espliaのちょっとだけ時代遅れ。

生むは雑感、生きるは過去、ちょっと遅れた感想中心ブログ。

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電波的な彼女、雑感

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おまえがどんなにクソガキだろうと、おまえはわたしの遺伝子を受け継ぐ唯一の息子で、代わりの存在はいない、ただ一人の柔沢ジュウだ。そのことを忘れるな。わたしは忘れない。(紅香)

 というわけで、今回は、スーパーダッシュ文庫さん敢行、片山憲太郎著の『電波的な彼女』(記載はされていませんが第一巻)の雑感を書いていきます。ちなみに今回以降は文庫本感想が中心になっていきますのであしからず。

 ※以前約束していた、PCゲーム「君の名残は静かに揺れて」の雑感や、「FLYABLEHEART」個別ルート感想はハードディスクの「消失」にともない、延期させていただくことになりました。真に申し訳ございません。


 さて、
 私とこの『電波的な彼女』の著者である、片山憲太郎氏との出会いは、テレビアニメにもなった同社敢行の『紅』という作品からでした
 

 (『紅』は、主にのんびりとした日常の中を描きながら、『揉め事処理屋』という非日常の担い手をそこに投入することで、昨今の凶悪する犯罪に対する著者人の末世感というもの織り交ぜた退廃的な雰囲気が非常に魅力的な作品で、時期としてはこの『電波的な彼女』シリーズ以降に書かれた作品となります。)


 その文体は一見して改行が少なく、心理描写と地の文が一体化した特長的なものですが、そこに描かれる会話にしてもギャグにしてもセンスが抜群で、一読すれば他のラブコメディーで味わえるような歯ごたえの良い甘美な学園生活に羨望の感情を抱く一方で、行われる残忍な殺人や殺伐とした日常に怒り、それを駆逐していこうとする、気弱ながらも芯の強い主人公の気概に心を震わせられるなど、まさに文章で体言することのできる読み物としての本懐を全うしているようにさえ思いました

 描写が一部残酷すぎることと、妙に作品全体から漂う児童虐待や性的暴力への執着めいた表現が多いため、少なからず大衆に好かれる作風ではないでしょうが、むしろそういった「負」の側面をきっちりと描き、読者に対して常に疑問を投げかけてくるような構成には個人的に好感が持てました。

 ただ女の子と仲良く、色恋沙汰にドタバタと学園生活を送るだけ、というコンセプトの作品も決して嫌いではありませんが、この『紅』のように犯罪や社会情勢を絡めた現実的な部分を本編に混ぜ込み、決して奇麗事では済まない現実を前面に出した上で、「私はこう考えているんだ」という筆者自身の強い主張が多く語られていることは、まさに意欲作というべきパワーを感じられます。
 文庫本(約300ページ基準)一冊につき読破に4時間は掛かる私ですが、この『紅』にはその倍の時間と倍の考える楽しみを与えてもらいました。


 少々話が他所に行き過ぎましたので『電波的な彼女』の方の具体的な感想に移ります。



 今作は、『紅』にも登場する「柔沢紅香(じゅうざわべにか)」の息子、不良もどきの高校生「柔沢ジュウ」が主人公の作品です。


 Espliaの簡単なあらすじ


 何の前触れも無く「前世からの絆」として主従(奴隷)関係を迫ってくる「堕花雨(おちばなあめ)」という少女が現れ、ストーカーのような行動をとり始めた一方、主人公ジュウは町で起こる「連続通り魔殺人」に身近な人間を殺されたことで、その犯人の正体を探っていくことになる。
 どこか「電波的」な雨の発言や行動に、ジュウは徐々に彼女こそが犯人ではないかと疑い始めるが・・・?




