espliaのちょっとだけ時代遅れ。

生むは雑感、生きるは過去、ちょっと遅れた感想中心ブログ。

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東方SS 『東方守命魂』 第二章 「喪失の同胞たち」前編(仮)


前回に続き、この度は第二章「前編」(仮)を掲載させていただきました。


前記事同様、「東方project」について全く知識の無い方、出来の悪い小説に嫌悪感を覚える方。及び、単純に長文を読みたくない方も、続きはクリックされない方がよろしいかと存じます。



加えて今作は、締め切りに間に合わなかったため急造した「(仮)」作品であるため、中途半端な区切りかたになってしまっているので、気になる方は、後日、補完の済んだ方を読んでいただければありがたいです。



そこまで注意を受けて、なお読もうとするツワモノの貴方は、↓をクリックして続きを出してください。



ちなみに以前の内容を忘れてしまったかたはこちら (私の筆の遅さが全ての原因でございますが)


『東方守命魂』プロローグ


東方SS 『東方守命魂』 第一章 「一滴の水」前編


東方SS 『東方守命魂』 第一章 「一滴の水」後編




からどうぞ。




※する人がいないことは十分わかっておりますが、無断での転載、及びコピー&ペーストはご自重ください。






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ヘヴィーオブジェクト、雑感






ぎゃあぎゃあ騒ぐのは構わないけど。
私は本国で待つ家族から預かっているガキどもの面倒くらいは、最後まで見たいと思っている人間なの。





電撃文庫さん刊行、鎌池和馬著『ヘヴィーオブジェクト』についての雑感を今回は綴っていきます。

Espliaのあらすじ

かつて戦争の代名詞であった戦闘機や戦車を越え、核兵器の高熱ですら耐え切る最新の兵器「オブジェクト」。50メートルの体躯と200門を越える数々の殺傷兵器を携えたそれは、最早人間の兵士など何の役にも立たないことを如実に証明する、新たなる戦争の代名詞であった。

オブジェクトの構造を勉強するべく、アラスカの氷雪地帯に派遣留学してきた工兵「クウェンサー」は、滑走路の雪かきを命じられるままにやっている最中、オブジェクトのパイロット、通称「エリート」と呼ばれる少女と出会う。


読み終わった感想は「非常によく練られた設定であるが、物語運びに違和感を覚える部分もあった」といったところでしょうか。



核兵器の衝撃すら耐え切り、ありとあらゆる規格外の殺傷兵器を有し、高速移動、戦闘までが可能という、まさしく化物というべき兵器「オブジェクト」を巡って、か弱い人間でしかない主人公達が、この兵器にどう立ち向かっていくのかを描き。いわゆる、「弱きが強きを挫く」という古めかしいコンセプトを地で行っているところが個人的には気に入りました


また、タイトルにもなっているオブジェクトについても、『ヴァンドレッド』のペークシスプラズマのように、ただ「新エネルギー」や「新技術」という名目の元、詳細を説明する必要のない曖昧な機構を用いておらず、現在我々の知りうる科学技術や兵器開発の延長線上にあるかのような理論的な説明が随所に入っている点は、さすが『とある魔術の禁書目録』の作者である、と感心するばかり。


50メートルもの巨体を制御する術や、高速移動を可能にするためのメンテナンスの重要性しかり、その巨体ゆえの弱点や消費エネルギーというものについての言及がなされ、究極兵器だからこそ存在する数多のリスクについての説明があることで、「この兵器とどう相対していけばいいのか」、読者も一丸となって思考に耽ることができる要素があることは我々読み手にとっても、作品に没頭する良い触媒になったようにも感じられました。



キャラクター同士のやり取りにおいては、戦時下ということで自然かどうかの真偽はさておき、ややエロネタ(H字ベルト事件、調整フルート事件etc・・・)に比重を置きながらも面白いものが多く、彼等の口から出る半分近くが戦況や技術への言及であるのに対比し、良い息抜きになっているようにも思いました。


軍隊に所属している故か、全面的に「アホ」だの「間抜け」だのと辛辣なセリフが多いことに関しては読み手に様々な印象を与えるでしょうが、罵りあいながらも根っこの部分ではお互い信頼している節が見られるので個人的には気になりませんでしたね。




