わうことができるかもしれませんね。


ここまでいろいろと書いてきましたが、久々に続編が読みたくなる出来栄えでした




読了お疲れ様でした。
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○2010/12/23○
続きが気になるということはこの本は当たりだったようですね。
読んでみたいですが売ってるとこを見たことがない気が…
[ 編集 ]
○2010/12/23○
ネタバレは書けないなぁ

まあ、面白かったよ。ヒロイン健気だし、主人公マジハーレム(笑)だし

ただし三~四巻まで読まないと楽しめないかなと思う
[ 編集 ]
○2010/12/23○
書き込みありがとうございます。

気になって貰えただけで、すごく有り難いです。

ただ、どうも私の書く感想のライトノベルは、それなりに昔いものが多いので(本当にすいません)、実際に買うとなると、古本屋かネットの中古ショップ(古本市場やBOOKOFF)くらいでしかお目にかかれないかもしれません。

どちらにしても一巻のみなら中古で50円~100円程度で売っていると思いますので、見つけたら是非とも買ってみてくださいね。


・・・今後はもうちょっと手に入りやすいものの感想を書くことに注力してみたいと思います。
[ 編集 ]
○2010/12/23○
ネタばれしたらトサツ(漢字変換自粛)するんでよろしく!

一巻だけでも大分良い雰囲気が味わえてるのに、三巻四巻で更に面白くなるとな・・・?

中古商法で一巻のみ100円、次巻から150円、250円と値上がりしていくけど、今作は久々に定価で追いかけてみようかなぁ
[ 編集 ]
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