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カレとカノジョと召喚魔法【2巻】、雑感

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他の人を想ってあげられるなら、自分のことも大切にして欲しいです。
それが、わたしからの最後のお願いです。


 espliaのあらすじ

吸血鬼事件を無事解決した、「雪子」と「遊矢」は二ヶ月の夏季休校に入っていた。
しかし学校は休みでも、悪魔リールゥを見つけて遊矢の感情を取り戻す目標は相変わらず。二人は最近町で頻発する「ポルターガイスト事件」について捜査をはじめることになった。



 600年という時間が重みを増すセリフを綴りつつ、今回は電撃文庫さん刊行、前回【1巻】に続き、『カレとカノジョと召喚魔法』2巻の雑感を書いてきます。

 
 前回指摘した、会話文での読みにくさは大分解消されていたように感じました。
 話の展開もきっちりと起承転結が用意されていて、前回と違った読み手を楽しませる工夫が随所に見られたことも評価に値します。

 ただ私個々人の問題として、女性主人公の一人語り文体というものは合わない、ということが今回の作品で理解できた気がしました。


 本書において、地の文の基本はヒロイン兼主人公「雪子」の感情描写、心の機微に比重が傾けられる傾向にあります。加え、その部分に状況描写や行動描写などの「客観性」を混ぜられることもあり、主観と客観をない交ぜにした独特の雰囲気をもっています。
 そしてそれこそが、もっとも私を苦しめた要因でもありました。

 感じ方はそれぞれでしょうが、「男」である私にとって、当然「年頃の子女」である雪子の感情は理解しにくいものがあります。
 特に本書では、1巻の吸血鬼事件から、もう一人の主人公である「遊矢」に対する、雪子の淡い恋煩いが前回以上に直接的な感情で綴られる場面が多々有り、読んでいて理解できないことへの、諦めに似た倦怠感を感じることがしばしば見られました。

 一応男で主人公という、従来の作品では中心人物にあたるであろう遊矢というキャラクターは存在するものの、彼自身の「心情」や「感情」がとある事情からあまり本編で語られないこともあり、結果的に本書で読み手と共感を得るのは、必然的に「女」の雪子となってしまうことは言うまでもないでしょう

年頃の少女の感性を理解することは出来ない、それでも一番詳しい心理描写がかかれているのは雪子しかいない。
はっきり言えば、そのジレンマに私は悩まされたわけです。


 更に付け加えれば、自分と最も共感した主人公が、「男」を好きだ、という点です。これがなかなか精神的にきました。

 先述したように、登場する「男主人公」の遊矢には、心情や心の機微でスポットライトを浴びることが極端に少なく、1,2巻と読みつづけてきた私としてもその性格の全容を掴むだけの情報を得られた自覚はありませんでした。

 つまり、そんな、全容もはっきりとしない男を、主人公である雪子が好きである、ということそのものに、納得し難い感情を抱いてしまったわけです。

 それは一種、「自分がよく知らない男に誑かされている」ような不快感を呼び起こしたわけですね。寝取られ、というほどの直接的なものではありませんが。


 特に終幕間近、本書で悲劇のヒロインとして描かれるとある人物が、その「良く知りもしない男」に胸を押し付けてイチャイチャしている場面を見せ付けて『次巻へ続く』という展開も正直首を傾げざるを得ない、という感想を拭えませんでした。

 まぁ、この辺りは性別や感受性の相違で180度見方の変わる問題ですから本書の価値を下げる要因になるものではない、あくまでこの文体に対する感想は、「主観的な評価」だということを留意してください。


 一応の客観的な批判としては、物語単品の質ではなく、「組み方」に問題があるように思いました。

 例えば、本編での謎である「律乃と幽霊の関係性」について、本編では後半の中盤程度にそれが語られるシーンがあります。
しかしそれは、あくまで登場する人物達が理解した、という「くだり」だけで、具体的な内容が一切綴られない、いわゆる「解答はCMの後に!」的なお預けを食らうわけですね。


 正直イラっとしました


 これは、「これから私は面白いことを言います」、と前置いてギャグをやるような薄ら寒さがあり、通念として、読み手(聞き手)が期待した質以上のものでも以下でも、素直に喜びづらいものがありました。

 そんな前置きをせずに、言うべきことは言って欲しいし、そんな「なんだかよくわからない心情」を後半まで持っていっても、純粋に物語が楽しると本当に思っているのでしょうか。

 
 確かに、綾辻行人著『迷路館の殺人』などでは、推理モノとしての体裁として、さんざんもったいぶった後に、「これが真相だ」ということが鼻高々に語られます。

 それでも不快に思わないのは、その前に書かれた膨大な文章のほとんどが伏線としての機能を果たすに足るクオリティのものであり、大筋でいえば「探偵モノ」という意識があるからこそ。

 その点でいえば、『カレとカノジョと召喚魔法』は『GOSICK』のような「探偵モノのライトノベル」ですらなく、真相が語られる前の文章だけをどれだけ丁寧に読み込んでも真相に結びつきづらい「ファンタジー性」を持っているからこその、「この歯痒さ」なのだと推測できるでしょう。

 謎を提示し、その解答に自信を持つのは、間違いなく筆者としての熱意としてありがたいものではありますが、こういった文章の組み方をしてしまったことで、逆に不快感を与える形になってしまっているのかもしれません


 他にも、本編にて初登場する、天使「セーレウス」。
 
 雪子に対して何度か物理的な支援はするものの、物語の主軸たる「ポルターガイスト事件」への関りが非常に薄く、謎の解明にそれほど役立つわけでもなく、どうしてこの物語に必要だったのかがいまいちわかりづらかったことがあげられます。

 セーレウスの悩みそのものも、一見すれば確かにこの作品の肝の一つといえるでしょう。
 しかし、大局でみれば結局のところ、遊矢の一言を聞いて個人の力のみで解決してしまった感が強く、雪子の右足や遊矢の感情の話など、『一巻』で語られた要素への言及はあっても、『一巻』以上の新しい情報を与えてくれるわけでもありません。

 無論、次巻への布石、という要素が全く考えられないわけではありませんが、会話やイラストでここまで登場させておきながら終始活躍しないということには、肩透かしを食らうほかない、というのが現状です。


【総評】

 一巻の頃から比べて読みやすさや、物語の作りこみへの熱意は感じられましたが、どこか「から回り」している印象を拭えませんでした。

 特に現世を600年も渡り歩いた天使「セーレウス」というキャラクターを、作者の腕次第でいくらでも良いシナリオを作れる「幅広さ」を持っていたにも関らず、ほとんど本編と関らない部分、おまけに相当淡白な形で使い潰してしまったことが大いに悔やまれます。
 
 ビジュアル、性格ともに、今後第二のヒロインとして活躍させてもいいレベルだと、思ってしまった分失意はかなりのものでした。


 また、先述したように物語の組み立て方も課題点が多いように感じました。
あくまで真相を「推理」させようとするならば、例えば遊矢が雪子に、律乃のことを尋ねるシーンで、ここが重要そうだ、と思わせるポイントを面倒臭がらずにきっちり描写すれば、真相に対する評価も少し変わったのではないでしょうか。

 最初の辺りに綴った、女性主観の物語ということも含めて、読み進めるのに多大な労力が必要、という感想に終始せざるを得ないでしょう。



 読了お疲れ様でした。

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