ひとつだけ作品の不満点があるとすれば、以前どこかの雑感記事でも書かせて頂いたように、強大な力を持つAと矮小な力を持つBとが争った場合、「力が小さい方(B)が勝ってしまう法則」というものがありまして、これが今作においてやたら目立ってしまっていることが挙げられるでしょうか。


上記したように、今作において戦争の代名詞たるオブジェクトにも様々な弱点やリスクがあることは本編中でもいくつか明言されていますが、だからといって生身の人間が知恵を絞ったところで対等に戦えるような相手ではないことは明白で、その常識が覆がえっていないにも関わらず、人間、それも正規軍でもない若輩たちが次々と勝利を収めていくことには疑問が残ります。


たしかに、クウェンサーたちも突撃銃片手に真正面から撃ちあうような馬鹿な真似こそしていませんが、作戦を遂行する途中「たまたま」や「偶然」という言葉にかなりの部分助けられていることが現状であり、その積み重ねで勝ち取った勝利が、さも当人たちの実力のように描かれていることはどうにも不自然に映ります。

奇跡や偶然を完全に否定はいたしませんが、それでも限度といえば1度や2度が臨界点で、それ以上の要素を作中に盛り込んでしまったことは単純に「奇跡の安売り」というべき評価を与えるものでしかありません。


戦車相手でさえ、爆薬と銃器だけでは心許ないにも関わらず、それが国家戦力級の巨大兵器に変わっても勝利を収めてしまえる原因は、作者の意図によって生かされている、もしくは「主人公ゆえの不死性」ということになるのでしょうか、さすがに見ている側としては辟易せざるを得ないというのが現状ではないでしょうか。


一冊の本にやりたい事を詰め込む姿勢は素晴らしいと思いますが、奇跡や偶然は十全な準備のもと、最後の最後に挿入することで輝くものであってほしいものですね。



ちなみに個人的な要望をひとつ述べさせてもらうと、作中に登場するオブジェクト毎にそれぞれスペックシートとシルエットが挿絵になるのですが、シルエットではなくちゃんとした絵として見たかった、というところですかね。




有名な筆者であり、次巻が出ることが当り前の環境にありながらここまで一冊の本に情熱を注ぎ込んでいる点は大変素晴らしいと思いますし、いくつか不満点があるとはいえ、全体的に大変面白く読めた作品であることは疑い様もありません。オススメの一冊です。




気になった方は、是非一度読んでみてください。








読了お疲れ様でした。



※SSが書き終わるまで、更新が思うように捗(はかど)らないと思いますが平にご容赦を、進捗状況については、横の「twitter」欄を見ていただければわかるようにいたしますのでよろしくお願いいたします。

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エビコレ+アマガミ、簡易感想






最近になってようやく、メインヒロイン6人(+α)の「スキBESTエンド」を見終えることができましたので、各ルートについての感想と、システムそのものについて思ったことなどを軽く書いていこうと思います。



致命的な記述(ネタバレ)は極力避けておりますが、どう頑張ってもストーリーの全容を隠すことは不可能なため、ネタバレ成分をやや含みますので、お嫌な方は引き返していただきますようお願いします。









以下、微ネタバレ含んだ、各ヒロイン別「スキBESTエンド」感想。
(やや文量に差があるのは、好き嫌いでは断じてありませんのでご了承ください)




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■  絢辻 詞


各ヒロインが、物語ではなく主人公との恋愛を楽しむ目的に比重を置いたストーリーだとすれば、この絢辻さんストーリーは「物語そのものを楽しむ要素に満ちていると思われます。

ほのかに香る陰謀の臭い。お互いの心持の変化と戸惑い。息の合った掛け合いなどが満ちた話の運び方は、実にメリハリが利いていて、良くも悪くも実に個性的だと言えるでしょう。

性癖というよりは、二面性を持つヒロインというものにどういった感慨を抱くかで、全体の印象が変わるのかもしれません。

個人的には一番好きなヒロインとなりました。


※ 会話フェイズにてヒント数“0”という唯一のキャラクターですから、初めてのプレイで攻略しようとすると多くのイベントを見逃すことになりそうです。故、システムに慣れた中盤以降でのクリアをオススメします。



キーワード: 絢辻さんは裏表のない素敵な人です!




