espliaのちょっとだけ時代遅れ。

生むは雑感、生きるは過去、ちょっと遅れた感想中心ブログ。

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アクセル・ワールド1―黒雪姫の帰還―、雑感









もっと先へ……《加速》したくはないか、少年








電撃文庫さん刊行、川原礫著『アクセル・ワールド1―黒雪姫の帰還―』についての雑感を今回は綴っていきます。

Espliaのあらすじ

太った体系と、どこかオドオドとした雰囲気からイジメを受ける主人公「有田春雪(ありたはるゆき)」は苦しい現実から逃避するためにネットで黙々と時間を潰つぶしていた。
そんなある日、ひょんなことから学園随一の美貌を持つ少女、通称『黒雪姫(くろゆきひめ)』に出会い、日常を逸脱する「とあるプログラム」を渡されたことで、彼の日常は大きく変容していくことになる。


読み終わった感想は「セオリーとは違って好かれない主人公を登場させながらうまく活用した作品」といったところでしょうか。



今作で重要なのは、何よりも主人公が「好かれない人間」の代表格であり、また本人もそれを自覚している点にある、と言うことができるでしょう。


他の作品に登場する、ほぼ完璧な容姿と行動力、信念を持ちながら、ヒロインら女性キャラクターの好意(女性という生き物への付き合い方を含め)に鈍感な主人公というものに多大な違和感があったのに対し、好意の「裏」を勘ぐってしまうがゆえに、それを素直に受け取れことのできない土壌がしっかりと用意されていたため、色恋に関するセリフの一つ一つに不自然さを感じなかった点は評価に値する要素だと思います。



また「外見は良いが結果好かれなかった男」と「外見が悪いが結果好かれてしまった男」の対比が丁寧に描かれ、双方、無理の無い範疇に収まった戸惑いが垣間見えることを含め、それぞれの主張に等身大の臆病さが見えること。


最終的な“喧嘩”で、相手を徹底的に「悪」側に描写することで、それを叩きのめすことが「正義」だと解釈させることなく、うまく両成敗へ持っていたこともあって、読了後の不快感が少なめであることも特筆すべきものでしょう。



登場キャラクター全般に関しては、上述したように過去の掘り下げや内面描写が幼馴染三人に集中してしまったことでヒロインの『黒雪姫』に関する共感性は正直少ない印象がありますが、考え方によっては高嶺の花らしく謎めいている部分が今後の焦点になるとも言え、将来性がないとはいえず。

生徒手帳の件をそのまま頭から信じれば、単なる導き役としてではなく「ヒロイン」としての魅力も決して低くなかったように感じました。



内向的かつ後ろ向き思考な太った男。という表現で登場しながらも、絵面だけで見ればやたら愛嬌のある姿の「ハルユキ」に含め、わりかし真に迫った人間関係を中心とした物語作りながらも導入部分である学校でのイジメにそれほど固着せず、あっさり流して次の展開に結び付けていくことで雰囲気を暗くさせない努力が見られるのも、よい判断だと言えるのではないでしょうか。




世界観そのものに関しては、現代より文明が進んだ社会が舞台ということもあっていろいろと勝手の違う部分が垣間見える印象があり、その雰囲気が戯画さん発のノベルゲーム「バルドシリーズ」で見られる近未来像に似ていたことから私自身それほど違和感がありませんでしたが、基本的な社会構造や世界観への言及がわりかし少なく、想像し難い印象を持つ人が少なからずいるかもしれません。



その一方で「バースト・リンク」を用いた戦闘に関しては、名前とは違ってスピード感よりも描写の「わかり易さ」に比重が置かれているように思われ、物々しい、または「詩的な言い回し」が少なく読みやい印象が強かったですね。時間の概念や避け方、体捌き、ステップの踏み方、などもろもろの要素を的確に省いているように感じられました。



耐久力の減り方や、それに伴う身体機能の低下などの説明がやや感覚的で、筆者の故意を感じる部分が多くあったこともまた事実ですが、そのシンプルな戦い方が土台としてあるが故、後半に反面する主人公機の特性が強く生きたようにも思われます。