 地の文に心理描写を巧みに絡めたり、雨やクラスメイトの香奈子(かなこ)、美夜(みや)との会話のセンスやギャグ、自称不良ながらもあまりに良い性格の主人公の「格好よさ」が読み手を物語に釘付けにしている点はさすがでしょうか。
 卓抜した電波的言動がなかなか濃い目のヒロイン「雨」の凄まじい飛びっぷりに、前半こそ辟易させられるものの、後半からはとっつきにくさが取れ、元来の可愛らしさと頼もしさがグッと引き出される構成も見所の一つといえるでしょう。

 全体的には『紅』同様、学園でのドタバタ劇を中核としつつ退廃的な世界観を匂わせる作風は今作も顕在で、先述した性的暴行への表現的な執着を筆頭に、両親が変わり者のせいで幼少期に辛い思いをしたジュウの過去話など、読み手を憂鬱にさせる構成になっている点は注意が必要でしょう

 言い返ればその部分が、あえて後半の展開を引き立たせるための演出だ、と納得できる人ならば、この『電波的な彼女』は「買い」の作品だと言えるでしょう。

 又、「社会の闇」とは、「悪」とは、「人が生きるということはどういうことなのか」など、どこか答えの出ない哲学的なことに思いを馳せてしまう人などには特にオススメできると思います。(私自身そういう考えてどうにもならないことを考えることが大好きなので)


 ただ不満点もやはりあります。

 それは、本作の肝である通り魔殺人の犯人。これがあまりに解かりやす過ぎること。そしてその犯行に至るまでの動機があまりに痛ましすぎることがなどが挙げられます。


 勿論小説として販売されたものですから、読み手が心動かされるようななんらかの「インパクト」が結末に必要なのはわかりますよが、これほどまでとなると、最早ライトノベルで出して良い次元を超えているように思えてなりませんでした。

 何度も強調するようではありますが、著者である片山憲太郎氏はどうにも性的な犯罪性というものに重きを置いている風潮がありますので、当然といえば当然の主張ではあるのでしょう。

 ただ、単純に演出の駒として消費された「とある被害者」の一人にしても、犯人にしても、これではあまりにも報われなさ過ぎるように思いました


 良い意味でも悪い意味でも、その胸を掻き毟られるような痛ましさに、思わず絶句せずにはいられませんでした。


 【総評】


 ミステリーとしてではなく単純な読み物として読むならば最高峰の文章センスに、山本ヤマト氏の原画が映える主人公ジュウを筆頭とした魅力的なキャラクターは一読の価値ありです。

 ただ、上にも書いたように綴られる犯罪や犯行方法の残虐さ、一部キャラクターのあまりにも悲惨な扱い、幼少期の主人公の不憫さなど、作風全体に漂う負の側面がかなり強い個性として我を主張していて、ある程度「後味の悪い小説」を読んでいる人でないと心理面の負荷が洒落になりませんので、そこは留意してください。

 残酷な描写がある程度の容認でき、結末が完全なハッピーエンドでなくても作品自体が読み物としての楽しさに溢れているならば問題無い。そんな人ならば、この『電波的な彼女』は間違いなくオススメの一冊と言えるでしょう

 既に敢行から6年、古本屋にもよりますが比較的安価(私は100円でした)で入手できる作品ですので、この記事で気になった方は是非、第一巻(シリーズは三巻まで出ています)だけでも騙されたと思って購入していただければ幸いです。
 ちなみに小説に慣れ親しんだことのない人であっても、残酷な描写にさえ慣れていれば、その読み易さ故に「小説デビュー」の先駆として購読してみるのも良いかと思われます


 追記

 マンガ版「紅」の特典として、『電波的な彼女』は既にDVDでのみアニメ化しているそうですね。全く知らなかった・・・。

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難易度とエンターテイメントは両立するのか





 小難しそうなタイトルですが、ようは「難しい=面白い」は万人向けなのかってことについて今回書いていきたいと思います。考察には浅すぎるし、感想にしてはやや読みづらいのであくまで日記という形ですが。


 さて私、PCが壊れてからというもの、空いた時間の暇つぶしに借りたポケモンやったり、箱○に手を出したり、最近の娯楽が一般向けになってまいりました

 そんな中、フロム・ソフトウェアさんの渾身作「アーマードコア4」(箱○版、以下AC4)をプレイしていて(時間的には昨日)思ったのは、最近のコンシューマーゲームは難しいなぁ、と。


 いえいえ。ACシリーズが簡単なものだ、っていう認識があるわけじゃないんですよ。
 PS時代から、ACシリーズといえば、元より難解なストーリーと複雑な操作、自由すぎて迷いがちな機体構成のシステムを併せ持つ、所謂「一見さんお断り」のレッテルが有名でしたからね。
 