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■  桜井 梨穂子


ほんわかとした彼女の人柄に癒されたい人向けの物語。特段の修羅場も(作らなければ)なく、全体的に平坦。それを良しと見るか悪しと見るかは人それぞれというところでしょうか。

幼馴染という関係上、積みあがった年月によって言動に相応の深みがあり、お互いを理解し合っている、その睦まじさという一点において秀でていると言えるでしょう。


※ 会話のヒントを多さから、最初の攻略ルートとして選択するとアマガミの雰囲気とシステム回りを把握するのに最適だと思われます。
ただ会話のコンプリートに関しては、日常での選択肢が多いので留意してください。



キーワード: 梨穂子はかわいいなあ!
        梨穂子はかわいいなあ!!
        梨穂子はかわいいなあ!!!




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■  棚町 薫


主人公の元悪友。友達から恋人への変化、それに伴う戸惑いや不安感、違和感といった不の側面をこれでもかと味わわせてくれるストーリー。良くも悪くも一筋縄ではいかない恋愛の「もやもや」を体感させてもらえます。

全体的に少女らしい(行ってみれば薫らしくない)女々しいやり取りや、苛立ちから暴言を吐かれたり、忍耐を要求される場面が多いのがネックといえばネックです。もちろんそれを含めて愛らしさと許容できる貴方には、そのいじらしさを含めて物語を楽しめるはずです。


※ 会話のヒント数は並。故、何番目に攻略してもそれほど構いませんが、友人としての視点を刻み込むために誰か一人はクリアした後でやると、いっそう関係の変化というものを感じることができるかもしれません。



キーワード:  嫌って言ったら? → 無理矢理する。 
         いいよって言ったら? → 全力でする。 




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■  中多 紗江


語調の強弱はあれ、基本的には自分の思っていることは忌憚なく言ってしまうヒロインがほとんどである中、終始何か言いたげにモジモジしている年下の娘ッ子

健気で尽くすタイプなのは確定的だが、全体的に受動的なので、物語の中では唯一とも言うべき主人公が先陣を切って引っ張ってあげなければならないキャラクターです。それを面倒と捉えるか、手が掛かるほどに愛らしいと思うかで、やはり印象が全く変わってしまいそうです。


その舌足らずの声や、全ヒロイン中最強の肉体(乳)の持ち主ということも含めて、好き嫌いが分かれるのはもはや宿命というほかないでしょう。


※ ヒント数が並より多め、薫の攻略よりかは難易度が低めです。しかし上記したようにやや人を選ぶストーリーですので、気の弱い女の子が大好物、という人以外はモチベーションを維持するために誰か一人を攻略してからのほうが、耐性ができると思われます。



キーワード: 何て事だ、まさかあそこまで・・・・・・!




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■  七咲 逢


序盤は人を小馬鹿にした態度や言動が見られますが、後半になるにつれて真面目な可愛らしい後輩へと変化していくので、「最初の頃はあんなに辛辣だったのに」と、そのギャップを身を以って体感すると良いかと思われます。

中盤まではどちらかといえば、主人公への敬意に起因する硬い言動を続くので恋人らしい甘い時間が後半までお預けとなり、我慢すればしただけ興奮できる人(言い方が悪すぎる)には素晴らしい結末になるでしょう。個人的には敬意から思慕へと変化したきっかけがやや唐突に思えましたが、微細といえば微細なので気にする必要はないと思います。


※ ヒント数が少なく、絢辻さん同様、攻略の難易度は高いと思われます。とはいえ、絢辻さんほどシビアな会話フェイズではないので、彼女の見目を気に入ってしまった人ならば真っ先に攻略してもいいかもしれません。一応、ほとんど人が彼女のイベントを追いかけてバッドエンドを迎えると思いますが、朝に戻って行動を変えれば解決しますので問題ありません。



キーワード: それとも一緒に着替えます?




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■  森島 はるか


主人公が憧れを抱く、唯一の年上ヒロイン。髪にウェーブを掛け、服のセンスを含め、気軽には近寄り難いオーラを噴出しており、今作における最難関ヒロイン・・・・・・!と思いきや梨穂子並に会話フェイズが優しかったりします。

性格も、年上風を吹かせて扱き使うというよりは彼女の天然っぷりに知らず知らず主人公を巻き込んでいくだけで、意図的な悪意が一切ないのが魅力ですね。

ただしその天然の煮詰まり加減はそれなりのレベルに留まっており、突飛な行動や言動に寛容な心を持って望むと尚良いと思われます

彼女の「淑女」的言動録は一見の価値があります。


※ 上記したように、会話ヒントが多めなので攻略難易度は低めです。主人公憧れの人というだけあって、最初に攻略するよりかは、高嶺の花と幻視して最後に回すのも面白いのではないでしょうか。



キーワード: わお!オーキードーキー!