一度も当らない必殺技『ヘッドバット』が実は地を割くほどの威力なのだろうか、と妙な方向に思考が働いた私だからこそなのかもしれませんが、『パンチ』や『キック』という地味な攻撃しか持たない機体に対し、速さを附随して攻撃力を底上げするという構成は、いかにも「タイトル」どおりな塩梅ではありましたが、胸の透くような納得の結論といっても過言ではないでしょう。





最後に。

ハルユキを取り巻く家庭環境がどれだけ当人に影響を与えているのか、ということに端を発し、家族というワードに一巻ではほとんど触れなかったこと。

「ゲームは高みを目指すためにやるもの」という言葉からハルユキが目指すべき到達点がレベル10にあることは理解できるものの、それが他人の拠り所を奪ってしまう可能性があることに当人があまり頓着していないように見えること。

などが読み終わった後の違和感として挙げられることができますが、それも次巻以降への布石としてみれば強く批判する要素ではないのかもしれませんね。





最近読んだライトノベルの中では十分良作といえるものでありました。
気になった方は是非購入してみてください。オススメです














読了お疲れ様でした。
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泣空ヒツギの死者蘇生学、雑感









今回目ぼしいセリフがなかったため、本文引用はありません。






電撃文庫さん刊行、相生生音著『泣空ヒツギの死者蘇生学』についての雑感を今回は綴っていきます。

Espliaのあらすじ

死体の一部を持ち去る殺人鬼『破砕破片(ピースメーカー)』と呼ばれる存在が町で暗躍する一方、平凡な高校生「氏姓偲(しかばねしのぶ)」は人生初のラブレターに歓喜していた。

まさか己が犠牲者の1人になるとは知らずに。


読み終わった感想は「分厚い一冊であるにも関わらず、感動する場面も感銘を受けた言葉も衝撃的な展開もなかった駄作」といったところでしょうか。



最初に気になったのは本編のスタンスそのもので。

街中を席巻する怪奇(殺人)事件にスポットを当てた推理要素、日常生活から零れ落ちた主人公の苦悩、所謂キャラ萌えを匂わす表現の数々、突如として始まるバトルなどなど、様々な印象を与える要素が本編中に混ぜ込まれており、作者が作品を通じて何を書きたいのかがよくわかりませんでした。


表現数は多くとも、それらが全て有効的活用されている「良いとこ取りなものではなく、全体的に唐突感があるため、結果ミステリー作品としてもヒューマンドラマとしても「うだつ」の挙がらない出来栄えでしかなく、残念な評価に尽きます。



また文章構成にしても、改行や章立てを変えないまま様々な人物の内面描写を混ぜ込むために情報量が嫌に多いため、わかりにくい印象が強かったですね。


多人数に視点から、多角的に物語を描写することは世界観を把握するのに有効な手段ではありますが、それを同じ場面、同じ場所にいる面々を次々切り替えて描写する意味は薄いもので。

ヒロインや今作の“犯人”にまでその心理描写の輪を広げてしまった点は、本来読み手が楽しむべき想像の余地をむしろ潰しかねないものであるように感じました。



心理に言及した文章の量も多く、一つのセリフにつき一つ解説が用意されるようなバトルシーンはお世辞にもスピード感がなく、もはやお節介なのか妨害なのかが判断できません。



本書のあとがきに、「この本は『鈍器』です」と分厚さに申し訳なさを感じさせる物言いがありますが、そう思っているのなら尚のことくどい描写を減らすべく、改稿を重ねるべきではなかったのでしょうか。




登場するキャラクター達に関しては、「氏姓」(しかばね)「泣空」(なきがら)を筆頭とした名前のツッコミどころはさておき、全体的に奇怪な行動や信念に重きが置かれている印象が強く、日常から非日常への転向に注視しながらも共感を覚えないものになっている点が実に不可解。


狂った理念の元、独自の法則性で動く“犯人”にせよ、ヒロイン「ヒツギ」の抱える問題への言及にせよ、その理屈に到った過去が描かれていないのでは、どれだけ「絵面」で涙を流そうとも、生じた唐突感に感動が押し流されてしまいます。




