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ラッキーチャンス!、雑感




心のあるものはね、命のあるものはね、そうはいかない


電撃文庫さん刊行、有沢まみず著、『ラッキーチャンス!』第一巻の雑感を今回は書いていきます。

いつも書き始めに、本文で一番気に入った文章を毎回ピックアップしていますが、正直今回はそれを探すことすら困難なほどに、感想に困る内容でした。


Espliaのあらすじ


日本一不幸な男である、高校生兼“ごえん”使いの主人公、外神雅人(そとがみまさと)。住居は学校、友人の情けでようやく食にありつける極貧の状況に加え、彼はやたら勘違いを誘発し易い体質を持っていた。
そんな彼のもとに「キチ」と名乗る、元疫病神の新米「福の神」がやってきたのだが・・・。



あらすじを見てもらえば解かるように、最近殊に見られるようになった、不幸体質の男が主人公の作品です。加えて史上最強の霊能力者で、ヒロインは可愛らしい女の子で福の神で、同級生にアイドルと呼ばれる女性が居て好きだったり、・・・昨今「代わり映えの無い」として評価を受けたテンプレートをあらかた詰め込んだような面白みの無さが目立ちます。


以前私は、テンプレートだからこそ足場の安定感があると、『メルクリア』というレビューで綴ったことがありますが、ここまで酷いものは相当お目にかかれません。

「ヤマなし、オチなし、意味なし」。よく本を酷評するときに使う言葉があります。
まぁ、私としては、本を読み、その世界観の片鱗を味わうことこそが「意味」だと考えているので「意味のない本」など無い、という見解を前提として持ち合わせています。
しかし、それにしたって、ここまでヤマもオチもない、言ってみれば楽しませようとする工夫のない文章が評価できるはずがありません。


まったりした日常を描くことにのみ終始した二次作品に、『あずまんが』『よつばと』『らき☆すた』などがあります。
これらの作品は一重に「ヤマ」という概念を持ち合わせていません。(地続きで「卒業」などといった山場はありますが)それでも、面白いと思えるのは、そこにしっかりとした現実感という「重き」を置き、他のジャンルや文言に趣旨を変えない安定感があるからこそ。

そういう意味で言えば、日常に重きを置くわけでもなく、非日常に行く訳でも、お色気に走るでも、軍事に走るでも、シリアスに走るでもない。そんな『ラッキーチャンス!』という本書は、漠然とした「ナニカ」の塊以上でも以下でもない漠然としたものに成り下がっている気がします。


特に主人公、外神雅人は、五十嵐シリーズである『乃木坂春香の秘密』、『小春原日和の育成日記』の主人公達が「一般人」という読み手と同じ境遇を与えることでカタルシスを感じさせる構成になっているのに対し、最強の「霊能力者」という肩書きを持つ上、日本一不幸という本文にどれだけ影響があるかもわからない体質が附随さえているため、非常にとっつき難い印象があります。
少なくとも、「あー、わかるわかる」という共感を得られることはないでしょう。

また「霊能者の主人公」としても、佐藤ケイ著『天国に涙はいらない』の主人公「賀茂(かも)」と違い、どうしても霊能者になったのが、霊能力とはどういう精神状態で使うのか、というような異分子故、必要不可欠な説明を大幅に省いてしまっている。
一言、格好言い(と思っているのであろう)セリフを呟けば、思い通りに能力が使えてしまう、そんな主人公にどう親近感など沸かせば良いのでしょうか。


小説『とある魔術の禁書目録』の主人公のように「自称」不幸体質な人間や、『ぼくと魔女式アポカリプス』、アダルトゲーム『桜花』の主人公のように、能力使用と引き換えに運気が吸い取られる、というような、それぞれ「自称」「理論(ロジック)」という体質への言及があるのに対し、それが一切ないというのも淡白に過ぎます。
そのくせ、神々公認、言わば客観的に「日本一不幸な男」と評されることには正直納得がいきません。


顔はイケメンで、最強の霊能力者で、学園アイドルに気に入られて、友人が山ほど居て、福の神という美少女が愛玩動物のようになつく人間の「何が不幸なのか」、と。


確かに、本文を読んでいると「親しい人間を巻き添えに危険な目にあう」という意味での不幸体質ということが読み取れ、恐らくは妻子を持ったときに必ず失う、といった想像ができます(二巻以降は告白されてもこういった理由で断る、というようなエピソードがあるような気がしますが)。
そういう境遇を推察するならば、確かに彼は不幸ですが、学校に通えなかったり、生まれ以って障害をもっていたりするような人が彼以上に幸福なのか、という疑問はつきまというます。