 しかし、この「AC4」は次世代機初参入ということで、幅広い年齢の人にプレイできるように難解な部分を極力なくした「初心者でもとっつきやすいゲーム」として開発したと公言された作品だったため、図らずもゲーム音痴な私が購入に踏み込んだわけだったのですが・・・、


 難しいというよりは不親切、というのが感想としての結論ですかね。


 それは例えば、機体の構成。
 ACのウリといえば、自分で好きなパーツを選んで自分オリジナルの機体を作り上げられることが挙げられます。AC4では過去最小と言われていますが、それでも構成パーツは総計で200近くあり、機体にくっつけたときのパラメーターにもそれだけ差が生まれます。(例えば、「防御力は高いけど、足が遅い」など)

 問題は、そのパラメーターが単純な「防御力」「速さ」ではなく、「水平推進力」や「旋回速度」だったり「PA(プライアルアーマー)の安定度」だったり、訳のわからない単語がごっそり出てくるわけです。
 推進力だの、PAだのコジマ粒子だの、CEROAという全年齢向けのゲームでベラベラ捲くし立てられて誰も理解できませんって。
 何より、なんとか理解しようと説明書捲っても詳しい説明は一切無く、ゲーム内でのチュートリアルさえないのは、難しい云々以前の問題。

 どうにかして、脳内補完をするにも、それなりにパーツをくっつけてプレイヤー自身が暗中模索する必要があるわけですね。

 しかし、ここでも問題は発生します。
 それは、難解な操作に加え、

 一般難易度であるはずのノーマルミッションが、初心者を寄せ付けないレベル

 だということです。


 パーツの性能・・・? んー、わかんねぇ! よし、とりあえず初期状態で試してみよう!

 なんて感覚でプレイしていると、恐らくランク2,3レベルから「全く進めなくなる」人が続出でしょう。
 特に潜水艦の破壊ミッションで登場する敵の攻撃は、数回の被弾で八割のHPを削られる上、数が四体もいるという悪魔の構造。


 どの武器が良いのか、そもそも初期の機体でどれを選べばいいのかさえわからない初心者の人は、説明書に頼ることもできず、詳しい説明も受けられない状態で何度も撃沈させられつづけることに・・・。
 これはあまりにむごい。
 本作のウリの「ハイスピードバトル」も考える暇を与えて貰えてもらえないためストレスの原因になりかねません。そのくせ、やり直すたびに5秒程度のロードが入りますのも心労がたまりますし。



 ワタシとしては、複雑なシステムだろうが難解なストーリーだろうが構いません。むしろばっちこいな派です。
 ただ、理解する足掛りを与えないのは、そりゃ完全なお門違いでしょうよ、と。


 新規参入者を増やす(初心者上等)と謳って発売するなら、良くて、本編でのチュートリアルの充実を。悪くても説明書ぐらいはきっちり作り上げてください。メニューや機体構成の画面も無意味に英語表記にしないでください。
「acsis」だの「assemble」だの「fcs」だの「tune」だの、・・・日本語じゃ駄目なんですか?

「weapon」などの見慣れたものや固有名詞はしようが無いとしても、もうちょっとプレイヤーに優しくしてあげてください。デザインや見た目よりも、重要視されるべき場所があるでしょうに。辞書片手にゲームしろとは笑わせてくれますね。


 閑話ならぬ雑言休題


 ここまで基本的に罵倒してますが、AC4のこういった不親切な構成をあえて美点として讃美している人が結構な数います。
 彼らの言い分を私が見た限りまとめると、

 ○ 難しいからこそ、やりがいがある。
 ○ 昔からこういったスタイルがウリだった。
 ○ 難しいというより、プレイヤーが楽しもうとしていないのが悪い。
 ○ 映像美やカスタイマイズ性など、見るべき場所がいろいろある。

 などといったように、基本的には「難しいからこそ楽しいでしょ?」という意見の人がかなり多く見受けられたように思いました。過激な意見では、

 「最近のプレイヤーは努力を要求するとすぐ投げ出す」

 や

 「敷居が高い難易度が高いと言っている人がいますが 俺やアーマードファンやフロムから考えれば はっ?だから?って感じ なんで会社側がユーザーに腕を合わせるのか?おかしいだろ」
 
 なんて意見も出て来てます。(ほとんどがamazonさんのソフトレビューですので、気になったら一度見に行ってください。)