“犯人”探しや『破砕破片(ピースメーカー)』という現象の意味など、本編の一要素であるミステリーに関しても、「非現実的な力」「到底無理としか思えない強運」を前提にした歯切れの悪いものが多く気に入らず。

またそれら非現実的な要素を加えても説明しきれない箇所(“犯人”の使うトラップの設置方法、情報満載の死体がありながら全く動こうとしない警察)が目立っていて、お世辞にもお粗末としか言いようがありません。


中盤から終盤に掛けて始まる唐突なバトルでは手法の現実味、時間の概念が度外視された描写は大量の疑問符を生みますし、上記したように内面描写がぐちゃぐちゃと横入りするので、最後まで読み辛さを拭えませんでしたね。




最後に。

個人的な批評としては、主人公「偲」が発する様々な「イイコトバ」が、彼自身の過去が描写されていないため「奇麗事」にしか感じられなかったこと、“犯人”の狂気を演出するため会話分に「それっぽい言葉」を書き連ねた結果安っぽい狂人に成り下がってしまっており、悪役としての魅力に欠けている点などが非常に鼻につきました。(重要なのは滲み出る狂の雰囲気



中でも

「絶対に守らなければならない約束は約束じゃない。約束ってもんは契約や損得の問題じゃなくて、守ろうという意志の上にあるべきだ」(意訳)

という素晴らしいセリフは、間違っても「自分勝手に約束を破った男」に言わせるべきではありません。


どんなに良い訓戒であっても使いどころを間違えてしまえば取り繕いの屁理屈しか見えないのですから。




一つの要素に注力する一貫性、心情ばかりではなく過去にも言及を深めたストーリー構成、超常現象を使うならば推理要素は廃し、バトルをするならば描写に説得力を持たせることなどなど、様々な点について修正が加えられれば面白い作品になるのかもしれませんね。




気になった方は上記の点に留意し、慎重に購入していただければ幸いです。














読了お疲れ様でした。
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彼岸花の咲く夜に【第一夜】 簡易感想









強く生きて。
死んで咲く花など、ありはしないのだから。







07th Expansionさん発、竜騎士07著『彼岸花の咲く夜に 第一夜』についての簡易の感想を、次回予告通り今回は書かせていただきました。


また今記事の内容は、


1、未購入者様向けにネタバレを廃し、雰囲気のみを伝えるための「ネタバレ無し感想」。
2、短編各章に分類しての「ネタバレ有り感想」と続きます。


最後までお読みになりたい方は、ネタバレ無し感想の最後にある「続きを読む」をクリックしてください。ネタバレを見たくないということは押さずにそのままお楽しみください。





以下よりネタバレ無し感想となります




これからプレイする人、もしくは購入を検討している人に、最も留意して欲しいのは、これが「同人作品」であり、万人に対して感動を訴えかけるような大衆向け作品ではない、ということでしょうか。


勿論。その分物語による読者へのメッセージ性は色濃く、また斬新な手法によるサウンドノベルならではの興味深い作品であることは間違いありません。が、「誰でも感動できる」「最高の読後感」というような感想を抱くものではありませんので、その点はあしからず。


ライトノベルしかり、ノベルゲームしかり。甘く優しい物語を少しマンネリに感じ始めた、「本(もしくは文章)をそれなり読む人」向けの物語ということもできるかもしれませんね。


一応コミック化されたものが現在2巻まで刊行されておりますので、手軽に雰囲気だけは知ってみたい方は、そこから入ってみるのも一興ではないでしょうか。




作風の傾向としてはは、やはり前回の予告でも書いたように、一見開かれていながらも閉塞的な社会である小学校を舞台とした閉鎖社会を前提にし。

そこに蔓延する問題を深く掘り下げ、その中でも殊更「いじめ問題」については清濁合わせての強烈な表現が多用されるため、この題材を極力好まない人は購入を見送るべきであると考えられます。


ちなみに動画サイトで本作のopを見ている人が感じる怪談話としての恐怖はあまりなく(皆無というわけでありません)、上記したような閉鎖社会ゆえの「人間の狂気」が強調された怖さが大半であると考えて問題ありませんので、「オバケ、ダメ、絶対」という人でも大丈夫です。