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■ ???、他サブヒロイン


この3名については、上記6人をプレイしていればだいたい誰かわかりますので、割愛させていただきます。ただひとつだけ注意させていただくと、約一名がアマガミというゲームにおいて唯一とも言うべき「外れた」物語を提供してくれますので、その奇異を楽しむ気概を忘れない方が精神的にも楽になります。

攻略法についても、存在そのものがネタバレとなりますので、ご自身でwikiなどで確認を行っていただけるとありがたい次第です。




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ついで、ゲームプレイ中、システム上気になった点について、いくつか箇条書きで体裁で挙げていきますと、



1、会話フェイズにおいて、ヒントが無い限り初見では完全に運任せの総当りを要求されるため、ゲームをプレイし始めた頃が一番やりくりに苦労することになり、面倒臭い。もう少し会話の方向性を日常から見出すような手順を取って欲しかった。


2、一日の終わりにイチイチ「就寝用の音楽」が流れて暗転、という動作が繰り返されるため、会話スキップを駆使しても、一周を回すのに妙な間を持たされてレスポンスが悪い


3、上記同様、セーブ&ロードが2~3秒掛かり、イベント数の多さがウリのゲームとしてはやはりレスポンスが悪い。(しかし気になるほどではない)


4、「2」「3」同様、会話フェイズで全ての正解話題を埋めた後でも、スキップで演出が飛ばされることなく、1ターンで約8秒。5ターンで40秒近く掛かるので、周回プレイの妨げになる。



以上4つが挙げられました

特に今作は一人のヒロインに対して、ナカヨシエンド、スキエンド、そこからBAD、GOOD、BESTと枝分かれするほか、涙イベントの回収×7まで考えると、相当の日数(回数)を必然的に繰り返すことになり、上記の様々な演出によりレスポンスの悪さが、徐々に響いてくるのが辛いところです。

中でも「4」はターン5でアクションを選ぶ性質上、スキップ一辺倒ともいかないのがネックとなり、プレイヤーの精神をガリガリと削ることになります。せめてスキップを押している間くらいは、演出までスキップしてくれればありがたかったですね。






◆ぬくぬくまーじゃんについて


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エビコレ版で封入された、「ぬくぬくまーじゃん」について、あまりやり込んでいないので詳細には書くことはできませんが、「咲―saki―ポータブル」ほど理不尽な対局ではないものの、序盤(初回プレイの東一局)から倍満をツモ上がりされたり、極端にベタ降りするAIなのか半荘終えてもほとんど放銃がなかったり、私のような初心者には辛い仕様のように感じました


また一位でなければ、シーンをクリアした扱いにはならないにも関わらず、最後の最後でプレイヤー以外のキャラクターが2位に振り込んで(しかも一発)しまったりするので、運が悪いと何度もプレイするハメすることに・・・・・・。


もちろん、ネット麻雀や麻雀ゲームならば当然というべき難易度設定なのでしょうが、ただメインストーリーを進めたいだけの私からすれば少々敷居が高かったよう感じられましたね。



追記


アマガミ編のみ、全てのステージをクリアしてエピローグを見ましたが、アマガミで全員分のエンディングを見ていると、やはり感慨深いものが湧いてきますね。導入の件にはやや暗雲としたものを感じましたが、なるほどと思う落としどころでした。


上で麻雀初心者は難しいのでは、ということを書きましたが、実は「設定」にプレイヤーの変わりに打ってくれる自動モードというものが存在するので自動モードをONにしてしまえば難易度は皆無なのかもしれません。(自動モードについての検証は、全て手動でやってしまったのでありません)


問題点は全員をクリアした後でないとわからないセリフやキャラクターがいるので、せめてメインキャラクター6人はスキBESTでクリアした後に、この「ぬくぬくまーじゃん」をやるといいかもしれません。


ちなみに私は、9ステージクリアまでに「10戦9勝1敗」、計10戦でエピローグを出せましたので、思ったほど難易度は高くないようです。(もちろん戦績は手動のものです)