 後者の人は、48人中42人が「参考にならない」と評していますが、これはある意味ACというシステムを楽しいと感じている人の典型例として評価されるべでしょう。

 難しいからこそ乗り越えたときに楽しい、って感性は非常によくわかります。
 かくいう私もテイルズシリーズをプレイするときは初期状態で選べる最高難易度を選びますし、縛りプレイなんかも大好きですから。

 しかしそれはあくまで、一般向けの難易度のものを、あえて難しくしているだけのこと。AC4でその理屈がまかり通るか、といえばまかりとおりません。
 難易度ノーマルはやはり「普通」でなければおかしいですし、百歩譲って難しいのは許容するにしても、説明不足に関しては擁護できないでしょう。


 新規参入者を獲得したい、という名目で出している以上、前からACとはこうだった、というような意見も甚だ場違いで、ネットで調べれば一発でわかる、というのもどこか的外れではないでしょうか。

 「会社側がユーザーに腕を合わせるのか?おかしいだろ」という意見そのものが実におかしな話。
 ゲームという作品を世に送り出している以上、楽しませる工夫や努力を企業がするのは当り前。お客様理論、大いに結構。



 既にAC5の作成に掛かっている会社に対して、今更4のことで愚痴愚痴いうのも申し訳ないですが、そこは当方ブログ、「ちょっとだけ時代遅れ」なので、大目にみてもらいたいですね。

 いかに他の賞賛すべき部分があろうとも、このままAC4のような孤高な芸術作品を作りつづけていれば、新規参入者を増やすことはできないでしょう。


追記

 公式ページのストーリー概要をみましたが、すごく面倒な文章ですね。(お前が言うのかw)
 諦観だのなんだの、知識だけは持っている人が読み手のことを無視して自己満足で書いているようにしか思えません。書き手である以上、拙くとも読ませようとする努力をして欲しいなぁ。

 本編にしても、エヴァンゲリヲンのように、物語の詳細や真偽がいっさい語られないシナリオというのも一つの魅せかただとは思いますが。今、どうして自分が戦っているのか。そしてその結果何が守られるのか。このくらいはきちんと描写してほしいです。

 主人公という影はあっても、設定も声も性別すらない事実上の空白に対して感情移入するならば、せめて5W1Hの八割は満たしてもらいたい。なんであんな強い兵器に突撃するのか、そこがわからないと頑張る気力さえなくなってしまうのではないでしょうか。

追記2

記事を見ると、難解な本編を投げ出したかのように思われてしまいそうですが、一応ワタシは難易度ノーマルのミッションモードはクリア済みです。ハードモードは現在進行率50%ですが。(飛行要塞フェルミが鬼畜過ぎる・・・)


*

神のみぞ知るセカイ【アニメ】を見て



 2D(平面)が3D(リアル)に負けるって?

 馬鹿言っちゃいけません。

 「足りない「」は「DREAM」で補うわ!!」

 というわけで勘違いされそうなタイトルですが、今回の記事は『神のみぞ知るセカイ』の視聴後感想ではありません。厳密には視聴後の感想というより雑記の分類で、とりとめもないことを、とりとめのない文章で自慰的に書く催しですのであしからず。

 何が書きたいかというと、最近のアニメやライトノベル関係は、こういった「オタク」をしている側を描く作品が本当に多くなったな、ということです。

 一昔前ならば、『乃木坂春香の秘密』や『げんしけん』、最近ならば『神のみぞ知るセカイ』や『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』などが挙げられるでしょう。
 
 厳密に言えば『げんしけん』は畑が違いますが、こういった作品は所謂ギャルゲーもののお約束を踏襲しつつ(『乃木坂春香の秘密』はまさにこの塊)、あくまで世界観は現実とし、登場人物たちがあくまで「読み手」そのものである演出がウリといっても過言ではないはず。

 なぜなら一般的なアダルトゲームの大半が「学園」(純愛、陵辱部門を問わず八割方が起因するといっても過言ではない)という誰もが共感を得やすい題材に飛びついて、購買層を増やそうというたくらみは恐らくは数十年前からある風潮であるように、平面とDREAMを掛け合わせた作品には、読者との共感が重要な要素を担っていることは一目瞭然。

 つまり、オタクだからこそ手を出すアニメや小説に、読み手側の心情や葛藤を付け加えれば、より簡単に共感を得られるわけですね。
 そして共感こそが=購買層となるならば、今期において二作も、「こういった作品」を持ってきた製作者側の意図が汲み取れるようにも思います。