また、さすがに7章まるまる陰鬱な話ばかりということはなく、その内の4割。やや補足を加えれば8割近くは(恐らく)後味に悪さを感じない構成になっていると思われますので、読み終わる毎に休憩を挟む必要があるほど落ち込みやすい話というのは、実はあんまりなかったりします。



個人的には、性的暴行や、あまりにも陰湿なイジメの実体を浮き彫りにし、被害者の卑屈な内面を緻密に表現している一方、その対局である「いじめにどう抗っていくか」までを含めた「反骨精神」をきっちり描写してくれた作品として、表現技法もろもろは度外視しても評価に値する作品であると疑っておりません。




最後に、前作『うみねこのなく頃に』をプレイした方に関しては、



、今までのように「事件の真相」を追い求める構成ではないので、推理要素が主軸ではないこと。

、『ひぐらしのなく頃に』から続く、明るい日常から突如狂気へ、という話はほとんどなく。暗く始まり、暗いまま終わる話も多いこと。

、場人物による抽象的なバトル要素はごく一部に留まり、ほとんど見られないこと。



あたりに留意し、今までの感想を含めて検討していただければ幸いです。




やや短いですが書きたいことは書かせていただきましたので、ネタバレ無し感想はここまでとなります。





読了お疲れ様でした。


ネタバレ感想を読む場合は「続きを読む」をクリックし残りを出してください。

*

日記的な手抜き記事

今回、小説の雑感は休載とし、次回の連絡と、近況報告で今記事を埋めさせていただきます。



ご想像の通り最後まで面白い話はありませんので、一応あしからず。






さて。


最初の話題は、最近近所で見つけた「防犯ポスター」についてと参りましょう。



地域の掲示板でよく見かける防犯ポスターといえば、昔は(今もかは不明)小学生が夏休みの自由参加課題で描いたものの中から選ばれる印象がありますね。



またそれは、危険を示すためか、はたまた小児特有の「危機」への啓発か。妙に奇抜なデザインと色彩が多くて見られ、深夜に一度見かけてしまえば思わずのけぞってしまうくらい怖かったりします。



そしてある日、ふと疑問が。



自分の住んでいる地域の防犯ポスターといえばどんなものだっただろうか、と。



運良く道路工事で、いつも使っている道が通行止めであることを契機に、通常の手段では見かけることのできない掲示板をわざわざ拝みに出かけてみて、



















 what!?



夜中でなくてもおったまげました。


こんな場所にまでotaku文化の魔の手は潜んでおったとは・・・・・・。


汚染米ならぬ萌染米や、奉納神ならぬ悶納神は見過ごせても、防犯を謳うポスターににこの絵はあまりよろしくないのでは・・・・・?


もちろんそれは、アニメ絵だから駄目というわけではなく、もうちょっとスカートの丈を伸ばしてくれ、と言いたかったわけです。




第一部 了(いいのかそれで)







お次は本屋であったちょっと嬉しい話について。


私が雑感を書くために購入する本屋(古本屋)では、読書デーという名目で5冊以上買うと300円引き。3冊以上買うと100円引きというようなセールが頻繁に催されております。


安い本なら30円。高いものでは420円とピンキリな値段設定ではありますが、基本的に50円~300円の本しか買わない私にとってはまさに渡りに船。



当然のように私はその日、読者デーを見計らっての来店したことは想像に難しくなく。

ちょっと高めの本でも、値引きが前提ならばと平気で物色を開始。300円引きを狙って6冊を購入し、勇んでレジへ持っていったのですが。



ライトノベルは小説じゃないんですよ



 what!?