【総評】



全体的に高次元にまとまった、恋愛シュミレーションゲームと評して問題ないと思います。
テンプレートにもあるよう絵柄さえ気に入ったのならば即購入しても損はないと言っても過言ではありません。

PCゲームや同人ゲームなどと比べるとシナリオの尖りと個性に欠けますが、その分まったりとした恋愛を楽しめますので、気になった方は是非とも購入してみてください。

決して安いとは言えない値段に見合った、実質的なボリュームがあるのも個人的には良ポイントですね。






簡易、と言いつつも長いのは仕様です。・・・・・・大変申し訳ありません。

長文読了お疲れ様でした。



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*

空ろの箱と零のマリア、雑感






どんなに考えても、僕にはこの言葉しか言えない。

“明日まで待って”。





電撃文庫さん刊行、御影瑛路著『空ろの箱と零のマリア』についての雑感を今回は綴っていきます。

Espliaのあらすじ

「私はお前を屈服させる。」
敵意を向け凄む転校生「音無彩矢(おとなしあや)」は、今日始めて出会った「はず」の少年「星野一輝(ほしのかずき)」にそう高らかに宣言した。

そしてそれは、ありとあらゆる願いを叶える「箱」から生まれた、終わらない3月2日を繰り返す『拒絶する教室』への宣戦布告を意味していた。


読み終わった感想は「読者を驚かせようと次々罠を仕掛けていくことに夢中になりすぎて、本質を見失っているように思えた」といったところでしょうか。



まず作品を俯瞰して見た場合、今回の物語の「首謀者」にしても「犯人」にしても、『拒絶する教室』を用いた一連の出来事の果てにある「目的」が、言ってみれば常人の理解を大幅に逸脱するもので、その結末に辿りつく経過の如何を問わず、十全の納得を得られないものであることに不満があります。
取り分け「首謀者」に関しては、その傾向が顕著に出ていますね。


一例を挙げるならば、殺人の動機として「恋敵が憎いから」という誰でも理解可能な明確な想像しやすいものとは違い、犯人独特の信奉やら宗教から派生した理屈を用意されたとしても、読者としてみれば共感や同情から、やや一線を引いた視線で眺めるほかありません。単純に言えば、感動ができないわけです。


一般人に理解が及ばないような、はたまたライトノベルを平時嗜む読者にさえ簡単に看破されないような動機付けとして“斬新さ”を意識しているのかは憶測でしかありませんが、そういったビジュアルに固執するあまり、「犯人」である彼女の心理をひた隠し。結果、唐突に突きつけられた突拍子も無い結末に疑問符が浮かんでしまうような仕様では、読む側、書く側双方において不幸な話ではないでしょうか。


「お前を壊す」という、それ単体ではほとんど意味のないセリフを用いて、文庫に「帯」に載せていることなどもそれに類し。どうにも見目や体裁に囚われている印象を拭えません



また経過においても、“彼女”という単語を用いて、描かれた場面に登場する誰かを、現存する複数人の女性の何れかを特定させず、曖昧にする叙述トリック。ミスリードを誘発させる目的のためだけに行われる突拍子も無いキャラクター達の行動の数々が目に余る一方で、キャラクターに対する掘り下げが少なく、また日常や趣向を伺えるような和やかな場面も少なく。終始小賢しさだけが匂う文体になっているのも問題点として挙げるべきでしょう。


何度も言うよう、あからさまな犯人像を植え付ける描写の果て「実はその人ではありませんでした」という結果しか用意できないのであれば、それは既に斬新ですらないのです。


無論、斬新でないからそういった表現はやめろ、などと言うわけは断じてなく。
物語に必要な感動を呼ぶ、キャラクター達のバックボーン、戻るべき日常を懐かしむ描写や、掛け合いを廃してまで無理やり比率を上げることの必要性の無さを主張しているに過ぎません。




次いで、登場するキャラクター達に言及するならば。
作品を読む中で、音無彩矢がどういった人間であるのか、その存在理由、目的が終盤に至るまで全く理解できないことを筆頭にし。

日常に異常なまでに執着するという主人公という位置付けであるはずの星野一輝について、その日常生活、家族構成、過去が全く語られず、あるのは友人と異世界についての話を幾つかする程度という作中の内訳には、どういったメリットがあるのか甚だ疑問がつきません