 流石は商業を生業にするだけはあるなぁと素直に関心しきり。

 特に今期の『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』などは、アニメ一話目のエンドロールで数多のアダルトゲーム会社が協力者として名を連ねているのが印象的でした。
 
 又、『神のみぞ知るセカイ』では『ラブ-(マイナス)』なる思わずにやりとしてしまうようなパロディが散りばめられていたりしますし、理論的に踊らされていることを知っていても、その辺、やはり面白いと思ってしまうのは悲しい性ですねぇ。

 

 妹の大原則「B(Blood)、M(MEMORY)、W(WONICHAN MOE!)」のようなこじ付け紛いの格言も、どこか興味深く思ってしまった己の脳みそを恨みつつ、今回はここで筆休めとしておきましょう。


 視聴者側のキャラを視聴者が観る、といういっそ奇妙な「共感」を味わいたい方は是非、上に挙げた今期のアニメを一瞥してみるとよろしいかと。原作も勿論よろしければ。



 読了お疲れ様です。

  *

境界線上のホライゾンⅢ(上・中統合)感想



 アンヌかわいいよアンヌ。

 というわけで、更新明け一発目に川上稔著『境界線上のホライゾンⅢ』についての感想を書いていきたいと思います。


 構成は既読者向けのストーリー感想のみです。
 なぜならご存知の人はご存知の通り、この小説は膨大な情報や伏線、キャラクターによって描かれた作品で、例え感想であろうとも、「少なくとも一読程度はした」という人にしかわからない構造になってしまい、以前書いた感想『境界線上のホライゾンⅠ』(上下)感想同様、既読者にしか理解出来ないだろう、という前提にどうしてもなってしまうためです。
 その点の注意を宜しくお願いします。当然ネタバレもすさまじい具合。



 以下、感想。



 分厚い分厚い上巻、中巻(両者とも700P越え)と来て、下巻の分厚さに期待のかかる、今回の『六護式仏蘭西編』、『境界線上のホライゾンⅢ』、読破いたしました。
 長く連載を続けていても、毎度食わせ物の川上節は健在ですね。


 上手に練り上げたプロットの上を、時にねっちり、カオス級のギャグと濃いメンツを使って上手に物語を作り上げていく手腕はまさにプロ。そんじょそこらのハードカバー小説相手になら真正面から喧嘩を売れる情報量とエンターテイメント性は筆舌に尽くし難い出来ではないでしょうか。


 当然、ネット検索を掛ければどこの感想ブログでも良い評価をほしいままにするであろう本作。
 しかし当ブログでは前回同様、良い出来であるということを前提に『気に食わなかった』部分を主として以下部分部分で感想を書いていきたいと思います。


 まず気になったのはキャラクターで、主に武蔵の総長連合ですね。
 『境界線上のホライゾン』本編でも「鬼畜」だの「悪魔」だの「身内に厳しい」だの言われている面々ですが、今回はその行動や言動が目に余りました
 
 特に、葵の姉弟はそのキャラクター性がぶれているだけでなく、自ら読者に対する評価を下げに言っているようにさえ見えるのが現状です。


 馬鹿キャラ、能天気エロゲーマニアとしての属性を持っているご存知主人公の「トーリ」。
 一巻の教皇との相対などから場を和ませる役割などを持つ、難解な交渉などを綴る本文での清涼剤としての側面が強かった彼が、清武田の総長兼生徒会長である「源・九郎・義経」に説教かますところなどはその最たるものでしょう。
 
 仮にも女性の頭にイチモツ乗っけて怒らせ、よくわからない独自の論をベラベラ捲くし立て、揚げ足を取った挙句、過去の可哀相な自分と「俺はガキで馬鹿だから、論拠なんかねぇぜ」という無能を逃げとした準備で相手の反論を封殺する。
 正直、こういった手法(話法)は少し卑怯で小賢しいすぎやしませんかね

 年長者を無条件で敬えとは流石に言いませんけど、敵対していた教皇総長と全く同じ態度でタメ口、挙句オメエ呼ばわり、ガキ扱いというのは今後助力してくれる相手に対して、あまりに不義理なのではないでしょうか。