ヒロインであるキチも、元疫病神の福の神。まだまだ力が弱くて、云々、のくだりがあるにしても役立たずに過ぎます。たとえ世間知らずにしても、彼女の場合は知識さえない「幼児」に似た無邪気さがあり、「神」という存在を筆者がどう捉えているのかがわかりにくい印象を受けました。

ただ、前述したように、雅人は人間の妻子を持てば失う、というような体質があるがゆえ、「だったら人外の嫁さんで」という安着な発想から生まれた可能性は否定できません。
また、不幸体質の改善、という意味合いを込めて「福の神」の性質を与えたことを考えると、まさに「雅人といちゃつかせる」ためだけの存在を後付けで用意した印象が拭えず、好感を抱き難いと言えるでしょう。

本文での彼女の容姿の説明も、どこか本書のイラストを頼った希薄な印象が脱えず、そのくせ男性読者には形すら想像しがたい「服装」ばかりをピックアップしていて、ヒロインの魅せかた、というものを度外視ないしは無視しているような感想まで抱いてしまいます。
小説というジャンルで販売しているにも関わらず、「絵」で見せれば良いと思っているならば、作家としての自覚すら疑います。
ご自慢のヒロインならば、もう少し愛のある説明が欲しかったです。

物語の展開に関しての言及はしていませんが、読めば一瞬で把握できるものですので、このまま総評に移ります。


【総評】

物語の展開、キャラクターの使い方、また特性。どれをとっても中途半端なイメージが伴い、物語に入り込めませんでした。
また、一巻から主要人物のバックボーンを薄くし、次巻への伏線と思しき部分を山ほど張ってしまったことで、他の作品にあるべき、第一巻(投稿作)だからこその壮大さ」というものが感じられない間延びした印象が拭えません。

有名な著者ですから無理もありませんが、書けばかならず次巻が出る、という前提で書かれているためか、一冊の本で出来うる本来の努力の大半を怠っているようにも感じられました。
それは別の意味で言えば、熱意が欠けているように見えてしまう、ということにも成りかねません。

物語の起伏も緩く、部分部分では読んでいて嫌気が差すような幼稚さが匂うところもあって、純粋に楽しめた部分はごく僅かでした。
そしてその僅かな部分も、イラストという支援を受けてのキャラクターの掛け合いが中心なので、小説という観点から見れば、不本意ながら購買欲をそそられない出来栄え、という評価をどうあっても覆せないでしょう。

次巻を読んでいないため、今巻のみで優劣を決め付けるつもりはありませんが、私の目には、ただキャラクターが可愛いだけの、いわゆる「パッケージ買い」をする人のみを対象とした、地雷にしか見えませんでした。




読了お疲れ様でした。



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○2010/11/13○
感想を見るかぎり相当ひどかったみたいですねw
ここまで言われると逆に読んでみたいような気も…
[ 編集 ]
○2010/11/13○
> 感想を見るかぎり相当ひどかったみたいですねw


読み返してみると、確かに相当ひどく書いてますね(汗)

> ここまで言われると逆に読んでみたいような気も…

ひどく書いてありますが、この本は実にも毒にもならない「期待はずれ感」が強かっただけで、初めてライトノベルを読む人や、キャラクターが気に入った人は楽しく読めると思いますよ。

変な日本語があったり、言葉の使い方を間違えているような「小説になりきれていない」という意味で酷い訳ではありませんから。

本文では書きませんでしたが、キャラ同士の掛け合いもそこそこ面白いですし。

古本屋で100円ぐらいで売ってたら、興味本位に買ってみても損はしないと思います。
[ 編集 ]
○2010/11/13○
同じ著者の作品「いぬかみ」と同じノリの「ラッキーチャンス」。
世界観も同じですし、続けて読んでいるとしっくりくるかも?…いや無理か。

途中の話に出た「桜花」の主人公は前半と後半で印象が変わりすぎる。優男からマッチョになってすごく萎えた記憶がある。原画が二人でしょうがない所だが、そもそも何故絵柄の違いすぎる原画家を一緒にしたし。あああ

…というトラウマが再発した。
[ 編集 ]
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