一応正確には、「本ではなくコミックという扱いなのだ」と説明されたのでございます。


驚き以前に。この扱いには当然納得できませんよね。


瞬時。

わが血に宿る荒み神が滾(たぎ)り、音速を倍近くも超えた拳が凶悪なるレジのイケメンに突き出され。



「あ、そうなんですか・・・・・・。じゃ、このままで会計よろしくお願いします」



セールにも関わらず原価できっちり絞られたお札が受け皿に落とされたのでございます。



これは悔しい。



家に帰ってからは燃えるような悔恨の念に三日三晩の恥辱に振るえあがる毎日を送った、ということもなかったのですが、読者デーなんてものにはもう頓着しないでおこうと決めたわけですね。




問題は昨日。


再び読者デーが催されていたにも関わらず、前回の徹を踏むわけもない小賢しい男esplia。


50円で面白さそうな本を見つけてやろうとせせこましく店内を物色し、結果計500円で7冊の作品を手に入れてレジに並ぶことに。


すると、


では合計7冊ですのでお会計から200円引かせていただきま~す


店員が間違えたのか、はたまた方針が変わったのかは謎でありましたが、たった300円で七冊もの本を購入する罪悪感に苛まれながら帰宅と相成りました。


しかし。


もし30円の本を3冊だけ買って90円。それで3冊で100円引きなのだから、結果-10円ということで実質タダということもありえるのでしょうか・・・・・・?




タダでも利益でちゃうくらい儲かっている店というのも恐ろしいですが、あとあと従業員の不始末が明るみなって私の携帯に店長から電話が掛かってこないか心配でなりません



ついで、

安さに目がくらんで頻繁に来店した結果、「買ったにも関わらず読まれていない」貯蔵書が、



heya01.jpg




私の寝床に侵食してきたことに今更気付く己の浅慮さが恐ろしいですね。(これ以外にも書架に20冊程度貯蔵済み)



次の大地震ではこいつらを防災ずきんにしてやろうと思います。





第二部 了(もうそれでいい)






というわけで最後。


ここでは次回予告をしておきましょう。



本日を以って07thexpsion(綴り自信無し)さんの新作『彼岸花の咲く夜に』を7章まで読み終えましたので、明日、もしくは明後日にはネタバレありに大規模な感想を書かせていただく予定です。


期待してくださる方は是非楽しみにしていてください。



『ひぐらしのなく頃に』では過疎の村。

『うみねこのなく頃に』では絶海の島。

そして『彼岸花の咲く夜に』は、小学校という閉じた世界。


短編集ということもあって装いも新たになり、新鮮な気持ちで楽しめました。

もしも『うみねこのなく頃に』にて不満をもち、不買を決意した諸兄方もopを看て気になった方は是非ともプレイしていただきたいですね。



次回の記事を考えて、今回はつまらない文章の垂れ流しとなりましたが、最後まで読んでくださってありがとうございます。








読了お疲れ様でした。

*

アスラクライン、雑感

asurakurainn-01.jpg








幽霊憑きと呼ばれるのが、僕はたぶん嫌じゃなかった。
たとえよくない噂でも、その中では誰も僕と兄貴を比較しようとはしなかったんだ。








電撃文庫さん刊行、三雲岳斗著『アスラクライン』についての雑感を今回は綴っていきます。

Espliaのあらすじ

ごくごく普通の少年「夏目智春(なつめともはる)」は、飛行機事故にあった幼少のみぎりより幼馴染である水無神操緒(みなかみみさお)の幽霊に憑かれていた。

しかし高校の入学式の前日のこと。
黒ずくめの女の来訪により日常は終わり、智春は次々と巻き起こるトラブルへと巻き込まれていくことになる。


読み終わった感想は、「設定の押し付けがましさが鼻についた作品」といったところでしょうか。



まず物語全体を通して“機巧魔神(アスラ・マキーナ)”、“副葬処女(ベリアル・ドール)”や“王立科学狂会(ロイヤル・ダーク・ソサイエティ)”などのような難解な専門用語が跋扈し、物語をややこしくしている一方、それら単語の説明が物語の後半になるまで明かされない不親切な構造が、読者のモチベーションを著しく下げているように感じられます。


主人公自身がト書きで「意味がわからない」と幾度も評していることから、日常から非日常への移行を演出するため、単語の意義を理解させずに物語の推し進めようとする筆者の意図が見えており、「よくわからない」単語を「よくわからない」状況で「よくわからない」人物が語り出す時の疲労は筆舌に尽くし難く、様々な場面で苛立ちを覚えることとなりました。