 前作『終わりのクロニクル』シリーズの主人公である佐山が、少なくとも協力者に対しては敬意を持って接していた(出雲なんかの友人は別ですけれど)所と比較してしまうと、どうにも見劣りします。
 一巻で見せた愛すべき馬鹿から、見ていて不快な「小賢しい馬鹿」への退化したと言えるでしょう。(同様にホライゾンも、「人間未満の自分」という逃げ手を使って傍若無人にやっているのも問題ですが)

 姉である喜美も又、所謂「イイオンナ論理」に辟易します。
 
 どんな女性も自分以下で、自分が最上級のイイオンナ。
 これが至上命題として言論の端々に見え隠れしている彼女の言動はまさに「傲慢」の一言でしょう。(具体的にはⅢ本編での「人狼女王」や「マルガ・ナルゼ」、「毛利輝元」などに対しての言動を参照)

 正直、男性主体のライトノベルにおいて、どのヒロインにも愛着が持たれることが前提であるにも関わらず、他人に対して、どこかどうこう美しくないのか、気高くないのか、理論なのか屁理屈なのかよくわからない持論を展開して、貶している所はかなり不快でしたね。(人狼女王の気高さや母性や気品なんかの持論も読んでいて苦痛でしたが、まだ客観的な観測が入っているので許せる範囲内でしょう)

 上記に綴ったトーリへの不満のように、ただ一方的に傲慢だったなら、まだ「そういうキャラクターなのか」と納得も出来ますが、地の分やセリフで論理的に説明しようとしている所(二巻の英国での祭りなど)が逆に近寄り難さを与えてしまっているように思います。
 原作の喜美がこの文章を見たなら

 「フフフ・・・! こんなイイオンナの魅力に気付かないなんて、激情けない男・・・!」

 とか言われそうで失笑モノですが


 まとめて断じれば、何よりこの葵姉弟の振る舞いが不自然なまでに容認されすぎている点が大きな問題で、「あのトーリ(喜美)だし」という諦めというよりは、むしろ「葵姉弟絶対主義体制」でもとっているかのような盲目的なものに見え、武蔵の総長連合そのものの指向性に疑問が出て来てしまうように感じました。

 加えて、武蔵同士は仲悪くじゃれ合っているつもりなのかもしれませんが、チャットでかならず暴言吐いたり、貶したりする(主に点蔵の「名前が思い出せないネタ」)のも、他の教導院(例えば三征西班牙や英国、六護式仏蘭西)がなまじ友好的に過ごし、結束力も堅いぶん、こんな奴らに天下取られたくないな、というあるまじき感想を読者自身が抱いてしまうことに繋がりかねないのではないでしょうか。



 武蔵の総長連合に関しては、恐らくプロット上の進行度に応じて結束を高める部分が過去話と共に明らかにされていく(Ⅲでのミトツダイラ、マルゴットとマルガの過去など)形式で展開していくため、後半になるにつれて、結束というものを強く感ぜられる表現法に筆者はしたいのだと思われます。

 しかし、あくまで今見ている読者に対しての配慮というものが少しばかり掛けているように思えてなりません。せめて、会計、会計補佐の言動と、点蔵のみを精神的に嬲る風潮は早急にどうにかするべきだと思います。(書き忘れましたが、三科大の義康相手の言動も揚げ足取りを是としている部分が垣間見えて不快でしたね)

 良くも悪くも、「独善」といった風潮や気風を本編から除いてしまうと川上稔氏が書く小説としての意味や意義がなくなってしまうという点はあるのでしょうが。



 次に、描写の問題。主に戦闘時における、ネッチリとした状況描写が非常に読みづらい点について。

 左手、右手、左側面、右側面、何足で踏み込む、バックハンド、身を折る、身をぶち込む、行く、云々。

 とにかく頭でいちいち描写をしないといけないような錯覚を生み出す、几帳面すぎる描写が正直面倒くさい
 やれ、「だから行った」「突っ走る」、「身をぶち込む」だの、爽快を思って使っている単語が多くありながら、足先に小石を置かれ、躓かせられるかのような違和感が随所に見られました。

 一方で挙動を詳しく説明していながら、時間経過の描写はおざなりなのも特徴的で、かなり行数を読み進めたあとに「あの時弾いた短剣を掴んで攻撃した」というようなネタで勝利するのは正直どうかと思いました。相手が一刀を振りかざす間に、その攻撃の意味と後の行動理由云々について一々考察が入るのも戦闘をつまらなくしています