上記の結末への過程しかり。

確かに書き手側からすれば、読者には自分の文章で驚いて欲しいですし、書き手自身もそういった騙されること、驚かされることの「悦び(よろこび)」を知っているわけですから、それを用いたくなる気持ちはわからないでもありません。

しかしだからと言って多用してしまえば、一つ一つの重みが無くなってしまうのは明々白々であるわけですから、そこを自重していったならばもう少し違った展開が見られたのかもしれませんね。




綴られる文章そのものは読みやすいですし、上に説明したよう、キャラクターに感情移入がしにくかった分、中盤から後半に掛けての種明かしを経て、再び最冒頭から読み込めば新鮮な気持ちを味わえることは十分に本書の魅力といえるものですから、一概につまらないばかりの小説でないことは明言しておきます。



時間がループする原因や、繰り返しから見えてくる共通事項から空間を支配している法則ついて思考を傾けるのも個人的には嫌いではありません。



「首謀者」はさておき、一応という前置きはついても、「犯人」たる彼女の願いは理解できるものですし、何万回という繰り返しの中、育まれていく狂気というものには「想像を絶する」という共感性があることも否定できませんので、中盤、「犯人」の動機、行動理由が明確になっていく場面。そして上に引用したセリフの部分には、読み物としての面白さがあったとも言えるでしょう。




最後に。
極めて「個々人としての不満点」を挙げるとすれば、今作の結末が一応のハッピーエンドであるという一点において、今まで彼女が数万回の繰り返しの中で育んでいた狂気や情愛が、全て勘違いだった、という意味合いに落とし込まれていることには、少々飲み込み辛さを覚えますね。


ハッピーエンドといえば聞こえは良いのですが、それが今まで積み重ねてきたものを全て投げ打って、という形になった場合、彼女に共感していた我々はそれを素直に喜んでよいものかどうか、悩ましい部分だと言えます。


一応、夢という方で数万回の繰り返しで手に入れた経験や教訓、思いの継承はされるのでしょうが、それでは都合が良すぎるような気がしてしまうのが実情です。




何にせよ。次巻以降、メインヒロインではないことがはっきりした彼女が、今後どういった展開で主人公たちと絡んでくるのかを待ちわびるのも悪くないかもしれませんね。





この記事を読んで興味を持たれた方がいましたら是非一度読んでみてください。







読了お疲れ様でした。




ちなみに私が好きな「うまい棒」の味もコーンポタージュです。



※今回は大幅に更新が遅れて申し訳ありませんでした。
次回は小説の雑感ではなく、エビコレ+アマガミの感想を書く予定ですので、よろしくお願いいたします。
*

神曲奏界ポリフォニカ「ロマンティック・クリムゾン」、雑感







私達は聴いて欲しいんだよ。
相手に伝えたいんだよ。
一緒に何かを感じたいんだよ。
だから。
たかが五線譜の上の“オタマジャクシ”に必死になってんだよ。






GA文庫さん刊行、榊一郎著『神曲奏界ポリフォニカ「ロマンティック・クリムゾン」』についての雑感を今回は綴っていきます。


Espliaのあらすじ

バスの中から、公園を歩いていた少女「シェルウートゥ」を見かけ、一目惚れしてしまった少年「カティオム」は、話をした後どこかへ消えてしまう彼女のことを探るべく、「フォロン」「コーティカルテ」らの所属する事務所に彼女の捜索の依頼しにやってくるのだが・・・・・・。


読了後の感想は、「動機付けは弱いが、それなりに纏まった作品だった」といったところでしょうか。



まず全体的な印象として、公園における器物損壊事件という簡便ながらも後々に響く伏線が用意してあり、キャラクターたちがひとつの目的に向かって行動をしていくことにより読者にも行動理由がわかりやすいこと、「静」「動」両面のメリハリを利かせた場面描写があることなどから、一個の作品としてはそれなりにすっきりと纏まった物語運びであることが伺えます



前回では、第一巻が故に、世界観やキャラクターたちへの説明不足に共感性を削がれておりましたが、今回は第二巻ということで、前巻の物語を踏襲しつつ物語を追うことができたため、既存のキャラクターの方向性を見失わずにいられたことが、やはり今作の評価に大きく影響を与えたのだと思われます。



しかし全体的な印象はすっきりとしているものの、場面場面においての不満が無いわけでもなく、例えばト書きの部分にて「レンバルト」の仕事ぶりを


言うまでもないことだが・・・・・・報告書に記載される文面と口頭で行う報告の内容とが全く同じという事は有り得ない。(紹介書籍P64、14項抜粋)