無論。伏線を含め、物語における「謎」というものは読者を楽しませるために必要不可欠な素材の一つでありますが、伏線そのもの、謎そのものを物語の主軸に据え、理解を得ないまま話を進めてしまうことが、面白さに直結するとはどうしても思えませんね。


悪く言えば、難解な単語に溢れたゲームの説明書とでも申しましょうか。

ゲームを進めていくうちになんとなく理解していくありとあらゆる物事をプレイ前に一気に詰め込めこまれることは、若干の戸惑いと想像がつかないゆえの退屈さが生まれてしまうのは必然であるように思います。(説明書を読む前にまずゲームを始めてしまう人は多いはず



多くの造語を使うこと。それはいかにもライトノベルらしい風潮で、それ自体が決して批判されるものではありませんが、それならばせめてもう少しだ丁寧な説明があっても良かったのではないでしょうか。




登場するキャラクターにしても、上記に引きずられてか思わせぶりな発言をする人物が多く、また心情描写が主人公以外ほとんどないことから、結局何が言いたいのか、何がしたいのかが理解し難く、行動原理を予測できないこと=物語の理解を得るための障害となっているようにも見受けられます。



加えて、ヒロイン候補の「操緒」、「杏」、「奏」を中心に日常や生活観を見出す描写が少なく、人物像を想像する要素が不測していることから魅力が薄く感じられること。

物語の前提として示唆しているにも関わらず日常から非日常へ放り投げられたことへの違和感がないことを含め、総じてヒューマンドラマとしての厚みがないことも残念なポイントだと言えるでしょう。



また前回の記事で書かせていただいた「れでぃ×ばと!」の主人公ほどではありませんが、全世界の危機よりも、共感した美人の悪魔に肩入れしてしまう主人公の思考回路はやや向こう見ずな傾向があり、倫理的な側面で違和感を覚えることがあったのが事実であります。




後半になってようやく難解な単語の意味がわかりはじめたものの、一巻故の情報規制なのか、その構造や論理への言及がほとんど見られず。


主人公が参戦する最初で最後のバトルシーンも勝因が性能差という微妙なもので、それなりに戦い方を熟知した相手(かどうかは定かではありませんが)を小手先に捻ってしまう場面は爽快というより軽薄さが目立ったように思われました。


正直に言えば難解な要素に説明を加えず押し進め、その結実として用意されたシーンのわりには味気がありませんね。




いろいろと文句を重ねましたが。
一巻を終えて尚、大量の謎や伏線が残っていることから『アスラクライン』という物語の本懐にはまだまだ遠いのだろうという推量が出来ます。
なので本作が読みにくさを感じるとはいっても次巻以降への期待値まで損なわれているわけではないことは留意しておくべきでしょう。


世界観の説明としての一巻。そこからの発展としての二巻、三巻と間を空けずに続けて読んでいったほうが、本シリーズをより楽しめるのかもしれません




後半の奇襲、“機巧魔神”同士のバトルは動的な要素に満ちているのため、漫画やアニメなどの別メディアあらためて今作を見直してみると新しい発見がありそうですね。




興味をもった方は上述した点に留意し、ご購入いただければ幸いです。











読了お疲れさまでした。

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Author:esplia


【読書中小説】
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幕末魔法士
KAGUYA~月の兎の銀の箱舟~
文学少女と死にたがりの道化
中の下!
曲矢さんのエア彼氏


【プレイ中(&予定)ゲーム】
黄昏のシンセミア
elona
グリザイアの果実
はつゆきさくら【済】
穢翼のユースティア【済】


【鑑賞中音楽】
嘆きの音
Dead End
borderland
少年よ我にかえれ
ノルエル
灰色の水曜日


【オススメゲーム】
FLYABLE HEART
永遠のアセリア(なるかな含)
遥かに仰ぎ、麗しの
装甲悪鬼村正
Fate stay night(hollow含)
てのひらを、たいように
月光のカルネヴァーレ
君の名残は静かに揺れて
BALDRシリーズ(戯画)
ひぐらしのなく頃にシリーズ
うみねこのなく頃にシリーズ
東方シリーズ(SLG、文、WS含)
夜明け前より瑠璃色な
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リトルバスターズ!
CLANNAD
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週一更新005


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