 又、描かれる戦闘行為に、「しかしそこに相手はいなかった」、「だがその考えは間違っていた」など、否定を繰り返す描写が目につき、意外性を出そうとしていることが意外でもなんでもなくなってしまっている点も着目すべきでしょうか。

 「これで確実に勝てる→しかし相手が一枚上だった→しかしこちらも実はそれを読んでいた→しかし敵もそれを見越していて・・・」

 この展開は正直もう飽きました

 一概に、勝負というのは、「勝つ」か「負ける」か「引き分ける」の結果しかないので、否定表現を用いて意外性を出そうとするのは良い判断だとは思います。
 しかしそれを必要のないところ(例えばⅢのゲーリケとシロジロの土下座対決など)で乱用し、効用と価値を貶めている点は改善されるべきではないでしょうか。



 むしろ今回の人狼女王の昔話(三日三晩×5セット試合)などを見ていると、ギャグを散りばめた恋愛話について書いている方が川上氏には合っているのではないかと思います
 
 特に過去話は良い意味で当り障りの無い文章だったので、むしろ面白おかしく、安心して読めたように思います。

 今後は出来ればこのような素直で中高生にもわかりやすい文章でわかりやすくも奥深い心理面での葛藤を描き、キャラクターを魅せていっていただければ良いのではないでしょうか。


 ※中高生で思い出しましたが、ライトノベルという小学生でも買える(買い易い)小説で乳首モロ出し+官能小説もどきの描写は正直「倫理」の面ではいただけないかなぁ、と。昨今小学生なんかは動じもしない可能性のほうが高いでしょうが(苦)。


 以上、読了お疲れ様でした。(毎度毎度長く、暑苦しい文章で申し訳ない)



 以下、少々追記+雑感。

 Ⅱまでの、espliaお気に入りのキャラクターは、「本多・正純」「マルガ・ナルゼ」「メアリ」「エリザベス」で、Ⅲで新しく「里見・義康」と「アンヌ・ドートリッシュ」がランクイン。


 ・・・金髪巨乳が二人いるが、他は絶壁ばかりじゃないか・・・?

 いやいや、某ロリコンではござらんぞー。
 普通に「鈴」嫌いですしね。「アデーレ」はⅢで株下がりましたし。一応「毛利・輝元」「人狼女王」もキャラ的には好きですが、人妻系はないです。あと「武蔵さん」は好き。やっぱり川上文学なら、侍女服は欠かせません。前作「SF」の熱狂信者ですしねぇ・・・。

 ちなみに男キャラでは、「教皇」と「ガリレオ」、「立花・宗重」、「フェリぺ・セグンド」が好きな一方「トーリ」「ネシンバラ」「シロジロ」のメイン格が死ぬほど受け付けないのはどうしようもなさそうです。

*

祝!更新

ばんざーい!



 どーも!espliaです。

 愛用PCがご臨終してから早数週間、どーにかこーにか更新再開の目処が立ちましたのでご報告です。


 おめでとう俺! (虚)


 今まではPSPの遅すぎるネット環境でちまちまコメントもどきを書いていましたが、そのあまりのもどかしさに先日ウチの祖父の家にPC借りに行くことに、


 私 「なぁ祖父さん。このPC貸してくんない?」

 祖父「・・・100万な」

 私 「今までもらったお年玉の額超えてね・・・?」

 
 かくして、苛烈にして可憐な応酬の末(アホっぽいとも言う)、HDD「12G」、MEMORY「300M」、OS「windows2000」というある意味次世代のPCをゲッツしました。

 その技術力はまさに至極。なんということでしょう・・・、

 「youtube」さえ見れませんがな。

 正直、記事書いているだけでフリーズしそうで、なんというかもどかしい以上に若干心拍数上がりそうですなぁ・・・。
 さすがにPSPの基盤で打つよりは遥かに早いので、一応満足はしてますけど。

 新PCを買うまでのつなぎになればいいなぁ。

 
 さて、これから早速、感想記事を一個今日中に書いていく予定です!

 よろしければこれからも読んでいってください。  *
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恒久的に不定期更新ですが、
よろしくお願いします。

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