という14行分(27項)までの間、どう考えても物語の進行に関係ない説明を延々と挟まれた文面のような、言ってみれば蛇足としか言えない文章が作中のそこかしこに見られ、その度に軽い疲弊感を覚えることが多かったことなどが挙げられます。



無論、それが恋愛や仲間内での和気藹々として雰囲気というものをギャグテイストで語る「良い意味での蛇足な文章」ならば苦言を呈することもなかったのですが、上記のようにそもそも何のために用意されているのかが理解出来ない機械的な文章に限って言えば、いっそ削った方が物語のテンポ上良かったのではないでしょうか。




またその一方で、上に綴ったような無駄な文面が多い反面、今作のメインであるシェルウートゥとカティオムの恋路という「動機」における、状況ないし場面説明が不足気味であることが気になりました。

というのも、物語に一通り目を通した後でも、結局の所カティオムの行動原理の全てはシェルウートゥへの「一目惚れ」という短絡的なものに終始しており、平たく言えば行動理由としてはやや希薄なレベルを超えられていないように見えてしまったわけですね。



終盤へと物語が進んでいくにつれ、二人の間にはさも深い愛情があったような前提が組み上げられておりますが、カティオム本人が「彼女のことをよく知らない」と明言しているように、二人のつながりは悪意を持って解釈すれば「容姿に惚れた」だけであるとも言えますし、その行動も恋慕、思慕と言い換えれば実に綺麗なものですが、結局のところナンパの形式でしかないことも事実であります。


一目惚れから一生涯の伴侶を見つけることは現実でもままあることで、逢瀬を重ねた期間やお互いの情報量が=愛情というほど単純なものでないことは私にも理解できますが、こと文面においては説明してし足りないということはありませんので、もう少し二人の関係や行動、心持の変化などにスポットを当てた方が、後半の展開に無理なく持っていけたのではないでしょうか


一応、一目惚れから後半の展開へと繋がる理由として、コーティカルテ達の関係との対比がしてありましたが、彼等の出会いのきっかけが音楽であったのに対し、シェルウートゥ達はやはり一目惚れ、大味に「容姿」が主な動機となっている(ように感じられる)ため、的外れな印象が拭えません



恋愛感情が常識を払拭する。
素晴らしい観念ではありますが、ここまでお互いを知らない両名を引き合いに出されても、感動というラインにまで飛び上がるには力不足であるよう、どうしても思ってしまいますね。





さらにひとつ、個人的な懸念を述べさせてもらいますと。


本編中に、神曲というものが精霊にとっての「麻薬」に当るとして、その依存性と中毒性の高さの説明としている場面があります。
これは当然、ファンタジックな世界観を説明するために、我々読者の身近なものに対象を置き換える表現方法でありますが、現実的な話


麻薬ね! わかるわかる! あれすごいよね!


なんていう人は(ほとんど)いないでしょうから、非現実を非現実で説明しているに過ぎず、頭ではわかっていても実感として感じられないという観点においては同格で、多少なり違和感がありました。


「中毒性が高い」という知識だけを持っているのは麻薬であっても神曲であっても変わらないわけですし、せめて「たばこ」だとか「爪の噛み癖」だとか、もう少し万人向けの説明を入れたほうがわかりやすかったように思います。(どっちも微妙・・・・・・)



まぁ、どちらも中毒性としては下の下ですし、たばこは置いておいても「爪の噛み癖=神曲」というのはそれはそれですんごい嫌なんですけれどね



説明不足という意味では前巻同様、楽器から奏でられる音についての描写が相変わらず実感を得られないものばかりですが、この一点に関しては筆者のインスピレーションの顕現ということで大目に見るべき事象と思い、言及は控えさせていただきます。





いろいろと書きましたが、前巻の疎外感から一転、堅実な場面描写ですっきり纏まっており、動機付けの弱さこそ目立ちましたが、読みやすい作品でした。



気になった方は、ポリフォニカシリーズについて一度ご自身で調べた後、読んでいただければ幸いです。







読了お疲れ様でした。




※延期といっておきながら、順番どおりに読み進めないと心持ちが悪かったので、あえてこの順番となりました。相変わらず言ってることとやってることが噛みあわないのは最早性格でしょうかね。

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